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他人がどう思っていようとも本人には関係ない

どうしてもここで切りたかったので短めです。





台風には気をつけてください。

 今まではただ見ていた周囲の敵が、一斉にリリーへ攻撃を開始する。


 ある者は剣を、ある者は槍を、ある者は弓を、ある者は銃を。

 それぞれ自分の得意な攻撃を行った。

 感情スキルを使う者はいない。

 なぜなら彼らは皆ランキング下位であり、そして何よりスキルの発動は集中力と感情の安定が必要だからだ。


 それをリリーはいとも容易く発動する。


 リリーの周りにゲートが多数展開される。

 敵は勢いのまま攻撃しに来ていたため止まる様子はない。

 そしてそのままゲートの中へ武器を突っ込んでしまう。


 剣先が、矛先が、矢が、銃弾がそれぞれ味方の近くへ出現し、そして攻撃した。

 もちろんDPによってその攻撃は弾かれるが、全て急所に当たっているためDPは大きく減少している。


 それでも皆怯まずにリリーへ攻撃する。

 しかしゲートが消えた時にはリリーの姿も消えていた。


 敵の周囲のいたるところにゲートが現れる。

 現れては斬りつけ、斬りつけては消える。


「こっちだよー!」


 弓を持った女は声がした方を振り返る。

 しかしそこにはリリーの姿はない。

 女は必死に周囲を見渡した。

 どこを探してもいない、勘違いだったのかと息を吐いて下を向いた。


 そこにはナイフを持ったリリーがいた。

 顔が斬りつけられる。

 ナイフのでの攻撃が浅いために、チリにはならずに斜めに血が吹き出す。


 リリーはさらに身体を斬りつける。

 至るところから血が垂れる。


「や、やめてよ!なんでこんな嬲るように!」


 身体中を斬りつけられた女が叫んだ。


「んー?なんだってこんなことー?だってこれは戦争だよ?」


 リリーはそう言って女の顔を再び斬りつけた。

 顔からはばつ印のように血が出る。


「いやあああああ!」


 木々の隙間を縫って女の声が響き渡った。

 ドスドスと走る音が至るところから聞こえる。


 リリーはキャサリンの方を向いてニコッと笑った。

 キャサリンも笑い返す。


「本格的に集まって来ましたね」


 キャサリンが周囲を見渡して言った。


「敵を集めるためとはいえこんなことって…」


 ソフィアは身体を震わせている。


「リリーはリリーなりに考えたのでしょう。それを否定することは私が認めません」


 キャサリンはソフィアに鋭い視線を浴びせた。

 その視線から守るようにレインはソフィアの前に立ってソフィアを抱きしめた。


「ソフィア。確かにこれは人道的に正しくないことかもしれない。けれど勝つためには仕方のないことなんだ」

「…仕方のないことって何?嬲ることが仕方のないことなの?」

「そうだよ。世の中綺麗事だけで生きていけるわけじゃないんだ」


 ソフィアはレインから離れるために体に力を込めた。


「…離してレイン」

「離さない」

「痛いから!」


 それでもレインはソフィアを抱きしめ続ける。


「ねえソフィア。想像してみて。自分の家族が飢えに苦しむ姿を。戦争で負けるということはそういうことなんだ。

 今だからこそ飢えで苦しむだけかもしれない。でも将来的には敗戦国として蔑まれたり、奴隷にされるかもしれない。そんなことをさせない為に、どんな手を使ってでも勝たなきゃいけないんだ」


 ソフィアの体から徐々に力が抜けていく。


「心では理解しなくてもいい。でも今は頭だけでも理解して欲しいんだ」

「……わかったわ」


 ソフィアのその言葉を聴くと、レインはソフィアの身体を離した。


「ありがとうソフィア」

「私自身、考え方が子供だと思ってるわ。だから今はもう少し時間を頂戴」

「うん」


 そう言ってレインはソフィアの頭を撫でた。



「ああ!戦争って楽しい!」


 リリーは敵を斬りつけながら笑っていた。



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