それは始まりの始まり1
初めての投稿。
何となく流れは考えてるのですが、書いてたらそう思い通りに進まないもので…序章もこんなに長くなる予定ではなかったんです。
SFチックからホラーチックまで幅広いファンタジー小説を目指していきます。
足元には緑豊かな草原と色とりどりの花々が咲き誇り、見上げれば鮮やかな水色の絵の具がぶちまけられ、所々に美味しそうな綿菓子が浮かんでいる。
ああ、平和だ。理想の楽園だ。なんて素晴らしい世界なのだろう。この場で寝転び、うんと背を伸ばしたい。この包まれるような優しさを甘受していたい。そうだ、愛する者の隣に並び、語らい合うのもいいだろう。ここで泣き叫ぶのは間違っている。笑い合うべきだ。そう、思わされる、思わさざるを得ない、本当に美しい世界だった。そう、この光景は、この世界はそういう世界だった。争いはなく、笑顔も絶えず、万人が羨み、万人が感銘を受ける。
そんな世界は確かに存在していた。していたのだ。
はて、それはいつの話だったか。
昨日?一昨日?いやいや、何十、何百、何千年も前の話だったかもしれない。
覚えている者はいるか?あの世界はどこにいった。
誰でもいい。答えてくれ、あの世界はーーー
「ばーか」
ーーー?
「さっきの話だろ?それ」
ーーーさっき?さっきとは、一体いつだ。
「いつって言われても…ほんと、ついさっきとしか言いようがねぇよなぁ。綺麗だった空は一気に曇ったし、草は枯れ果て、地は荒れた。あとはなんだぁ?ああ、そうだ。水も濁ってたし、空気も汚い」
ーーーなぜだ。何故そうなった。何が起こった。何をしていた。何をした。お前は誰だ。お前は何だ。私は知らない。お前を知らない。お前たちを知らない。何故ここにいる。何をしている。そうか、お前の所為か。お前たちの所為か。ならば、排除しなくては。そうだ、あの世界を、この世界を汚すモノは許しては、許してはいけない。ここは、ここは、こここここはは、こははははは、ここはは
がつん。
「うるさい」
何かを殴る音がした。決して大きくなく、大して衝撃もない、弱い音。しかし、狂った無意味な文字の羅列を黙らせるには十分な音でもあった。…あったのだが、何の前触れもなく殴るのは如何なものだろうか。虚勢を張る奴、気弱な奴ならマウントを取れるかもしれないが、普通は理不尽な暴力に一時は唖然とするが、段々と怒りが湧いてくるものだ。
ーーーっ!?ーーーーーー殴ったな。暴力を振ったな。お前はここで暴力を振るったな。暴力は犯罪だ。この世界では許さざることだ。お前は追放だ。お前たちは追放だ。私に従わないモノは出ていけ。私の思い通りにならないモノは出ていけ。この世界から出ていけ。出ていけ出ていけ出ていけ出ていけ出ていけ出ていけ出ていけ出ていけ出ていけ出ていけ出ていけ出ていけ出ていけ出ていけ出ていけ出ていけKKKkkkkkkkkdeeeeettttiiiiikkkkkkk
「あーあ、やべーんじゃねぇの?コイツ、大分イカれてね?大丈夫?」
「あっははは。大丈夫じゃないんじゃないかなー。ほら、僕らのことも忘れてるし、何より自分を覚えてない」
「笑い事じゃないのよ!なんてことしてくれたの!?ああ!!もう!興奮しないで!!!」
ビカビカと不快な音と共鳴して光る光が暗い部屋を照らすと、3人の影が現れた。少女と言われても相違ない小さな子がモニターを前にキーボードをカタカタと鳴らし、金の髪をもった甘いマスクの美少年が眩しそうに光を見上げる。そして、あと一人、拳の側面を壁に殴りつけたような不格好な体制で止まっていた赤い青年は何度もそのまま、見えない壁をガンガン叩きつけていた。
「だーかーらー、それやめてってばーー!!あんた、自分のバカ力忘れてない?それこそ大丈夫?」
「んだよ、大体、壊れたら叩いて直すもんだろ?」
「それ、絶ッ対に!!僕に!!しないでくださいね!!やめろ」
「アッハイ」
「大人子供は大人しくしてくださーい」
「子供大人は黙って手ぇ動かしてくださーい」
バチバチと睨み合う2人と、お手上げだ、と両手を上げる少年は何とも仲良さげに見えるが、実は会ってそう時間は経っていない。3日程度だ。
彼、彼女らは歳も違うし、生まれも違った。なんなら、考えも、価値観も違う。もしかしたら、倫理観さえ違うかもしれない。バラっバラだ。様々なモノが違うが、極めつけは、そうーーー
世界が違う。
彼、彼女らは互いが互いに違う世界の住人で、未知の生物である。では、何故ここにいるのか。それはただ『ちから』があったから、だろうか。
まだまだ、サブタイ通り始まりの始まりに過ぎません。先は長い。正直、こっちの世界で1本書いた方がいいんじゃないか、と思うぐらい設定盛り込んだ気がするが、気がするだけだと信じたい。てか、これからもう1回異世界転移を起こすのが面倒になってきただけ。