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 セントラ国王都の港に着いた。港にはツキヨミ商会の馬車が待機していた。馬車は先生の館へ向かう。時間的に遅く、宿屋に一泊して次の朝、出発すればお昼には領主の館に着く。


 宿屋は何処と無く垢抜けている。ツキヨミ商会で運営する宿屋で、オートマタが店主をしている。繁盛していて従業員も10人程度いる。料理は美味しく、従業員も躾がゆき届いている。支店長は店主と久しぶりの邂逅を楽しんだ。マリーも一緒に会話に加わり、途中で支店長がバイオリンを演奏したので、マリーもピアノで伴奏した。僅かのお酒と美味しい料理と素敵な会話と音楽。楽しい時間はあっという間に終わります。


 宿屋の店主に見送られて、王都の領主の館へ出発します。領主の館の美しさにマリーは驚きます。美しい庭園は開放されていて、多くの人々が楽しんでいます。美術館も見学しました。工房へと向かいます。


 ツキヨミは工房で作業をしています。助手の女性オートマタと2人でマリー達を暖かく迎えてくれました。「オリエン国の美術館に勤めているの」ツキヨミの問いに、マリーは明るく答えます。「はい、まだ新米です」作業を中断して、助手に後をまかせて、ツキヨミは隅にあるテーブルの椅子に座るよう、進めます。係員が紅茶とケーキを持ってきます。上品に紅茶を注いでくれます。オートマタの黒猫がツキヨミの膝の上に飛び乗ります。マリーの足元に子犬が擦り寄ってきます。


 先生も来ました。「支店長、久しぶりです」マリーが慌てて立って挨拶します。「あなたがマリーさん」先生はにこやかにしています。今夜は館に泊めてもらいます。夜は宴会です。


 国王を表敬訪問します。支店長はオリエン国の支店長なので、こちらに来るたびに、オリエン国王からの親書を預かります。マリーも紹介されます。王族の一族であり、父親が湾岸都市の市長であり、マリー自身は湾岸都市美術館職員であることを紹介されました。


 王都の名物広場で音楽祭を堪能して、ツキヨミ商会本店によります。ここにはツキヨミが趣味で作った美術品が、大量に展示されています。総支配人に挨拶して、先生の領地に向かいます。マリーは興奮気味です。オリエン国とは賑わいが違います。船の荷物の積み下ろしは、終わってます。出港です。


 海から運河に入ります。かなりの距離をさかのぼって、船溜まりになっている大きな人工の湖があります。中型帆船が十隻とまってます。マリーの船も着岸します。直ちに荷の積み下ろしが始まります。大量の穀物が積み込まれます。総支配人が挨拶にきます。支店長はマリーとともに、オートマタ馬に乗ります。マリーはあらかじめ、渡されていた乗馬服に着替え、おっかなびっくり、乗馬します。


 広大な畑を見ながら、総支配人と3人で乗馬で見学です。どこを見ても畑です。間近に3千m級の山脈が迫ります。懐の深い森が見事です。見学が終わり、領主の館で夕食です。今日はこの館に泊まります。


 マリーは夕食のテーブルで初めて、この建物の歴史を聞きました。ここは医療ポーションを作る先生の住まいがあった場所です。ツキヨミと先生が始めって会った場所です。街の郊外にあって、ツキヨミと先生と精霊妖精10人で病院と食堂を経営していました。


 それから全ての破壊、神による人間間引計画。魔物の暴走と、神同士の戦い、数十mに及ぶ魔物の死骸の堆積。生き残った神はダンジョンから半径200kmを太陽の熱で焼き、蒸発させた上、再度土に戻したこと。すべてが終わったとき、先生とツキヨミと精霊妖精10人が、この館の原型を建てたこと。直径400kmの円状の大地に再び森を再生するためツキヨミ商会を立ち上げた事、


 まるで神話の話を聞くようです。そしてその時の恐怖のため、元の住民は此処には、立ち入らないそうです。


 帰りは一路オリエン国湾岸都市に向かいます。マリーにとって有意義な旅でした。ツキヨミの工房は、マリーの憧れの世界です。支店長との旅は驚きの連続でした。


 湾岸都市に着き、積載された荷物は、仕分けが行われ、1時間後にはすべって発送されました。王都に支店長と一緒に向かいます。国王にセントラ国王からの親書と報告を終えて完了です。国王は姪のマリーと楽しそうに雑談に移ります。


 


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