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大型帆船の乗り心地は最高です。見た目は優雅な帆船ですが、21世紀にも無かった、高度なテクノロジーの塊です。ツキヨミの分身を、この世界に残すと決めたときから、あらゆるテクノロジーを、隠す事無く、使うと決めました。GPS衛星の打ち上げも、完了しました。惑星全体の海図、河川図を含めた地図の完成を急いでいます。専門部署を設け、オートマタ、ロボットも、急きょ作られました。
オートマタの能力は、人間を超える可能性があります。人間とオートマタのかかわりのため、ツキヨミは細心の注意をもって、オートマタの基礎頭脳基盤を定めました。人とオートマタが、共に繁栄するように、けして悲劇で終わらぬように、神の願いを込めて、頭脳基盤を作りました。
帆船には亜空間収納庫が設置されています。ここに肉や野菜、水を収納すると、時が止まりいつまでも、新鮮さを保ちます。生物は収納できません。この亜空間収納庫を各都市と、農業組合、漁業組合に設置すれば、食料の無駄がなくなります。
刻一刻と、作られて行く地図が、船のモニターに反映されていきます。一秒ごとに更新される地図は、見ていて楽しいものです。全世界の道路が、急速に伸びて行きます。もちろん無人の土地ですが、将来の予定道路と、現在進行中の道路と、設置済み道路が色分けされて、地図に書き込まれていきます。
最初の寄港地に着きます。ここは出雲港から見て隣の港ですので、すでに湾岸設備の工事は終了しています。道路もツキヨミの行程に合わせて、工事を完了させています。行程の予定は、工事現場事務所で、すべて把握しています。
オートマタの忍者隊が先行して、次々にツキヨミに、情報を伝えます。
冒険旅行はあらかじめ、衛星写真、航空写真により、探検する場所が決定されます。実行に当たっては、土木・建設班が、拠点をあらかじめ作ります。道路、湾岸設備、宿舎の工事です。
探検箇所までの道筋、運搬手段は、検討されます。出来るだけ馬車、馬、徒歩とします。河川に当たっては、馬や馬車の搬送を考慮にいれて、フェリータイプの船を製作運営します。
馬、馬車の搬送が無理な場合は、こちらと、対岸に宿舎をもうけ、同数の馬、馬車の確保をしておきます。
もちろん一行の、馬や馬車には反重力装置が付けられていて、渡河するも、川の上を歩いて上流、下流に行くも、何の問題もありませんが、冒険らしくありません。ツキヨミのこだわりです。
工事現場事務所および観光事務所の思惑もあります。今後、神が巡幸された道は、観光名所になります。冒険に前後してインフラの整備をします。詳細な記録をとって、書籍として販売します。この本は、たぶん古の古事記、日本書紀として遠い将来、有名となります。記録をとった人はヒエダノアレイ、書籍を編集した人は、オオノヤスマロと名乗っても、たぶん問題無いでしょう。すぐに改名してください。
太古の池の場合、選ばれたのは、光る池でした、そこでラゲートさんに会いました。
出雲の滝が選ばれたのは、巨大な瀑布ゆえです。神託が下って、出雲大社が生まれました。大社と書いて、おおやしろと読みます。
そして今回、巨大な竜が玉をもって、空中を暴れまわっています。戦いになるかも知れません。わくわくします。ツキヨミには、影丸や佐助、才蔵がいます。何があっても怖くありません。影丸の背中に、隠れればよいのですから。
先行したオートマタのお陰で、問題なく進めます。お昼です。今日は軽く、ナポリタンとブレンドコーヒーです。口を真っ赤にして、みんな大量にナポリタンを食べます。
原始の森を抜けます。景色はひらけ、緑一色です。蝶や小鳥が遊んでいます。見たこともない植物が茂っています。まるで緑の館の森です。アベルと森の妖精リーマがでてきそうです。ツキヨミはしばし、感動にしたっています。オートマタは植物採取、標本作りに夢中です。
市長さんと管理人さん、愛とラゲートさんは3時の紅茶を飲んでいます。
湖畔の辺で宿泊します。山小屋風の宿泊所は、直前に大型飛行艇で運ばれたものです。なるべく宿舎は、恒久的なものにしたいのです。運営側の思惑です。ツキヨミ達の通った道は、直ちに[神の通った道自然遊歩道]として、整備されます。
山小屋の前では、キャンプファイヤーを囲んで、音楽会、フォークダンスを楽しみます。メイド隊の寸劇も大うけです。市長さんも、ツキヨミや、愛と一緒に、舞台の寸劇を楽しみます。ラゲートさんや、管理人さんは、十勇士につかまっています。オートマタの少年達も、ふたりに憧れています。メイド隊もふたりに憧れています。ツキヨミ様のところに、行けそうもありません。




