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潜群アリス  作者: Heart
5/7

少女と林道の言ノ葉


____________凍てつく寒さと鋭い風がわたしから体力を奪っていく中、わたしは数十という化け物と対峙していた。


「ふっ、そんなものかい!いにしえ幻獣ジャバウォックが聴いて呆れるわっ!」


遠くの放送機からあのおばさんの声が聞こえてきて嫌気がさす。

どうしてこんなことになったのだったか。


まだ古くない記憶を呼び覚ますと、まず浮かんでくるのは、横たわる眼鏡くんの姿だった。


__________________________________________________


「眼鏡くん!ねぇ眼鏡くんッ!!」


身体を揺さぶって横たわる彼の意識を戻そうと試みる。しかし彼の意識が戻る気配はない。


「ど、どうすれば…」

友達なんてろくにいないわたしは、この状況でどうするべきか、見当もつかなかった。友達がいたとしてもさして変わらないであろうが。


『もぉ!なにやってるんですかっ!』


「へっ?」

まぬけな声が出てしまった。

声はすれども姿は見えず、幼い女の子の声がした気がする。

放課後の教室、それにあんな騒ぎがあった後で、まして子供なんて居るはずがない。


『そんなに揺らしちゃ傷が広がっちゃいます!転送しますから引っ付いててください!』


「ちょ、ちょっとお嬢さんっ?!」


『オペレーターは不要ですっ』


___________起動シークエンス。

____code:WhiteRabbit.


帽子屋ハッターと被害者を転送します!』


女の子が叫んだと同時に、わたしと眼鏡くんを中心に不思議な紋様が出現した。


「まほう、じん…?それにこれ、英語?」


大きな2つの円と、3つの勾玉が円を描くように回っている。その2つの円の境に膨大な量の英字が隙間なく続いてるのがわかる。しかし、英語嫌いなわたしに読める訳もなく、ただそれを眺めるしかなかったのだった。


ものの数秒で陣が淡く光り輝いて、わたしと眼鏡くんは青い光に包み込まれた。


___________________________________________________


「あのぉ、お姉さん?起きてくださーい。おねーさーん?」


「…ん、だいじょぶ、おきたおきたzzz」


「全然起きてないじゃないですかッ!!…いたしかたない、奥の手ですっ」


遠くで女の子の声が聞こえた気がした。

けれど睡魔が心地よく眠りに誘ってくるのだからしかたない。うん、これはしかたない…zz…っ?!

謎の言い訳をしながら静かに眠ろうとすると、突然、腹部に暖かい重みを感じて目が覚める…いや、謎の重量よりも遥かにわたしを驚かせたのはすぐ顔の横、耳の辺りに当たる吐息と囁きが…

「おねぇさん、おきてくれなきゃ…イタズラしちゃうぞっ」

細身で白く透き通った小さな手が首元にかかる間際。

「起きたっ!完全に起きた!大丈夫!!」


眼前に迫った甘い香りにつられぬよう息を殺して女の子を引き離した。


「やっと起きましたね。ちなみに兄はこれでしか起きません。」


なんて心臓に悪い起こし方だろうか。


「起きたなら着いてきてください。兄とボスがお待ちです」


今起きたばかりのわたしを置いて、女の子はスタスタとどこかへ歩いて行く。


「お、おいてかないでよ~・・・」


とりあえず今は従うしかないのだろう。。

起きたての頭を起こしてわたしは女の子に着いて行った。


_____________________________________________


寝ていたらしい部屋を出ると、そこには青々と茂る林道が広がっていた。


「ここってどこかの建物じゃなかったの・・・そもそもここどこよ・・・」


眠る前の記憶があやふやだ。たしか学校にいて、テロリストに…

「…っ!メガネくんはどうなったの?!」


「兄なら無事ですよ。そこそこ重症でしたけど。」


“無事”という言葉を聞いてほっと胸を撫で下ろすのは何故だろうか・・・お互い名前すら知らない他人の筈なのに。


「順を追って説明します。まずここは部屋と部屋を繋いでいる通路で【子供の庭】と呼んでいます。この辺りはただの林道ですが、もう少し歩くと湖が見えて隣の部屋と繋がっています。」


前を歩く女の子がバスガイドのような説明を始めてくれた。


「子供の庭自体は空間を歪ませて作った、言わば架空の庭でして、外気や外の時間とは一切の関係がありません。」


「…つまりここは学校というか外とは別時間で動いてて、わたしはあのあと教室からさっきの部屋に飛ばされたって認識で大丈夫?」


なにやらこの子の言ってることが若干次元越えてて着いてけない感あるけど、あのトカゲと戦ったあとだと不思議と何も感じない…。


「だいたいそれで大丈夫ですよ。やっぱり“発症者”なだけあって察しがいいですね」


「はっしょうしゃ…?」


あまりに自然に言われて漢字変換が追い付かなかった。


「あっ、お部屋に着いてしまいましたので、あとは中の人に聞いてください。わたしはこれで」


どうやら彼女の案内はここまでのようだ。

「待って、まだ名前聞いてないよ」


少女を呼び止める。

「なまえ…兄からは“シーア”と呼ばれています。固有名は《ウサギ》です。」


「…シーアちゃんか。ありがとっシーアちゃん」



_____________________________________________

思い出しながら唸る。やっぱり何故こうなったのかわからない…。

お久しぶりです!テスト期間ですテヘ

あんまし進んでないですねぇ。冒頭謎ありありなのになんでそこまで進めないんですかねぇ自分。

シーアちゃんを説明係ではなくデスマス調お兄ちゃん大好き隠れデレの萌妹に…おっと危ない性癖が・・・大丈夫です。ノータッチです。フィクションなら許されます。

次回は冒頭の謎が解けますよ!!(この話で解きたかったよね…)


ごゆるりとお待ちくださればと思います。



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