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 遥か遠くに、滝が見えます。「ツキヨミ様、今日の目的地が見えました」馬を寄せて花子が声をかけます。ツキヨミも瀑布が見えた、大きい。無人飛行機の調査でも瀑布の存在がわかっていた。神々しい、古代より瀑布を御神体とする神社は多い。ツキヨミはここに、古の出雲大社を再現しようと思った。すべての3Dデーターはツキヨミの心にある、出雲を思うと、心が痛む。


 ツキヨミは市長さんに馬を寄せて、声をかける「市長さん、あの滝の下で、しばらく宿泊します」「神秘的な滝ですね」瀑布は華厳の滝に似ている、規模はまったく違うが、一筋に滝つぼに、落ちている。普通、これだけの落差があれば、水流は四散して、滝つぼに落ちることはない。水量がそれだけ多いのだろう。


 「あの滝の近くに、弟の鎮魂の社を建てています」市長さんはツキヨミに視線を向けたが、とくに何も言わない。二人で馬を並べて、ゆっくりと進む。「誰か、残すのですか」しばらくして、市長はツキヨミに聞いた。


 「わかりません、だれかに任せたいのですが、」ツキヨミは迷っています。「社を建てたのは神託に近いもの、迷いはありません。しかし、御霊を守る人間がいないこの世界では、やがて社は朽ち、御霊は忘れさられる。オートマタを作り、御霊と関連付ければ、と思いますが、見捨てるようで、むごくおもわれます」


 市長も、考え込んでいるようです。「ツキヨミさんの分身を男女10体づつ作りませんか、男10人、女10人です、やがてツキヨミさんの子孫で、世界はあふれるでしょう」


 「影丸、私は一年間この地にとどまる。この地に大社を建てたのは、神託によるものです。大社と御霊を守る人がいなければ、やがて社は朽ち、御霊は忘られる。私の分身男10人、女10人を作り、守りとする」「わかりました、冒険はここで一旦中止して、おおやしろを完成させましょう」


 オートマタ100体が、作られました。これから生まれる、ツキヨミの分身を守るためです。作業用半自動ロボット、500体が作られました。やがて分身の子孫たちが、独立して生活が出来るように、田畑をつくりました。大規模な水路を作くり、道路を作りました。未来の門前町の青写真に従い、土地を区分けし、人々やオートマタが生活できる建物を作りました。町並みの街観は、おおやしろの神威を示すに、ふさわしいものにしました。

 

 鎮守の森は広大で神秘にあふれています。市長さん一行は、ここにとどまる事にしました。この世界の歴史的大事件です。都市の防衛は問題ありません。

 帆船10隻の完成を祝う祝典です。一時中断している冒険旅行のため、ツキヨミが筧十蔵に命じて造らせた、大型帆船です。電子頭脳を搭載して、絶対安全原子炉を制御しています。外装は純白です。大量に馬を積むため、客船とは少し仕様をかえています。荷馬車も積むため、カーフェリー仕様です。


 湾岸施設も充実しています。倉庫、宿泊所、病院、食堂、一通りそろってます。この港は恒久的に使用し、発展させる意向です。ここから出雲のおおやしろまで、馬車で10日間です、石畳の舗装道路を出雲まで作ります。


 ツキヨミがおおやしろにこもっている間、出雲大社と出雲港を中心とした、経済圏の構想と下準備が、行われています。


 構想の規模の大きさに、市長はびっくりしています。ツキヨミの代わりに、祝典に参加しました。愛もラゲートさんも参加しています。この世界に残る者にとって、重要な祝典です。


 出雲のおおやしろも変りました、多くの重厚な建物が造られました。すでに過去の地球にあった、出雲大社の規模を超えています。すべてが巨大です。


 ツキヨミは産屋にこもっています。うぶやに巫女姿のメイド隊が5人詰めています。管理人さんも巫女姿で、ツキヨミの近くにいます。愛も可愛らしく、巫女姿です。


 ツキヨミの分身は、体細胞で作ります。基本的には、霊長類のクローンと同じ方法で生まれます。生命の神秘に触れるので、これ以上の説明は、いたしません。ただツキヨミは分身を作ると決めたときから、20人の分身と虚空の中で、話し合い、見詰め合っています。片時も離れません。とつきとうかで分身は生まれます。


 影丸は市長さんと、今後の世界について、話し合っています。愛と副管理人とダンジョン。出雲。都市。の三者の関係です。


 愛のダンジョンを亜空間に収納出来るのは、2年だけです。愛の命とダンジョンの命は同じもの、2年が過ぎれば、愛も副管理人も、ダンジョンから出歩けなくなります。市長も、愛が出歩けなくなれば、自由を失います。


 出雲との関係が失われる。影丸が問題にしているのは、その一点だけです。


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