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 世界会議と平行して貿易不均等の問題解決のための実務者予備会議が行われています。ツキヨミ商会の責任者が国の代理人として対応します。


 一番の問題は、相手国から輸入出来る物が無いことです。林業・農業・建築・土木・工業・医療・水産・繊維と何か無いかと、相手国の担当者とツキヨミ商会の責任者が一緒に考えます。相手国がツキヨミ商会から輸入しなければ、問題は解決するか? 無理です。一旦動いた歯車は止められない。相手国が一番欲しがっているものは何か、発想を逆に考えます。技術かも知れません。それは諸刃の剣です。


 ツキヨミから考えたら、魔物の暴走で失った森の復活を終えた以上、オートマタ1000人の生活さえ安住なら、何もいらない、となります。


ツキヨミ商会は、海外事業の展開を考えています。全てに参入するのか、相手国に出来ないことを重点的にやるのか、方針を決定しなければなりません。


 「ツキヨミ商会として、海外に子会社をつくります。出来るだけ現地の人を採用します。本社が輸入します。付加価値を付けて再度輸出します」他にも考えられることを列挙して、即実行します。「外食産業に進出しましょう。現地の素材を独自の技術で商品化しましょう。魔法を付加することで、食材を他店との差別化を図れます。最終的なノウハウは開示しません。人間は現地で採用します」


 列挙される意見として、共通しているのは、付加価値を付けて、出来る限り技術の転移は守ることです。各国に特許制度の導入を検討する必要があります。


 外食産業を展開するのに、完全現地法人とするのか、ツキヨミ商会の支店そのものを現地法人化するのか、あるいは外食産業を運営する部門のみを支店から独立させるか。いろいろ考えられます。何れにしても、お金が世界を巡らなければ世界貿易は成立しません。技術の転移もいずれ起こります。


 お金も問題になります。各国独自の貨幣を使っています。物々交換も考えられますが、貨幣の決算なら、どちらも自国の貨幣の決算を望むでしょう。外貨の準備も問題になります。レートも考えねばなりません。固定レートにするか、変動レートにするか、話し合いです。


 オリエン王国で全国展開のファーストーフ-ド店の経営を始めました。ツキヨミ商会のオリエンタランド王国支店外食産業部門を現地法人として独立させました。素材も人材も現地で調達します。素材には魔法で付加価値をつけます。ツキヨミ商会とのフランチャイズ契約です。


 オリエン王国全土でファーストーフ-ドの売れ行きは伸びています。社員は全員人間です。オリエン王国ツキヨミ商会外食部門に売り上げに応じてフランチャイズ料金がはいります。オリエンハンブゲルーヨと外食部門は名称を変えました。


 ツキヨミ商会の海外支社は、いまやその国の、経済顧問のような、位置づけにあります。貿易摩擦でオリエン王国の担当者は、何度もツキヨミ商会オリエン支社長と相談します。貿易摩擦を解消するためには、輸出できる産業を起こさなければならない。そのための協力をツキヨミ商会は惜しみません。我が事のように心配します。ファーストーフ-ド店の展開も、オリエン国の肉や野菜を使っています。雇用にも貢献しています。50店舗の建設も、国内の工務店に依頼しました。勿論フランチャイズ料金は戴きます。


 王都と先生の領地のある国をセントラ国と言いますが中央国家と言う意味です。その王都の港からオリエン国の港まで、大陸を大きく迂回しなければ成りません。最短ルートの航路をツキヨミ商会の支店長は提案します。ここはオリエン国の宮殿内です。国王陛下を表敬訪問しています。大きなテーブルの上に、精密な地図が広げられています。ツキヨミ商会が製作したものです。これだけで、技術の差が分かります。セントラ国とオリエン国の間を支店長は蛍光ペンの赤で結びます。「ここに航路を作りたいと思います」支店長は王様や大臣の反応を見ます。大臣は「そこの港を使えたら便利になる。しかしそこに至る道がない。王国でも再三検討して、諦めた計画だ」といいました。切り立った絶壁に人一人通れる道が辛うじて在るだけです。「ツキヨミ商会なら、荷車が交差出来る道が出来ます。オリエン国の将来の利益のために、苦しくとも今作るべきです」支店長の確信に満ちた言葉に、国王は明るい未来をみました。国の悲願でした。諦めていたことが出来ると言う。すべてのデーターを見て、その場で検討してみました。多くの借金をしなければなりませんが、ツキヨミ商会が保証人になる事で、何とか成ります。試算に拠れば5年で完済できます。国王は決断します。その場で契約書を作成し、湾岸設備一式を含む王都までの道路工事を決定しました。




 

 


 


 


 


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