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第1章:チュートリアルですよ?ちょっとハードな.......
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17.ボス攻略

 風魔法の推進力を利用して壁から壁へと移りながらの応戦。

 一見足場を奪われ不利な状況に思えるが、その実、私は善戦していた。

 呪眼でステータスを低下させ、圧倒的なスピードで翻弄しヒットアンドアウェイを繰り返す。

 更に私は、魔法に毒を付与している。

 入口にあった泉が全てスライムであれば毒を封印する理由はない。

 その影響でフィッシュボアとスライムの動きは鈍くなり、最早勝利は確定したも同然だった。

 しかし、油断はしない。

 どれだけ優位にいたとしても、お互い命をかけているからには何をされても不思議ではないからだ。

 焦らず、着実にダメージを蓄積させていく。

 突進を躱し、距離をとりながら魔法を放つ。

 離れようとすればその分接近し、攻撃の手を緩めない。

 フィッシュボアが暗転を飛ばしてるが、余裕をもって避け、お返しに風魔法を放つ。

 しかし、カウンターは決まらず、下からスライムが体の一部を伸ばして防がれた。

 私からすればどちらにダメージが行こうとやることは変わらないけどね。

 それに、呪眼でステータスを半減にしてるからHPも残っていないだろう。

 あまり時間をかけすぎても私が消耗するだけで得しない。

 ここで畳み掛けるのが吉。

 フィッシュボアは疲れているのか、開口呼吸を繰り返している。

 おそらく、私が致命的なミスをしない限り突進してくることは無いだろう。

 案の定、フィッシュボアは暗転を放ってくる。

 しかし、分かってはいてもスライムに挟まれてしまい避けようが無い。

 仕方ないので、私はそれを避けずに真っ向から受けることにした。闇が視界を隠す。

 しかし、私には敵の動きが手に取るようにわかった。

 スキルではなく、猫の優れた五感が教えてくれる。

 一気に跳躍し反対の壁に飛び移る。

 その数瞬後、私がいた場所に“2度”の衝撃音が起きた。

 今部屋には私の他には2匹しか居ないのだし、言うまでもなくスライムとフィッシュボアの攻撃だろう。

 しかし、フィッシュボアは風切り音で探知出来るとしてもスライムは壁に張り付いて移動している液体なのだ。音を感じるのは至難の業。ましてや、敵の位置を把握するなんて芸当が出来るはずがない。

 っと普通は思う。

 おそらく敵もそう思って油断してくれる。

 でもね、猫にはもう一つ音を感じとれる部分があるのだ。

 それは足裏。

 肉球と手根球の被毛により地面の振動を直に感じ取ることができる狩の技。

 小さい鼠なんかを瞬時に察知することが出来るのだ。

 そんな小さい獲物の動きを感じ取れる足に、巨大なスライムの動向を察知できないわけが無い。

 私は衝撃音がした場所に魔法を乱射する。

 スライムは避けられるとしても、フィッシュボアは突進直後で壁に埋まって見えていない。

 予定調和のごとく背を向けた相手に吸い込まれる数々の魔法。

 そのけたたましい量にフィッシュボアは為す術なく潰された。

 術者が消えたことで暗転も解除され、残ったスライムを睨めつける。


 ――――――――――――

 種族:スライム

 Lv1(上限)

 HP:106/7500(15000)

 ――――――――――――


 最早虫の息。

 牽制しつつも近寄る必要はなさそうだ。

 毒に蝕まれ、液状だった身体が気化していき、最後には何も無くなってしまった。

 最初の不意打ちには肝を冷やしたが、思いの外あっさり勝ててしまったことに惚けてしまう。

 あれ?…………終わりなの?

 え、嘘。

 リッチよりあっさり行ってしまった。


 ◆◇◆◇


「お、勝ったみたいだよ」

「このくらいはやってくれないと割に合わない」

「随分と強気だねぇ」

「違う違う。僕が薬のために働かないといけなくなったんだからこのくらいはって意味!」

「なにさ、まだ根に持ってたの?」

「だって1番近い町でも2日掛かるじゃん」

「宙に浮いてるんだし歩くより楽でしょ?」

「気持ちの問題だよ」

「君って引きこもりだったのかい?猫は我がみておくから安心して行ってきていいよ」

「僕は猫を心配してるんじゃないって」

「はいはい、惚気は他所でやってくれ」

「いや、惚気てないし」

「もういいから早くお使いに行ってきてよ」

「…………言われなくたって行くさ」


 ぶつくさと何事かを呟きながら部屋を出ていく。

 あんにゃろう気がつくと部屋にいるな………。

 口調も軟化してきたし、懐かれてしまったかの?

 その考えに薄ら寒さを覚えながらも、ウルドラは2階層内の様子をチェックするのであった。

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