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第1章:チュートリアルですよ?ちょっとハードな.......
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14.覚悟

 ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!


 味気ない腕に牙を立て、自己防衛本能に操られた1匹の小さな獣は一心不乱に魔法を乱射する。

 理性では無謀だと悟っていながらも、殺らなければならないと、胸中で誰かが叫んでいる。

 また無意味に終わらせる気か、誰も助けられず、何も成せず、残せずに、お前はまた終わらせる気かと、知らない自分が訴えかけてくる。

 言葉一つ一つにどうしてだか、言い様のない悔しさを抱いてしまう。

 涙が止まらない。



 ━━━━━━━━━━━━━━━もう諦めるしかない。

 止めてよ、痛いよ、辛いよ…………。

 冷静な私が泣いている。

 しかし、私の体は止まらない。


 ━━━━━━━━━━━━━━━なんで私ばっかり。

 何も出来ない、期待されてない、私はこんなにも努力してるのに。

 過去の自分が笑っている。


 無駄なのに。

 結果はわかってるのに。

 何も残らないのに。

 学ばない、使えない、くだらない。

 ━━━━━━━━━━━━━━━後ろ指を指して、粗悪品の少女は泣いている。


 無闇矢鱈に暴れていたリッチも、それに合わせるように、バカにするように、見えないはずの私を掴み取り、出口の壁に向けて投げつけた。

 私の小さな身体は無抵抗に風を切り、激しい音を立てて衝突する。

 重力に引かれて、四肢は地に伏せ、虚ろな視界に血溜まりができていく。


 ━━━━━━━━━━━━━━━ほらやっぱり。

 粗悪品の少女はしたり顔で、けれどやっぱり悲しそうにそう言った。

 かないっこない。期待は失望と表裏一体。失望したくなければ期待しなければいい。

 嫌われたくないなら関わらなきゃいい。

 死への恐怖が嫌なら、生きるのを諦めればいい。

 これまでだってやってきた。

 もう、生に執着するのはやめにして。受け入れようよ。

 終わりにしようよ。


 …………。


 嗚呼、また誰かが泣いている。

 悲しい思いに潰れそう。


 ………………。


 だから、私の体は止まらない。

 たとえ、足が折れていようとも。身が溶けていようとも。

 痛みで前が見えなくなっても。

 私は、何度だって立ち上がるよ。


「う゛にゃ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


 なぁ、過去の私。この声が聞こえてるか。

 私は、猫として“生きてるよ”。

 報われなかった人生を背負ってみっともなく足掻いてるよ。

 だって、彼女の遺言をお前はまだ、果たしてないだろ?


(振り向くな。前を見ろ。先に進め)


 努力は、叶えるまでやって努力と言うんだ。

 いちいち後ろ向きに考えるな。敵を討つことだけに集中しろ。

 恥をかかすな。


 行っけ!









 一気に加速し、接敵を試みる。

 奴には私の姿が見えていないらしく、眼光は探るようにとめどなく揺れている。

 攻撃用のスキルは使用には悪手なものばかり。


 ―――――――――

 種族:暗猫

  HP:23/500

  MP:40/100

 ―――――――――

 ―――――――――

 種族:リッチ

  HP:2130/2300

 MP:880/900

 ―――――――――


 やはり種族の差は埋められないのか、同じレベルなのにステータスに開きがある。

 加えて、間も悪い。

 もし、進化前に来ていたならば問題なく対処出来た。しかし、今の私には潤沢だったかつてのステータスはない。

 進化して種族の格は上がったはずなのに…………。

 せめてレベルをあげた後だったら…………。


 !!


 そうか、あの時の方法でよかったのか。

 閃の舞い降りた私は直ぐに行動を起こすが、戦況は思惑通りに行かず、リッチがこちらに目をつけた。


 バレた!


 そう悟った私はいち早くその場から跳び、離脱する。

 数瞬遅れて到達した魔法が地面を白く染めた。

 氷結魔法。

 リッチのスキル内にあった魔法の1つ。

 きっと、視認できずに動き回る私を凍らせて拘束したいのだろう。

 最初にあれを撃たれていたらと思うと、火傷のあとに痛みが走る。

 とりあえず攻撃を喰らわないようにしなくては。

 今の私のHPでは、どんな攻撃も防ぎようがない。

 時間の問題だな。

 作戦にしても私の生死にしても、どれだけ持ちこたえられるかで結果は変わる。

 踏ん張りどころだ。


 女は度胸!

 気合い入れろ!


 ◆◇◆◇


 あれから暫く経った。

 発見の要因になっていた出血を、火魔法で焼いて止めてからはリッチの攻撃もなりを潜めて警戒を続けている。

 しかし、そうしている間にも、私の作戦は着実に遂行への準備を重ね、漸く、

 私のターンが幕を開けた。

 やっと、やっとだ。

 私の作戦は成就した。

 これで私が負けることはほぼ無くなった。

 これまで苦しめられたのを水に流すことは出来ないけど、貴方もダンジョンの為にやったこと。

 責めるつもりはないよ。

 でも、見逃すことはできないから。

 せめて痛みも感じないよう、一瞬で終わらせてあげる。

 私は足に力を込める。

 諦めでも、自棄でもなく。冷静に、己が歩んでいくための道を踏みしめ、私は跳んだ。

 今出せる最速での跳躍に、しかしリッチは首を刈られるその瞬間まで、動くことはできなかった。




 ありがとう。

展開が早すぎる気がしてならない、桜木さんです。

一章は下準備期間だと思ってもらって結構です。

い、言い訳ではありません!!

……多分(´・ω・`)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・以上!言い訳コーナーでした!!

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