8.レベルアップ
現在地、作戦の第二段階で使った穴内部。
私はとても機嫌がよかった。
っしゃぁぁぁぁぁぁ!!!
レベルアップキタコレ!
ふっふっふ、これが力、これがパワー!
もう私に勝てるものはいない!
じゃあ早速お楽しみのステータスオープン!
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名前:未設定
年齢:0
種族:レッサーノワール
Lv.18
HP:280
MP:136/146
筋力:112 瞬発力:321
防力:78 魔攻力:180
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スキル
隠密Lv.3 気配遮断Lv.3 鑑定Lv.3
魔法Lv.2(火、水、風) 毒付与Lv.1
インベントリLv.Max
希少スキル
経験値増大 能力向上幅増大 限界突破
称号
弱者
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おお、おおぉ!!
パラメーターの桁が違う!
防御以外が2桁から3桁に!
瞬発力なんか、初期の3倍だ!
今までだって負けたことのないこの脚がさらに早くなってしまったわけだね!
素が猫だからか、はたまた瞬発力の効果範囲内なのか動体視力には今のところ困っていない。
後は細かな動きが出来れば色々と応用ができそうだ。
何はともあれ、安全性が増したのならよかったよかった。
今日は疲れたし英気を養う的な意味でも食事にしよう。
今私は運動後でカロリーを大量に消費している。
端的に言ってとてもお腹がすいているのだ。
それはもう、次戦ができないほどに。
MPも万端ではないし、時間が欲しい。
それに、気分的にも鳥を食べたい。
地面に転がっている倒したてのエルダーピード三兄弟。
通称鶏肉が、こちらを食べて欲しそうに見ている。
拒むことは出来ないだろう。
選択肢一、非常食としてインベントリに仕舞う。
選択肢二、仲間にする。
選択肢三、食べてやらんこともない。
迷わず三を選択。
今を非常時としなくていつが非常時だと言うのだ。
おいで手羽先ちゃん、お姉さんといいことしようじゃないか。
なんだろう。
転生してから妙に食い意地が張っている。
私はもっと可憐で虫一匹殺せない乙女だったはずなのに。
どうしても肉に伸びる手を止められない。
しかし、生の鳥を口にする勇気はない。
手間だが、簡単に調理はするか。
え、焼くだけだから調理じゃないって?
甘いな、昨今の学生はコンビニで買ってきた冷凍食品をチンするだけで料理したと言い張るらしいのだ。
もう、最近の若者はたるんでるね。私含め。
んじゃ、例のごとく爪で捌いていくか。
しかし、こいつに食べる身があったなんてね。
現在エルダーピードは、生きていた頃纏っていた炎がなくなり、羽を毟られた鶏のようになっている。
バナナの茎のように、食べられることを予期したような親切さである。
お腹だけ出しちゃえば、あとは食べれるし3羽ともそうするか。
爪を出して突き刺してこれまでとの違いを実感した。
切れ味が増しているのか、レッサーボアの時より抵抗を感じない。
これなら攻撃にも使えそうだ。
そうだ。
魔法でどうにかして切れ味を上げられないだろうか。
別に今の切れ味に不満がある訳じゃない。ないが、上げれるなら上げれるで損は無い。
1回やってみるか。
足をあげて、爪の先に魔力を集めてみる。
変化なし。
続いて風魔法で風を纏わせるイメージをしてみる。
変化なし。
やっぱり、簡単にはいかないか。
今の今までがうまく行き過ぎていたのだ。
この結果は当然だろう。
それでも、落胆の色は隠しきれないが。
がっかりしながら前足を下ろす。
と、そこで私は異変に気がついた。
仕舞っていなかった爪が地面に埋まったのだ。
ふぁっ!?
うそん!
変化あったわ。
切れ味がおかしくなってる。
危ねぇな!
体触ったりしなくてよかった。
死線をくぐってきたばっかりなんだ、自害は待ってくれ。
慢心、ダメ、絶対。
見た目的には何も変わっていない。
よくわかんないなぁ。
風魔法は鎌鼬もそうだったが見えないとなると、運用次第で自分にも牙を向きそうだ。
なんとも恐ろしい。
◆◇◆◇
そんなこんなしているうちに三羽全てを捌き終わったので、うち2羽をインベントリに入れ、残り一羽をレッサーボアと同じ調理法で調理して食べた。
食感はそのまんま鶏肉。味は悪くないが、ここまで来ると調味料が欲しくなってくる。
旅に出たら探してみよう。
胡椒は金と同じ値段だったりするかもだから、塩なんかの安価なものになるかもしれないけどね。
さて、お腹も膨れたし、休める時に休んでおこう。
私は穴の中で身体を丸めて眠りについた。