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 結局、交際を申し込んだのは支店長からである。「マリー、もし君に将来を約束した男性が居ないなら、僕と交際して貰えないだろうか」マリーの余りのいじらしさに、支店長の声は上ずる。「勿論、君のご両親の許しを取ってからの交際になる」


 ツキヨミはマリーのブローチを見ています。「ありがとう。これを私に呉れるの」ブローチの出来栄えを見て、貰っていいのかな、と考える。素朴であるけど、ツキヨミとは違う美しさがある。「今日は、何かいい事あったのかな?」

 マリーは赤くなる。支店長が後ろからマリーの肩に軽く手を置き、「僕からマリーに交際を申し込みました、マリーは受けてくれました」支店長は嬉しそうに言う。「勿論、彼女のご両親に、許可を頂かないといけません」

 「たぶん、マリーさんのご両親は許してくれると思いますよ」ツキヨミは吾が事の様に喜んだ。「すぐに、ご両親に報告をしなさい」ツキヨミは二人に明るい未来を見た。


 慣れているはずの、市長の屋敷が今日は違って見えた。少し緊張しながら、マリーの案内でテーブルに着く。市長夫妻はマリーから話の概要を聞いていたので、にこやかに支店長に接してくれた。「今日、お嬢さんに、結婚を前提とした交際を申し込みました。ご両親にも交際する事に許可をお願いしたいのです」

 この交際には、いろんな意味がある。オートマタの男とと人間の女性、ツキヨミ商会支店長とオリエン国湾岸都市の娘、しかし政治的意味合いも人種的意味合いも無い。ただ一人の少女が、一人の男性を好きになっただけの事だ。

 

 先生がオリエン国の美術館の視察に訪れた。ちょうど、オリエン国医術学校のデザイン企画展が開かれていた。マリーのデザインの斬新さに、心動かされた。医術学校の詳細なジオラマが展示されている。作業中のスケッチが数多く展示されている。淡彩スケッチで作業の工程や、休み時間のひと時、汗を拭く作業員、食事の様子、付近の風景画が描かれている。平面図、立面図、側面図、パース図、美術館研究員でありながら、すでに能力は著名な建築家と同等である。


 オリエン国医術学校の視察で3DVRによる手術の練習を見学した。案内は校長のトムと細君のヨシエです。獣医科の見学も興味をひきます。すべての動物のデータが3DVR化されています。馬のお産の様子も、半透明化した状態で再現できます。病例も再現できます。


 魔法が使えない人の為の学校です。魔法が使える人にも役に立ちます。人間の体の構造も分からないで、治癒魔法を掛ける事の危険性は、治癒魔法師も充分知らなければなりません。


 先生は自分の病院の付属学校でも、3DVRの手術の練習を取り入れようと考えました。今のところ先生の病院の医師は人間である先生と、オートマタだけなので治癒魔法と透視魔法、精神魔法が全員使えます。しかし人間の医師が育ちません。初めから先生とオートマタだけの少数の医師だけの病院なので、必要性を考えなかったのです。治癒魔法を使える魔法医師の育成のため、導入を検討します。

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