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市長さんの提案は、ダンジョンの結界のなかに、ツキヨミ様の社を作ることです。古代遺跡の街に社を作り、神祭行事として交互に、社を交換してみては、と言うものだった。
この先、古代遺跡の街の社が、どのようにダンジョンによって、変化するか、わからないが、主祭神としてツキヨミ様と弟神を同時に祭る事で、解決できるのでは、と市長さんは言う。都市はもともと人々の住居として、機能していた。
帆船による冒険をツキヨミ抜きで、開始するように、影丸は命じられた。これからツキヨミの子孫が、増えていくにしたがい、世界の状況調査はかかせない。市長と愛、ラゲートさんが、同行することになった。2年が過ぎると、この三人には、世界を探検する機会がない。この世界の住人として、探検して損な事はない。
マーメイド隊が、水先案内人として、船舶を誘導します。人口が増えれば、貿易のための地図、海図が必要になる。ツキヨミ様が、この世界を去るときまでに、正確な地図を作成したい。航空機での調査だけだと、分らない事も多い。
帆船のデッキで会議です。「ツキヨミ様より、お産は神威により早めることが、出来るそうです。三ヶ月でうぶやを出る事が出来るそうです」「それは助かります、すぐに探検を再開できるのですか」「そう、伺っております」影丸も嬉しそうです。
影丸は地図を広げます。「今回の調査ですが、帆船の試運転と古代遺跡の街までの、船舶をつかった海路の開発です」「都市に一旦戻るわけですね、峻厳な山を越えるより、海路の方が、楽ですね」「海路の開発は、物品を大量に運べます。人々の行き来が多くなります」影丸の言葉に、市長も嬉しそうです。
「古代遺跡の街におおやしろを設置します」影丸が市長さんに報告します。影丸の言葉が続きます「愛ちゃん、出雲と同じ規模のおおやしろを造るけど、ダンジョンに飲み込まれるとき、大丈夫かな?」「壊さない、大丈夫!」愛の言葉は短いけど、心強い言葉です。
幾つかの大型船舶の、寄港地候補が、見つかりました。港が出来れば、街もできます。マーメイド隊が、水深を測っています。港が出来れば、道路も造ります。地図に未来の青写真をペンで書き込みます。影丸さんは技師です。
マーメイド隊が、水中洞窟を発見しました。洞窟の探検は神秘的です。深く深く洞窟は続きます。影丸はマーメイド隊に呼ばれて、洞窟に入ります。「影丸様、此処は何でしょうか。余りに神秘的で、怖くなります」
影丸は現実的に考えていました。ここはスキューバダイビングの観光スポットになる。影丸は長く時空の狭間にいたため、恐怖とか神秘とか、鈍感になっています。自分の生死すら鈍感になっています。成るように成る、それが影丸の哲学です。
影丸はもう一つ、哲学があります。ツキヨミが言った、「遊びでも、真剣にやれば、形になる」小説と同じですね、「駄文でも、真剣に書けば、暇つぶしになる」この言葉の意味を知るために、頑張ってます。
古代遺跡の街まで、一番近い港に着きました。ロボット隊を集めて、ここに港を造ります。道路を造り、古代遺跡の街まで通します。出雲港とまったく同じ工事です。オートマタ一体を監督にして、工事開始です。
影丸、市長さん達は、馬車で先に進みます。夕方、地図に現在地を丸印で書きます。ここに宿場町を造ります。やはりオートマタ一体を監督にして、ロボット隊に命令します。
また夕方になります。以下同上です。このように、すべて夕方に手配して、古代遺跡の街までの、宿場町を造りながら進みます。
馬車は快適です。とうとう到着しました。早速、オートマタ、一体を総監督にして、三体を監督、六体を副監督にして、データーを渡し、出雲のおおやしろと、まったく同じ建築に懸かります。ロボット隊百体で、突貫工事です。手抜きは無しです。
3Dデータであらかじめ、古代遺跡の街路と大社が観光都市、神域都市としてマッチするか、どうか、充分に検討しています。
影丸、市長さん、愛達は、自分達の拠点にとどまる事無く、取って返し出雲に向います。都市から出雲までの、道を出雲古道と名付け、道路工事と本格的な宿場町を造りながら、出雲の大社に向います。馬車で交互通行できる道路です。
海路と、陸路の出雲古道が、二つの大社をつなぐ重要な道です。1年毎に、ふたつのおおやしろの人員の半数ずつが交代します。これがツキヨミが命じた大社の重要行事です。2年ですべての人員が、入れ替わります。
影丸が出雲に戻って来たとき、ツキヨミは20人の幼子に、囲まれていました。幼子10人は、出雲のおおやしろに、とどまります。残りの幼子10人は、古代遺跡のおおやしろに、向います。
ツキヨミの冒険は再開されました。海路と、陸路の出雲古道の整備が、ツキヨミの気持ちを軽くします。これで世界は助かる。
4隻の帆船に分乗して、次の目的地に出発します。馬も馬車も一緒です。カーフェリーです。




