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 ツキヨミは平行宇宙の世界に居続けた。大気に神力が満ち溢れているため、ツキヨミにとって自然な状態で居られる。魔力素子も濃厚に大気中にあるため、人間には生活出来ないが、ツキヨミには癒しの効果がある。海が運ぶオゾンも心地よい。


 ツキヨミのパスが繋がったため、この世界と今までいた世界の間を自由に行き来できる。巨大な転移陣が存在して、かつ開きぱなっしに成っている為だが、ツキヨミの転移陣が自由に設置出来るのは嬉しい。もちろん自然の転移陣が破壊されたら、ツキヨミ個人の転移陣も無効になる。いや平行宇宙の接点が破壊される反動で銀河が崩壊する可能性がある。


 


 海が巨大な意志を持っている。波と戯れて遊んでいると、波もツキヨミの意志を汲み取って様々な姿を見せてくれる。ボールを投げると海はリアルな少女となって、投げ返してくる。抱き合って笑い合って、友達になった。ツキヨミが作った食堂で海を眺めながら、シナモン入りの紅茶を飲む。メイドのオートマタの少女がパスタを持ってくる。たわいの無いお喋りに夢中になり、強引に宿屋に泊まらせる。広めのベッドで手を繋ぎながら体を寄せ合い、一緒に寝る。


 「私の名前 ツキヨミ」ツキヨミは笑いを浮かべた目で、相手の目をじーっと見つめる。「渚」少女は答える。多分名前を聞かれた事が無いのだろう。「見て」ツキヨミはスケッチを渚に見せる。無人機で世界各地で撮った映像だ。ツキヨミはその映像に併せて自分のスケッチを見せる。切り立った山頂に東欧風の城が描かれている。城は城壁の中の水の上に聳えている。何処も彼処も水の世界だ。「綺麗」渚の言葉に「これから作るの」ツキヨミは自分だけの箱庭の城を作るつもりだ。通常有り得ない構造の城だが、幻想的な城だ。


 渚とツキヨミは城作りに夢中になる。拠点ドローンに乗って作成された図面の駄目直し、監督オートマタも熱心に意見を述べる。人間の生活環境でないので、人間は考慮しない。ここで生活出来る神やホモンクロス、オートマタ、ロボット、勿論渚や彼女の仲間達も考慮する。


 余剰なロボットは、平行宇宙の世界に移ってもらった。オートマタも必要最低限の人数を残して、平行宇宙の世界に移ってもらった。12カ国の世界はあくまで人間の世界だ。余剰なロボットは人間の経済に悪影響を及ぼす。


 亜空間に作った城に見入っていた。これを今から切り立った山頂の上に設置する。ツキヨミと渚はわくわくしている。地球上では有り得ない城だ。反重力魔法で慎重に亜空間と山頂を合わせる。亜空間を消滅させる。山頂と城の下部が融合して、密度の高い物質になる。切り立った断崖の遥か下には真っ青な湖が広がる。城からは幾重にも重なる城壁の間の池から水が川になってトグロを巻きながら池に落ちる。至る所に川が出来、水のオブジェのようだ。岸壁は重力魔法によって水を纏い、神々しい神の城を演出する。


 湖の水は加熱気化冷却し、城の地下の貯水庫に清浄な水として溜められる。濃い魔法素子を使ったメンテ不要の永久機関である。この城はツキヨミと渚の共同制作だ。城に至る道は無い。今のところ転移門を通るか、有人ドローンしかない。住居性は充分だが、ツキヨミの思いつきで作った目的の無い趣味の城だ。ツキヨミと渚が城で宿泊していると、城に訪問者があった。


 大地もまた巨大な意志を持っている。少女が尋ねてきた。若菜と名乗った。日本的な名前なのはツキヨミの心を読んでの事だろう。ツキヨミはオートマタの少女にお茶の支度をさせた。外の日差しの中で、ツキヨミと渚、若菜と三人でデッキの上で紅茶を飲む。大地の意志が具現化した少女の姿は美しかった。「若菜、今日泊まっていく?」渚が若菜に問う「この城はツキヨミと私で作ったの」少し自慢そうに渚が言う。穏やかな日差しの中で友達が増えた。


 3人で入る大浴場は楽しい。互いの体を洗い合い、騒がしく話しが盛り上がる。若菜が夕食の後、城の地下を見せる。階段を下りていくと、巨大な水槽がある。亜空間魔法により、水槽の広さは外見より巨大だ。濡れることなく、水中を歩く、半透明の階段が続く、やがて巨大な部屋にたどり着く、水魔法で部屋を構築している。テーブルも椅子もベッドも水で出来ている。オートマタの少女がシナモン入り紅茶を持ってくる。部屋の外側には複数の美しい人魚が泳いでいる。「人魚型ロボットです。ちょっと官能的でしょう。鑑賞とメンテナンスに泳がせています」


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