プロローグ
「うおぉぉぉぉぉぉい!!」
洞窟に少年の声が響く。その声は気合いに満ちた声ではない。例えるならば鬼ごっこでどれだけ追いかけても誰も捕まえることができない時の鬼の悲鳴に近いものだろう。
「もう戻ってこいよー!」
「いい加減諦めましょうよー!」
後方から走ってきた仲間達が叫ぶ。だが少年にその声は聞こえない。ただ目の前の薄青いゼリーのような生き物を倒すことに必死なのだ。少年は手に持った剣を振り必死にその生き物を追いかける。だがその生き物は少年の周りを跳ねて、なかなか剣は当たらない。そして当たったとしても"ブルンッ"と音を立てて剣を跳ね返す。その様子はまるで少年がその生き物に遊ばれているようにも見える。その瞬間、
「グホァ!」
少年がいきなり仲間達の方へ吹っ飛んだ。跳ねていたその生き物が少年の脇腹にクリーンヒットしたのだ。少年は脇腹を抑えながら地面を転がっている。
「アッハッハーー!痛そーー!アハハハハ!」
少年を指さしながらお腹を抱え、少女が笑っている。抑えているのは同じ部位だがその顔は少年とは違い、最高の笑顔だ。
「あんたスライム相手にこのざまとか、アハハッ!見てて最高っ!」
そう。少年が必死に追いかけていた相手はスライムだったのだ。少年は地面に倒れたまま動かない。少女の笑い声が洞窟内に響き渡っていた。
読んでくれてありがとうございました♪
完全に見切り発車でのスタートなので、多分私は今、必死にストーリーを考えていると思います(笑)
次回も読んでくれると嬉しいです。