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「ダンジョンをこの世界に展開しては拙いでしょうか」管理人さんはダンジョンを重荷に思っている「たとえば結界の中に入れて展開し、魔獣が一定の範囲の中にしか出現、出来ないようにするとか」
「それは出来ると思う」若菜が大地の女神として意見を言う「ダンジョンの管理人は創世の神の生贄のようなものだ」
ツキヨミもそう思う。無人都市の世界のダンジョンの管理人のように、創世の神に命を遊ばれているだけだと。
ツキヨミと若菜の協力により、強い結界の中で管理人さんは、ダンジョンを亜空間より展開した。
「管理人さんの為です」ツキヨミは影丸にダンジョンの魔獣の間引きを命令した「わかりました」影丸と十人衆は喜んで引き受けた。「あの、間引きであって、全滅ではありません」管理人さんは心配になって言う「全滅させると私は死にます」これが創世の神のいやらしさである。
大地に開放したダンジョンを若菜と管理人さんの先導で、ツキヨミと眷属達は見学する。召喚魔獣の虎やダンジョン狼や隼、黒猫も付いて行く。
「若菜、管理人さんを解放する手は無いのか?」ツキヨミは酷いと思う「私は少し前、ダンジョンの酷さを見た、神に弄ばれて、狂い死にするだけだ」若菜は答えられなかった。ツキヨミはまだ言葉をつぐむ「創世の神が憎いと思った」
「お前が永遠に生きて、眷属の管理人さんを守るしかない」時間とは何だろうと答えながら若菜は考える、太古の書に現在過去未来といえど我が心の一分なれば無分別なりとある。意味は分からない「つらいな」と言葉がでる。最後には泣いている様な声になる。
「明日、城に案内する」ツキヨミは管理人さんに言う「管理人さんの水の空間と同じものを作った」
管理さんを槍状の山頂を持つ山岳の上に聳える城に案内する。ドローンで城の広場に降りる。遠くから見ても城の美しさは声も出ない。青く光る水が滝のように、岩肌に纏わりついて落ちる。はるか下の青い湖に流れ込んでいる。管理人さんのダンジョンの水の空間を真似て作った城と拠点ドローンの水の空間、亜空間に設置されたものだから、城の負荷にもドローンの飛行の妨げにもならない。
先生と精霊達が尋ねてくると連絡があった。ツキヨミはゲート近くの街で歓迎の準備をした。王都を出た帆船は魔国の港に到着した。ツキヨミは港まで出迎えた。
「みなさん、苦しくはありませんか」懐かしげにツキヨミが声をかける「この港の街が、国の首都です」
閑散とした街だ、難攻不落の要塞に囲まれた城塞都市。ゲートを守る為だけに特化した街。国の機関が形だけある。 「すごい街だね」王都とは異質の街だ「人は住めないね」
少し遅かったがゲートまで馬車で向かう。大型馬車2台が騎兵30騎に守られて進む。
「これが問題のゲートだね」興味深げだ「あ!景色が変わった」ゲートの通過とともに周りの景色は一変した。意志を持つ海、意志を持つ大気、意志を持つ大地、人間など知らずに入ったら即死するだろう。
平行宇宙の世界にもゲートの近くに街があった。形だけの魔国の出張機関があった。瀟洒なレストランと宿屋、ヨットハーバーとツキヨミのおやしろがあり、絵になる景色だ。
「街はここだけ、あとは天空の島とお城がある」計画はいろいろあるが、まだ手をつけて居ない。「気持ち悪くない?」強い魔法素子と神力が影響を与えていないかツキヨミは気遣う。「大丈夫」精霊妖精が答える。「むしろ清々しい」
専属メイドの葵とツキヨミはおやしろに帰る。先生と精霊達は宿屋で泊まる。騎兵達は専用の宿舎に泊まる。
先生と精霊10人の歓迎会が天空の島で行われた。渚、若菜、ソラも招待して、影丸と十勇士、少女隊5人、少年隊5人、管理人さん、虎、ダンジョン狼、隼、黒猫が出席した。
オートマタは人間として扱われる。人間と同じ給料、休暇、娯楽を与えねばならない。
ツキヨミは経営能力のあるオートマタを責任者にして、自給自足体制を整えると同時に12ヶ国相手の貿易を考える。
魔国には貴重な鉱物資源がある。ゲートの存在が特異な鉱物を生み出した。これを加工して産業用基礎基盤を作成し、12ヶ国のツキヨミ商会に輸出して利益を上げる計画を立案。
ツキヨミの工房の机の上には、無人都市の市長さんから送られた電子頭脳がある。その機能を調べ上げて、小型化と、より完成度の高いものにしたいとかねがね思っていた。葵が助手として頑張ってくれているが、出来れば研究チームを作りたい。花子は管理人さんのメイドだが、兼任として少女隊と少年隊全員を研究チームに入れる。全員の了解を得て、頭脳基盤を魔国の希少金属を使った基盤に置き換える。最新の電子工学をインストールして、無人都市の電子頭脳の解析に掛かる。
複製品をなんとか造りあげた。機能的には遜色ない。電子頭脳の能力の一部をコピーして自分自身に移し変えてみた。幻影魔法発動、完全な自分の分身を作る。自分自身を複数体作って、再度研究チームを結成。
電子頭脳の完全コピー化に成功、ツキヨミは自分の内に無人都市の全ての能力を取り込んだ。




