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第1章:チュートリアルですよ?ちょっとハードな.......
11/29

10.フィッシュボア

 

 光の先が外だと思っていた時期が私にもありました。

 開けた広場。そこでは、微かに光を纏うコケ類が辺りの壁や地面を覆い、昼間のような光量を保っていた。

 隙間から生えている大小様々な紫の結晶が、ミラーボールのように光を反射させている。

 明るい場所には、小さいながらも色とりどりの花が群生していたりとなかなかに面白い

 中でも目を奪われるのは空間の4割を占める泉の存在だろう。

 水中には水苔や水草が群生し、所々で一風変わった水生生物が尾を揺らしている。

 遠目に見えた光はどうやら自生しているヒカリゴケのものだったらしい。

 色彩が淡いものばかりだからか、眠気さえ誘われるその光景はまさにファンタジー。

 一面を覆う緑に自然と肩の力が抜け私は束の間の休息に胸をそっとなでおろした。


 ◆◇◆◇


 水中を泳ぐ、上半身がイノシシ、下半身が魚の生き物を鑑定してみた。


  ―――

 種族:フィッシュボア♂

 Lv1(上限)

  ―――

 パラメーター

 HP:1000

 MP:100

 筋力:2000 瞬発力:3000

 防力:600 魔攻力:0

  ―――

 スキル

 暗転

  ―――


 うげぇ。

 こいつ強すぎないか?

 私もそこそこ力をつけたが、こいつには勝てる気がしない。

 もしかしなくても1階層のボスなのか?

 あちゃぁ。

 出口を探してるのに最深部に来てしまったのか。

 ドジっ娘キャラのつもりはないが、まさか真逆に来るとは。

 まぁ、ボスも水中からは出てこないみたいだし一休みするかな。

 スキルの強化もしておきたいし、何より疲れた。

 来た道をまた戻ると思うと億劫で二の足を踏んでしまう。

 ボスとステータスの比較でもしてみる?



 ―――――――――――――――――

 名前:未設定

 年齢:0

 種族:レッサーノワール

 Lv.18

  HP:280

  MP:136/146

  筋力:112 瞬発力:321

  防力:78 魔攻力:180

 ―――

 スキル

 隠密Lv.3 気配遮断Lv.3 鑑定Lv.3

  魔法Lv.2(火、水、風) 毒付与Lv.1

  インベントリLv.Max

  希少スキル

 経験値増大 能力向上幅増大 限界突破

 称号

 弱者

 ―――――――――――――――――


 む・り・だ・ろ!

 私の十八番である素早さでかなわないんじゃ詰みだよ。

 先程よりも泉との間隔をあける。

 でも、ダンジョンの頂点を目指すならボスも倒さないとなんだよねぇ。

 レベル、レベルなぁ……。

 どうやれば効率よく経験値を稼げるだろうか。

 やはりスピード活かした周回が手っ取り早いだろうか。

 それとも餌で誘き寄せるのも策か。

 どちらもいいが、効率を考えるとどうしても安全が疎かになるし。

 悩みどころだ。

 果たしてどうしたものか。


 ◆◇◆◇


 戻り道。

 今度は真逆の道を歩いて行くと、どうしてだか来た時よりも通路が騒がしい。

 いや、騒がしいという程でもないのだが、何処からか魔物の声が折り重なって聞こえるのだ。


 疑問に思いながらも、後ろにはボス部屋しかないので進むしかない。構わず歩を進めるも、徐々に大きくなる魔物たちの声に警戒を高める。


 そして、道が二股に別れた所で私は声の出処と思しき、

 というか十中八九ここであろう場所に出会した。

 何十匹という魔物の群れが崖下に広がる大広間のような空間でひしめき合っている。

 密度のせいでまともに動けもせずに押し合い圧し合いするその姿は上から見るととても滑稽に写った。


 何この空間。

 モンスターハウスにしても出来が悪い。

 まず第一に侵入者が中に入れないんじゃ存在意義がない。

 このダンジョンを作った奴は何をしたいんだ。

 作った存在がいるならばの話だが。

 出現している魔物の中に飛行できるエルダーピードが居ないことを確認。

 ひとまずは自分に関係ないと捉えるも、この設計の意味を測りかねて頭上に大量のクエスチョンマークを浮べる。

 ま、向こうから手出しできないみたいだし、これってレベルアップのチャンスだよね?

 一方的に攻撃できるこの状況で無視は出来ない。


 登ってきて鉄砲水みたいに雪崩雪崩(なだれ)られても困るし。

 大自然のプレゼントと思って経験値は頂いておこう。


 私は上からこっそり毒付与をした風魔法を流し込んだ。

 バレないようにそよ風程度に威力を抑えて、ゆっくりと毒を吸わせていった。

 次第に倒れる魔物達。

 ウハウハの私の構図が出来上がった。

 よし。これでボス攻略に一歩前進だ。

 心躍らせながらも虐殺は止まらない。

 そして、それから暫く後、洞窟はいつもの静寂を取り戻していた。

 ◆◇◆◇


 ???視点


「あ、そう言えば実験用に作ったモンスターハウス擬き片付けしてなかったな」

ฅ( ̳• ·̫ • ̳ฅ)

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