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ラゲートさんは、愛とふたりで、ベットで寝ます。前は管理人さんがいなければ、大変でした。愛も少しずつ、大人になっていきます。今度の冒険旅行は愛にとっても、ラゲートさんにとっても、よい思い出になります。愛は巨大ダンジョンの管理人、ラゲートさんは副管理人です。あと一年でダンジョンは、亜空間に収まらない大きさになります。亜空間より出し、元の場所に戻すしかありません。愛とラゲートさんは、一生ダンジョンに拘束されます。
しかし悲観することは、ありません。愛のダンジョンは巨大で、市長さんの都市も、古代遺跡の街も、ツキヨミ様のおおやしろも、飲み込んでしまいます。もちろん、壊すことはありません、ともに、生きてゆくのです。それがツキヨミ様との約束です。
湖畔の山小屋を出発して一時間、岩肌に大きな洞窟があります。さっそく探検です。中は広く、下に行く道と少しずつ上に続く道に分かれます。下の道を歩くと、洞窟の中に、渓流が流れています。下流に向うと渓流は小さな洞窟に吸い込まれて行きます。道は渓流が消えた後でも続き、やがて浅い池に出ます。大きな池です。入浴に丁度いい温度です。地下の温泉発見です。さっそく工作ロボットに男女別々の入口を作ってもらい、脱衣所も作成してもらいます。真ん中を仕切り、覗かれないようにします。洞窟の入口の前に宿泊所をつくりました。入浴は一度宿屋に入らないと、温泉にはいれません。洞窟の中には山小屋風のらんぷを多数設置しました。LEDですが、風情があります。宿泊所は団体客でも大丈夫です。もちろん休憩も、食事も出来ます。
洞窟の中の上の道は、長く続き、洞窟の中を二時間歩くと、巨大な自然の展望台に出ます。真正面に標高一万メートルのエベレストが見えます。眼下には広く険しく深い渓谷が、人々を圧倒します。ここからエベレストまでの登山道を整備します。登山する人は宿泊所で、登山名簿の記載と、レンタルのトランシーバーの持参が条件です。目立たない横穴にトイレと大きな休息所と、登山受付所を作ります。自炊もできます。ずいぶんと早いですが、今日はこの無料宿泊所に泊まります。あす早くエベレストに向います。洞窟温泉まで2時間、帰路も2時間、丁度よい距離です。
ロボット隊が馬車の通れる登山道の建築にエベレスト山頂に向っています。困難な工事が予想されます。監督は忍者隊のネズジンパチです。他に、オートマタの男子二人が副監督です。工事部隊の行列が長く続いています。ヘリコプターも多数飛んでいます。山小屋も20個ほど造る予定です。ツキヨミが歩くところ、行き当たりばったりの工事ですが、船も、港も、ホテルも、道路も、何とか間に合っています。スタッフが優秀だとすべて順調です。
夜は、この自然の舞台の上で、音楽会です。ダンス大会です。バーベキューです。ビヤガーデンです。露店も多数出ます。エベレストにレーザでVRの映像を投影します。精神魔法も使い、リアル感を高めます。
洞窟温泉です、片道2時間の道を歩いて、温泉に向います。風呂に入った後は、宿屋の休息所で休んでから、岩舞台に向います。準備は忍者隊とロボットにまかせています。
洞窟温泉は、大きく広く、迷子になりそです。ツキヨミはメイド隊の葵と、管理人さんは花子と、愛ちゃんはラゲートさんと温泉を楽しんでいます。
夕食のときのエベレストに投影されたバーチャルリアリティは、全員を驚愕させました。仮想現実の上に、精神魔法を被せたのです。それだけでなく月読神の神威を仮想現実の上に顕現化したのです。これからツキヨミが、山頂に建設するおおやしろの意味を、知って貰いたかったのです。神の言葉です。全員が仮想現実の、紡ぎだす物語を、信じました。
さすがに標高一万メートルのエベレストの登山は大変です。でも良く考えてください。ツキヨミはホモンクロス、人間の3倍程度の身体能力をもっています。花子や葵はオートマタ、人間との比較は単純には出来ませんが、身体能力だけなら、恐らくツキヨミを上まっている可能性は大です。影丸は時空の狭間という極限状態で一人で生きてきた神です。魔族十人衆は、地球の人間とは種を異にする人間です。佐助や才蔵と戦ったツキヨミや影丸が、その能力に惚れ込み、魔王から強引にスカウトした人物達です。市長さんは、亜空間にある電子頭脳の依り代です。市長さん自体は、実態を持たない虚像です。むしろ愛ちゃんや管理人さん、ラゲートさんの方です。ダンジョンの管理人といった、特殊な立場ですが、どれ程の身体能力が、あるでしょうか?
根津甚八がオートマタの男子二人を、助監督として、エベレスト山頂に、道路と山小屋を造っています。登山口を複数作り、その数だけ登山道を作ります。登山口の近くには拠点となるホテルや、鍛冶屋、病院、ヘリポート、警察、を設置する予定です。この山はやがて、重要な神域となります。
朝ごはんを食べてから、登山開始です。影丸が先頭です。全員が騎馬です。オートマタの馬は優秀です。反重力システムは空も足場にします。バリアの発生も重要です、バリアは内部の気圧を一定に保ちます。雨風を防ぎます。温度と湿度を保ちます。馬と一緒にいる限り、脆弱な人間でも生きて行けます、馬の乳は非常食です。馬は人間の望むことを、心で読みます。




