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第1章:チュートリアルですよ?ちょっとハードな.......
23/29

22.ワイト

 前方に小高い砂丘。

 そこには豪奢に着飾ったひとつの骸が良質な深紅の玉座に頬杖をついて座っている。

 ぼ、ボス感が半端ない。

 ボスじゃなくても近寄ったらイベント発生するやつだ。

 私は知っている。

 骸の魔物はろくな奴じゃない。

 進化直後の猫を襲う非常識な奴等だ。

 先手必勝で魔法を打ち込みたいが、悲しきかな今の私にはそれが出来ない。

 無視しようかな。


 インベントリには1階層で集めた食料(魔物達)が大量に入ってるし、水分補給にはポーションがある。

 実はフロアにイベント必須アイテム隠れてました、なんて嫌だしね。

 まぁ、深く潜りすぎて痛い目にあった経験もあるし一概に慎重なのが正義って訳でもないけど、今がその時じゃないのは人生素人の私でも理解している。

 ひとまず、鑑定だけして索敵を続行しよう。

 方針をまとめ、骸に鑑定を使用、


 ―――――――――

 種族:ワイト

 レベル:1(上限)

 ―――――――――


 した途端、敵、ワイトが口を開いた。


「汝、この地底から生きて帰れると思うことなかれ」


 その消え入りそうな呟きに言いえぬ寒気を覚える。

 強烈な既視感。

 強烈な吐き気と目眩。動悸、眩む視界。

 これは!

 開いたままにしていたワイトのステータスを急ぎ確認する。

 ―――――――――――――――――

 名前:未設定

 年齢:0

 種族:ワイト

 Lv.1(上限)

 ―――

  パラメーター

 HP:1000

  MP:100000

  筋力:10 瞬発力:10

  防力:10 魔攻力:10

 ―――

  スキル

  死の宣告Lv1 死霊召喚Lv3

 ―――

  称号

 なし

 ―――――――――――――――――


 死霊召喚。それと、死の宣告…………まさか!!


 ―――――――――――――――――

  ステータス

 名前:未設定

 年齢:0♀

 種族:暗猫

 Lv.27

 状態異常:呪い/死(200/300)

 ―――

  パラメーター

 HP:1850

  MP:2260

  筋力:860 瞬発力:3157

  防力:236 魔攻力:1550

 ―――


 スキル

  隠蔽Lv1 呪眼Lv1

  魔法Lv.4(火、水、風、闇) 毒付与Lv.3

  インベントリLv.Max

 希少スキル

 経験値増大 能力向上幅増大 限界突破 バーサーク

  ―――

  称号

 立ち向かう者 血染めの疾走者

 ―――――――――――――――――


 幻惑とは違うが、状態異常にかかっている。

 呪い/死。

 効果など読んで字のごとく。

 死。

 恐らく、この数字がゼロになった瞬間、私が食いしばって生き抜いた事実も水の泡になって終わる。


 でも、それは今までだってそうだった。

 何も変わらない。また乗り越えるだけだ。

 生きて出る。その目標に変わりはない!

 ぞわりと全身に悪寒が走った。

 気がつくとワイトの周囲にいくつもの青白い魔法陣が出現している。


 ――――――――――――

 死霊召喚:レベルに応じた死霊系の魔物を召喚できる。

 ――――――――――――


 つまり、レベル3相応の魔物を召喚したのだ。

 魔法陣はワイトを中心に広範囲に展開されている。

 勿論ワイトに比較的近くにいた私を巻き込んで。

 正確な数は計り切れないが、ざっと見積もっても5000はある。

 考えるまでもなく、私は包囲の外へ向けて走り出した。

 瞬発力3000オーバーの全力をもって疾駆する。

 しかし、一足遅く、周りには既に多くの魔物が姿を見せ始めていた。

 スペクター。レイス。エディンム。

 種類は3種だが、その圧倒的物量に囲まれ、トップスピードにのりきれない。

 どんなに早かろうと、道を塞がれれば関係ない。

 次第に失速し、死霊達に捕まりそうになる。

 やむを得ず、応戦しようと爪を出して斬りあげるも、手応えがない。

 それもそのはず。

 実態のないものをどうやって切るというのか。

 焦りが出た。

 普段なら、この小さい頭でも気づけることに全く意識が向いていなかった。

 腕を振り抜いた瞬間の隙をつかれ、スペクターの手がほんの僅か、体に触れた。


 !!


 心臓のリズムを崩された様な衝撃に硬直しかけるも、意地を出して足に力を込める。

 遅くてもいいから捕まってはならない。

 本能が接触を拒絶している。

 あれに触れられたらまずい。

 物理攻撃は効かない。

 敵の体はすり抜け、触られただけで金縛りにあう。

 それに、あの感覚。

 ステータスを見る暇はないが、何かを失った感じがした。

 相手をしてはダメだ。

 今は逃走に専念するしかない。

 瞬発力だけに頼るな。ない技術絞って避けろ!

 振り下ろし、横薙ぎ、タックルに殴打。

 隙間を縫い、隙を潜り、意表を突く。

 生きる生きる生きる。

 それだけを胸に、集中の深みへ沈み、私の逃走を続ける。

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