影丸
ツキヨミは時空の狭間の男に話しかける「お前の名を聞いて良いか」男には名が無い、「ツキヨミ様、私に名を与えてください」ツキヨミは、お前に伊賀の影丸の名を与える、と厳かに言いました。「名は体を意味する、伊賀の影丸は江戸時代の有名な忍者だ。お前は忍法は出来るか?」男は出来ませんと答えると、神が一度与えた名前は取消せぬ、幸い私は忍術の師範代をしていた。お前に忍術の知識を転写する、あとは知識と体力、技術を融合すればよい、今日から特訓だ、走り込み40km、拷問のような日々が10年続いたようです。
狭間に来て1年目、毎日特訓は続きます、木の葉がくれの術はまだ使えません、でもこの間アニメで見た絶の術は使えます、ハンターと言う人たちが使っていました。気配を消す術です、光学迷彩を使わなくっても、とりあえず忍者らしくなりました。
ツキヨミは殖民惑星でみた青い池の上に浮かぶ瀟洒な家が欲しくなりました。この時空の狭間のなかで亜空間が出来ないか考えました、「影丸、この世界に亜空間が完成できるか」影丸は答えます「あなたはすでに亜空間をひとつお持ちです、収納庫を使ってますよね、亜空間を作り、収納庫に保管して発動条件をあなたを中心にするとしたらどうですか」時空の狭間では、次元を異にする空間と時間が互いに混ざり合い、たえず変化する。座標があるとすれば自分と影丸のみだ、空間に置いてもすぐ流される、ツキヨミと影丸は神と眷属、互いの位置はわかる。
収納庫は使える。亜空間収納庫を逆転させるだけで良いのかも知れない。ツキヨミに目標が出来た。ためしに収納庫を逆転発動してみる。亜空間がツキヨミを中心に半径10kmで展開した、影丸に忍術の鍛錬のため素材を運ばせた、球の半分近くまで土を入れる。大きな池を作り、水を運ばせる、忍術の修行はつらい、ツキヨミは心を鬼にして影丸に命じる、素材をさらに集めて家を作る、すべておまえの修行のためだ。ツキヨミもつらかった、池を造るのも影丸のすいとんの術の鍛錬のためだ、ツキヨミの夢みた家ができた、まわりに木を植え林をつくる、おおかみをさらってきて、精神魔法で眷属にする、栗鼠やウサギの小動物を捕まえて眷属にする、小鳥を捕まえて眷族にする。これだけの、修行をおえて、影丸は木の葉隠れの術をものにした。師弟の涙と愛の物語だ。影丸の修行が終わって、やっとツキヨミはくつろげた、縁側に座布団を敷き、暖かい午後の日のなかでお茶をすすった。もちろん太陽も月も雲も雨も魔法で作りあげたものだ、空気すらあるか無いか、あやしいものだ、ツキヨミも影丸も神威で真空ですら、生きていける。
今回は長かった、ツキヨミは10年の歳月、この虚実の空間にいた。10年と言っても時空の狭間には時が無い、ツキヨミの体内時間だ。もし、かおりの世界に行けるなら、あちらの世界の数分後の時間となる。しかし多分帰れない、この空間には絶対座標が無い、場所が分らないのだ。
また空間転移があった、今度の世界は不思議な世界だ、空間転移の瞬間、亜空間は逆転して収納庫にもどる、ツキヨミと影丸は魔方陣のなかにいた。位の高そうな人間がいて二人を見ている、いやな視線だ、
「おまたちは空間魔法で異世界から召還した勇者だ、魔王攻略のため召還した、給料は払う、働きによっては官位も授けよう、もし拒否したら、拷問の上、死刑だ」と偉い人は無茶をいってます。
小声で「影丸、人間が魔法で神を呼び出せるのか?」「多分時空の狭間の転移が、人間の魔法の影響を受けたのでしょう」「興味深いな」「ところで、どうしますか」影丸の問いにツキヨミは答える、
「わかりました、私たちはあなた方にしたがいます」ツキヨミの言葉に、えらそうな人間は満足そうにツキヨミたちを見た、「では場所をかえて話そう」
城のなかに個室を与えられた、次の日から勇者としての訓練が始まった、血のにじむような訓練だ、教官と一緒に何キロも走らされる、腕立て伏せ、その他いろいろ、おかげでダイエットになった。次の日は剣技の訓練、次の日は弓の訓練、その次の日は格闘技の訓練。すべて平均点以上で合格である。最後に魔法の訓練、王国の魔法師が教官だ、「お前達、勇者はなぜか強力な魔法が使える、魔法の発現まで私が面倒をみる、ただし決められた期間まで魔法ができなければ、拷問の後、死刑だ」むちゃくちゃな扱いです。
「一応全員に精神魔法をかけました、私の子分です」影丸の言葉にツキヨミは微笑む、心の内を読み、魔王の姿も、これまでのいきさつもツキヨミは理解した。さて何をするか、これからが面白い。




