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「この世界に人間が本当にいないのか、もう一度探ろうと思います」ツキヨミの命令に、古代遺跡の街から数十機の無人飛行機が飛ばされました。報告はリアルタイムで、冒険中のツキヨミに報告される。市長の疑問は、ツキヨミの疑問でもある。
「ツキヨミ様、女はまだ起きません、ここでの滞在を伸ばしますか」影丸の報告に、ツキヨミは「伸ばしましょう、魔法道具が大分ちらばっているようですから、集めて調査してください」
「魔法道具はダンジョンのアイテムでしょう、使うのは人間ですよね」「人間がいることが、前提ですよね」「もしかしたら、都市の人間を当てにしてたのかも、しれません」宿泊所の会議室で参加者は意見を出し合っています。
「市長さん、都市の人間は何処から来たのですか」参加者の質問に市長は「召喚魔法で召喚されたと聞いています」「誰に召喚されたのですか」参加者の質問に「この星を作った神です」
だまって聞いていたツキヨミは、市長さんに質問します。「神の名は、分りますか?」「アメノミナカヌシノカミと聞いています」
「太古の池の女が目覚めました」影丸の報告に、ツキヨミは「話は聞ける状態ですか」と問います。「安定しています、管理人さんのおかげだと思います」
ツキヨミは女に話しかけます「体は大丈夫ですか?」女は体をベッドから起こします「ありがとうございます、あのままでは、私は狂うか、死んでいたでしょう」「あなたはダンジョンの管理人ですか?」ツキヨミの問いに、女は頷く、「あなたが、元気になったら、ダンジョンも生き返るのですか?」「わかりません」と女は答えた。「あなたはこれから、どうしたいのですか」ツキヨミの質問に、女は顔に両手をあてて隠します、なにも喋りません。質問が急過ぎたかなと、思うツキヨミでした。
ツキヨミと市長は個室に愛と管理人さんを呼びます。私たちは彼女を助けました、責任が無いとは言えません。管理人さんも、愛も、これまでになく、真剣な表情です。
「私には解明しなければならない疑問が、幾つかあります。あの方は、ここのダンジョンの管理人でした、あの方が元気になれたら、ダンジョンも生き返るかと、聞きましたが、彼女は分らないと答えました、ダンジョンが死ねば管理人は死ぬのですか」
ツキヨミの疑問に管理人さんが答えます「その場合、私か、愛が、あの方を引き取れば、生きられます。彼女は副管理人として私か、妹に従属します」
ツキヨミは次の疑問を口にします「影丸は女の狂気がダンジョンを産み、育てると言いました、本当なのですか? 本当なら、あなた方は大丈夫なのですか」
「私をツキヨミさんが、見捨てない限り、そして市長さんが、妹を見捨てないかぎり、大丈夫です」と、自信なさそうに答える管理人さんでした。
「管理人さん、あなたの言葉には、確信がない、問題点があるなら、いま、すべて話して下さい」
管理人さんはツキヨミに、悲しそうな顔を向けて、話します「この世界には、たぶん人間はいないと思います、召喚した人類が滅亡したとき、あのダンジョンは打ち捨てられたと思います。愛のダンジョンが生まれたのは、ツキヨミさんと、市長さんがいたからだと思います。都市や古代遺跡の街を、愛のダンジョンが飲み込むのは、そうすれば、ダンジョンが生きられると考えたからです。太古の池のダンジョンは、いま私たちがいるから、活性化しています。いまは生きているとも死んでいるとも言えない状況です。ダンジョンが生き返ったら管理人はダンジョンに属します。私たちがこの地を離れたら、ダンジョンも彼女も死にます。活性化を止める事が重要です。そうすれば愛のダンジョンに迎えられる」
どうしたら、活性化を止められるか、いっそ時間の無い亜空間に池のダンジョンを閉じ込めてしまうか、亜空間をそのまま、ブラックホールにして消滅してしまえば、問題ないか、ツキヨミはふたりに、それで問題ないか、意見を聞きます。
「神を敵にしませんか、それより、池の管理人からダンジョンに、活性化を止めて貰えないか、頼んでみた方がいい」
市長さんの言葉に従い、ツキヨミは池の女に、ダンジョンと話し合って貰うしか、解決策は無いと、伝えた。
管理人さんと愛は、女を説得する。女も納得して、いまは生死も定まらないダンジョンと、虚空の中で話し合った。「人間のいない世界で、ダンジョンは生きられない、今いる人達は旅行者、すぐに立ち去ってしまう、このまま活性化を続ければ、おまえは命を持った瞬間、死へと向う。私も死ぬことになる。おまえが活性化を止めてくれれば、私は他のダンジョンの副管理人として、生きてお前を待てる。もしこの星に、人間が来てくれれば、おまえは活性化して、ダンジョンとしての命を持つ。そうしたら、私はおまえのダンジョンの管理人になる。今、むやみに命をもって将来の可能性を潰してはだめだ」
ダンジョンは活性化を止めました。太古の池の女は愛の従者になりました。愛は女にラゲートと名前をつけました。「ラゲートさん、紅茶を入れてくれる」甘え放題です。まだ幼女ですから。
管理人さんと市長さんのおかげで、問題は解決しました。ツキヨミも内心、ほっとしました。工程の遅れもありません、急な山道を馬に乗って進みます、




