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第1章:チュートリアルですよ?ちょっとハードな.......
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11.決死

 皆聞いてくれ。

 世の中には不条理なことが沢山あるんだ。

 戦争だったり、無実の罪で捕まる人だったりね。

 宜しくない事に、これを完全になくすことは出来ないんだよ。

 人は完璧な存在じゃない。

 間違いだって沢山ある。

 失敗してもいい。

 だから、まずは失敗したことを認めることから始めてみるのはどうだろうか。

 勇気を振り絞って一歩踏み出せば、世界の映り方もおのずと変わってくるよ。



 だからね、この状態は誰のせいでもない。

 決して私に非はないと思うんだ!



 ―――――――――――――――――

 名前:未設定

 年齢:0

 種族:レッサーノワール(進化可能)

 Lv.20(上限)

  HP:300

  MP:170

  筋力:130 瞬発力:360

  防力:170 魔攻力:240

 ―――

 スキル

 隠密Lv.4 気配遮断Lv.4 鑑定Lv.3

  魔法Lv.3(火、水、風) 毒付与Lv.2

  インベントリLv.Max

  希少スキル

 経験値増大 能力向上幅増大 限界突破

 称号

 弱者

 ―――――――――――――――――


 レベルが上限に達したことにより、それ以降に倒した魔物ぶんの経験値は入っていない。

 つまりは無駄骨をおったことになる。

 畜生。なんのために危険を冒したと思ってるんだ。


 なんだかどっと疲れた。


 ま、元々あってないような出来事だし、少しでもレベル上げできたからいいかな。

 いいわけないけど。

 嗚呼、勿体ない。


 陰鬱になりながらもきりきりとステータスを見ていく。

 種族の横にある進化可能ってのはレベルが上限に達したからか。

 フィッシュボアにはなかったが、あれはボスだしカウント外なのかもしれない。

 でも、あれ以外に上限に達している魔物を見ていないのも事実。

 この世界に来てから日が浅いのもあり、他との遭遇率も言うほど高くはない。

 結局は情報不足なわけで、打つ手なし。今は出口に向けて足を動かすしかない。

 丁度さっきの一件でレベリングの方法も思いついた。

 早く外に出て進化してレベルの上限を解放しなくてわ。

 ルンルン気分で足取りが軽くなり、スピードも上がる上がる。

 そう言えば、触れてなかったが隠密系のスキルが2つともレベル4になった。

 正直常時つけているせいで精度の程は実感が薄い。

 このスキルって案外いらない子かもしれないのだ。

 狼からの逃走にしろ、魔眼の回避にしろ、表立って活躍している感じじゃない。

 もしかしたら、私が小さいからこれまでも見つからなかった説まであるのだ。

 怖いから外すことはできないけどね。


 そう思った矢先のことであった。


 現実とは面白いものでそういう時に限って不幸は起きるもの。

 差し掛かった曲がり角から何かが身体をのぞかせていたのだ。

 ヌラヌラとした光沢を帯び、正面についた三つの目がぎょろぎょろと異なった動きを繰り返している。体長1m程の黒いカエルだ。


 エンドフロッグ。

 確か個体によって色んな┈┈┈┈┈┈┈┈。

 そこまで思い至って私は後方に大きく飛んだ。

 確かあいつは魔眼持ち。

 これまでは運良く遠目に見えたら別の道を行くようにしていたが、さすがに近くだとまずいだろう。

 あれだけ派手に飛んだのだ。気づかないはずがない。


 すぐにでも攻撃が来る!


 そう考えた私は着地と同時に迎撃の準備を整えた。

 背を向けては攻撃への対処が遅れる。

 魔眼対策に間隔は空けたので、後はこのまま下がるだけ……。


 しかし、予想に反して、奴はゆっくりと歩いて来た。

 視線も相変わらず探るように彷徨わせている。

 ばれて……ない?

 脳裏をよぎるのはレベル4になった隠密系スキル。

 まさかとは思いつつも、相手の様子を見ているとどうしても試したくなってしまう。

 今のステータスなら対処事態は容易。

 今後のためにも、私に何が出来るのかを知りたい。

 警戒は解かずに道の端に避けてエンドフロッグを待ち構える。

 徐々に縮まる距離。

 早鐘を打つように絶え間のない鼓動が耳に張り付いて鬱陶しいが、どんなに押さえつけても静かにはならない。

 その音でバレてしまわないかと不安に飲み込まれそうになるも、相手との距離は互いに全体を視認できる距離まで縮まっていた。

 いつだって攻撃出来る。

 しかし、それは相手も同じ。いつ攻撃を仕掛けてきてもおかしくはない。

 緊迫感でどうにかなってしまいそうだ。

 そんな時間が数時間か、それとも数十秒か続き、漸くエンドフロッグとの距離が後一歩のところまで縮まった時、相手は…………まだ、視線を泳がせていた。


 ◆◇◆◇


 …………死ぬかと思った。

 最早自殺願望でもあるんじゃないかと疑うレベルの行動に、自分の事ながら舌を巻いてしまう。

 しかし、これで証明出来た。

 うちの子はいらない子なんかじゃない。

 やればできる子なのだ!

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