表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/63

51

 オリエン国湾岸都市の第2期工事をセントラ国ツキヨミ商会本部が請け負う事になりました。先にオリエン国ツキヨミ商会が提出した図面に変更はありません。


 ロボット全てに3DCADデーターが入力されています。今回はツキヨミの土属性の魔法を最大限、使う積りです。道路予定地に余裕のある共同溝を作り、下水道管、水道管、ガス管、電線を同時施工で埋設して行きます。側溝も、民地への下水取付管も、給水分岐管も同時施工です。道路部分は3日で完了です。下水処理場の流入口に下水道管をつなぎます。汚水処理した水は海へ流されます。


 山の清い河川の表流水を道水管で浄水場に運び、ろ過、殺菌処理します。山の落差による圧力を利用して、建物に水道を送ります。


 建物の工事も、同時施工です。土魔法で一気に壁を立ち上げます。壁は屋根の構造によって、様々な形になります。先生の領地より運んできた材木は、圧縮処理され、腐らず、剛性と柔軟性を併せ持つ2次製品に加工されます。壁の内装材にも、外装材にもなります。屋根や床材としても最適です。パイプスペースに給水、下水、ガス管、電線を通して、各階の設備機器に接続します。建具を取り付け、集合住宅の完成です。土魔法で作った壁は保温性、防音性に優れています。また外装に圧縮処理された木材パネルを錬金術で融合させると、外壁の組織が変化して、より自然な高級感ある外観になります。耐年劣化もしません。


 ガスは近くに巨大なガス溜りがツキヨミ商会により、発見されたので都市ガスとして、低価格で供給しております。電気もガスの熱でタービンを回し発電して、照明用として供給しています。


 二週間で街の完成です。すぐに入居可能です。遠くから見ても、近くから見ても、美しい港町です。山下公園もあります。港の見える丘公園もあります。ツキヨミ商会も一等地にあります。ハンバーグ店もあります。この国の観光拠点にするつもりで、港町を設計しています。


 現在60人のオートマタがオリエン国で生活しています。ファミリーレストランの展開や様々な事業の展開のためです。ツキヨミはオートマタを世界に分散して、その能力で世界を牛耳って貰いたいのです。オートマタは温厚です。争いを嫌います。命を至上のものと考えています。この美しい港町に、ツキヨミ商会は、かなりの不動産を購入しました。この街に住む住人全てを精神魔法で味方につけます。そしてこの国を豊かにします。


 オートマタの人権の確立とオートマタが独立出来る個人資産の増加がツキヨミの願いです。世界の12の国家は、法律に明文化されています。ツキヨミ商会が存続する限り、多分問題はないでしょう。


 オリエン国ツキヨミ商会の支配人は、湾岸都市の市長と会談しています。湾岸都市の土地はかなりの部分をツキヨミ商会と関連会社に購入されています。また住宅部分もツキヨミ商会の社員の個人資産として、優先的に購入されました。市長は王族のひとりです。オリエン国ツキヨミ商会は国との話し合いにより、現地法人となりました。


 市長は愛娘を連れてきてた。支配人は美術館に市長と市長の娘を如才なく案内しする。市長の娘は時々支配人を見つめる。オートマタは人間の理想形を体現している。まして異性なら憧れないわけがない。美術展示品はツキヨミと先生が製作した、絵画、彫塑、精密機械の人形等多数に渡る。娘のレイさんは人形から離れない。神秘的な瞳、透き通る肌、美しい黒髪。人形サイズで頭脳基盤は設置されていないが、オートマタその物である。


 音楽を奏でる人形がある。楽しそうにジャズを演奏する3体の人形。バイオリン、ピアノ、チェロのトリオ人形。

 オートマタの作品も多数ある。基盤にはあらゆる芸術の能力がインスートルされている。支店長の作品も展示されている。「私の作品があります。見て頂けますか」少女をソフトに先にいざなう。市長は何点かの作品に興味を持って立ち止まった。


 市長の愛娘は絵画の前にたたずんで、真剣に絵画の中の少女を見つめる。驚嘆した美しさである。神、月読の尊を描いた絵画である。いまのツキヨミは仮の姿である。時空の狭間に飛ばされるとき、アクシデントでこの世界に平凡な少女の姿で飛ばされた。眷属とも離れ、この世界で医療ポーションを作る先生に拾われ、今日に至る。


 これだけの作品を描ける支店長に少女は恋をした。ごく自然な反応である。少女の環境は、同世代の異性と友人になる事が難しい。ただ恋した相手が特殊であるだけだ。


 支店長が市長と会うのは、日常の事である。会わない日の方が珍しい。市長は支店長に美術館に娘を雇って貰えないか、頼んできた。市役所の秘書課でも良いが、美術館なら見栄えも良いと思った。


 支店長も快くOKした。次の日の朝、支店長は美術館の前で少女と喫茶室であった。少女は少し早めに、喫茶室にはいった。いらっしゃいませ。よく訓練された18歳ぐらいの女性が、微笑みながら注文を聞きに来た。彼女もオートマタであるが、体を解体しない限り、人間との差異は分からない。「相手は自分の事が分かっているようだ」少女は思った。


 正確に約束の時間に支店長は来た。「お早うございます、今日は無理なお願いを聞いていただき、ありがとうございます」少女のしっかりした挨拶にびっくりした。支店長は喫茶室の女性に声を掛けた、「この人は今度美術館を手伝ってもらう市長さんの娘さんのマリーさん」「えりかです、よろしくお願いします」事務的な話の後、美術館の設備を回りながら説明する。美術館の職員はマリーを入れて5人、支店長は員数外。維持管理は外注です。


 美術館の仕事はマリーにとって、遣り甲斐のある仕事だった。来館者に美術品の説明をするため、毎日勉強の日々。


 湾岸都市はオリエン国の海の表玄関です。ツキヨミ商会が出来てから、大型帆船の運行が大幅に増えて、世界12カ国の貿易、観光の人々の行き来が増えました。美術館にも国内外から、多くの人が訪れます。他国にもツキヨミ商会の美術館があります。講義も頻繁にあります。他国に行く機会はマリーが思っている以上にあります。


 支店長が出張でセントラ国の王都に行きます。よい機会なのでマリーを伴います。


 海の風が心地よく感じる、マリーは黒髪を風になびかせ、水平線を眺める。支店長は遠くから自分を眺めているのを知っている。支店長の視線は恋情による視線では無い。保護者のそれだ。まだ会ってから数ヶ月、自分が自分で無くなる様な、焦りと不安と抑えがたい人恋しさがある。


 支店長は戸惑っている。オートマタはみな、人の心理を読める、読まずとも、ちょとした仕草から、多くの情報を読み解く。それは精神魔法で人の思いを読むのと、大差ない能力だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ