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 ツキヨミは久しぶりに王都の先生の館に帰ってきた。「魔界はどうだった?」先生の質問にツキヨミは正直に話した。「平行宇宙への転移陣がありました。自然のものです。その影響で、生物が生きていくには難しい土地です」「壊せないの」先生の問いにツキヨミは答える「考えましたが、影響が銀河の崩壊まで繋がる可能性があります」「何もしないで、人間の立ち入りを禁止した方が良いですね」先生の言葉がツキヨミの意見でもある。


 「平行宇宙の世界で友達を作りました」先生は目を丸くした「人間が生きていけるの?」「無理です」ツキヨミが短く答える「でも先生や妖精達なら生活出来るかもしれません、あとオートマタなら大丈夫です」


 世界会議で魔界は関係者以外立ち入り禁止になった。ツキヨミはこちらの世界より、平行宇宙の世界にいっている時間のほうが多くなった。ゲートに近い海辺の街で若菜や渚と会い、様々な建築物を造り、世界での箱庭作りに興じた。


 拠点ドローンに乗り、渚、若菜、ツキヨミは空中で過ごす事が多くなった。ドーロンも改良が加えられ、実用本位の物から天空の城ラピタをモデルにしたものへと変化していった。森があり、遊歩道がある。城があり城壁と城壁の間の深い水溜りの底には古代遺跡が沈んでいる。水中の古代遺跡の回廊を進むと、何時の間にか水の満たされた亜空間に入る。回廊の行き止まりに20mの立方体の部屋がある。瀟洒な食堂である。数人のオートマタが待機している。神威を纏える者なら水中と食堂を自由に行き来できる。水中には人魚ロボットを遊泳させている。


 日差しの穏やかな日、お客が来た。対応に出たツキヨミに「大気の女神 ソラ」と名乗った。ちょうど渚、若菜も来ていたので4人で古代遺跡のしずむ水溜り近くのデッキの喫茶コーナで紅茶を楽しむ。また友人がひとり出来た。


 ツキヨミは先生に全てを託して、平行宇宙の世界で生活をしようと考えた。

 オートマタ幹部、先生、妖精と話し合う。ツキヨミ商会の運営そのものはオートマタが行っている。先生の領土の運営もオートマタが行っている。運営に必要なロボットは残してある。

 先生は寂しそうな顔を見せ「ツキヨミが決めた事だから」と多くを語る事はなかった。

 国王に別れを告げて、王都の港から魔界の国へ向かう。思えばいろいろあった。無人の防衛都市がある世界から時空の狭間に飛ばされるときに、はたまた偶然にこの世界に飛ばされた。10歳の平凡な顔の少女として、ダンジョンのある街の錬金術師に拾われ、今は平行世界の向こう側に行こうとしている。


 帆船が魔国の港に入港する。この港には世界会議でツキヨミが国王に任じられたとき、設置した国の機関が一応ある。オートマタの国王代理が出迎えにきている。国そのものが平行宇宙へのゲートの見張り番である。人間は関係者以外立ち入り禁止である。ここにいれば長くは生きられない。神力を纏う者か、オートマタ位しか生活出来ない。


 慣れ親しんだオートマタ馬の馬車に乗って、ツキヨミはゲートをくぐった。オートマタ騎兵10人が続く。ゲートの近く、海浜の宿屋とレストランを中心に街を造る。この世界には人間は住めない。高濃度の神力と魔法素子に人間は耐えられない。魔国の出先機関をつくる。


 レストランに渚、ソラ、若菜が遊びに来た。いつものシナモンティーとケーキをオートマタ少女が持ってくる。この世界に居るとツキヨミの体が変化する。元の17歳くらいのツキヨミ本来の姿になる。今なら懐かしい眷属達を呼べるのではないかと思う。渚、ソラ、若菜にも協力させよう。


 ヨットをつくる。ツキヨミ、渚、ソラ、若菜、オートマタ少女2人の6人で外洋に出る。心地よい風と波が気分を爽快にする。ここで転覆してもマーメイド姿のオートマタ10人が周囲を泳いでいる。みんな操船は初めてだが、だからこそ面白かった。


 ツキヨミのおおやしろを造る。渚、ソラ、若菜にも協力させる。眷族を取り戻すのだ。ツキヨミの心は奮い立つ。巫女姿で正座して祈る、渚、ソラ、若菜も祈りに強制参加させる。やがて虚空にゲートが出来、伊賀の影丸が出てきた。猿飛佐助、霧隠才蔵、管理人さんとオートマタの花子、ツキヨミ付きの葵、次々に出てくる。


 召喚眷属獣の虎、ダンジョン狼、隼、黒猫、ツキヨミは全てを取り返した。亜空間を収納庫に戻す。若菜は虎と戯れている。ソラは隼と口論している。渚は黒猫を追い掛け回している。


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