8.勧誘
「アイオーンプレイヤーってその、どういうことですか?亜下さん。」
俺はそう思わず尋ねた。
「リサって呼んで、まあこんな所で話すのも微妙だからお茶しない?近くに良い喫茶点あるの。」
そうリサは不適に笑った。
そうして俺は裏路地からそう離れた所にない喫茶点へと連れて枯れる。
店前にガーデンがあり、少しクラシックさを感じさせる喫茶点だった。
窓際の席にお互いに向かい合うように座ってウェイトレスに注文する。
俺は勝手がわからないので紅茶を1つ。
リサはレモンタルトとコーヒーを頼んだ。
「それで、あなたは何ですか?」
「アイオーンプレイヤーはね。アイオーンクロックで時間が止まった中心地から2km以内にいる場合、その時間停止空間に入ることが出来るの。」
「それで俺とあの『ジライヤ』とかいう人の戦いを観戦していた?」
そう尋ねる俺にリサは手を合わせて笑う。
「そうそう、結構観戦って出来る機会が珍しいからね、外からじーっと見てたんだけど……ほら、『ジライヤ』っていう彼、有名な初心者狩りプレイヤーでね。ランカー会議でも問題視されてたのよ。それで私がちょっとしめてやることにしたんだけど……見つけたらもう対戦開始しててたのよ。」
リサはそう語りながらタルトにフォークを入れて口に入れる。
その後、レモンの酸味に顔を口をすぼめた。
「おいしい。レモンタルトはやっぱここのが一番よね。」
「はぁ。」
「それでどこまで話したっけ?」
「えーとあなたが『ジライヤ』をしめてやろうとしたら自分が戦ってたところですかね。」
「ああ、そうそう。それでいつも通り初狩り決まっちゃうのかーと見てたらなんと逆転勝利を飾ったじゃない?あのままあいつにカードを使わせてたらあいつの切り札の『ジ・グレイヴ・オブ・デス』が出てきたらあなたには勝ち目なかったのよ。」
それはなんとなく予感はしていた。
あの一瞬、攻撃の手が緩んだように感じたのだ。
それはさらなる大型を出す為の一呼吸。
それが出てきていたらカードもなかった俺には勝ち筋が無かっただろう。
「初心者であんな度胸の据わった立ち回り出来る子って中々いないでしょ?それで君に興味を持ったの。んーおいしい。」
「あ、あの……。」
「なに?」
俺は意を決して尋ねることにした。
「俺、このゲームのことまだ全然わからなくて、もしよければ色々教えてくれませんか?」
そう尋ねる俺にリサはきょとんとした顔で静止した後、少し考えるようにして……。
「何が知りたい?面白いもの見せてもらったし答えられる範囲なら答えてあげるよ。」
「率直に言ってアイオーンクロックって何なんですか?あんな非現実的な事がゲームで起こるなんて……。」
そう尋ねられたことにリサはくすくすと笑った。
「それはわからないね。強いて言うならアイオーンのアカウントは知ってる?」
「はい。」
「じゃあ、今それを見てみて……。」
そういわれ俺はスマホのSMSを開いてアイオーンのアカウントの画面を開いた。
前に見た時は何も書かれていなかったが、今ではびっしりと文字が書かれている。
一番上のツイートを見て俺は思わず目を見張った。
―――
『ジライヤ』VS『カラス』
15:15
勝者『カラス』
―――
そう俺の名前とさっきのバトルの戦況報告が流れていた。
「これは……。」
「そ、対戦結果が呟かれるの……対戦内容は近くにいた人しか固定時間フィールドに入れないからわからないんだけどね。」
「でも、俺が初めて見たときには何にも呟かされていませんでしたよ?」
「そこは謎なんだけどね、なんでもプレイヤー登録したプレイヤー以外はアイオーンの呟きは見れないみたいなの。」
「なんでですか?」
「私にわかるわけないじゃん。それで君、このサイトにアクセス出来る?」
そういわれURLが書かれた紙を渡される。
俺はそれに従ってURLを入力するとアイオーンランキングなるサイトが開かれた。
簡素な作りなサイトで特別な彩色もなく、ただ集計結果の文字の下に文字列が並んでいる。
1位『黒斗』 95pt
2位『アイシャ』 90pt
3位『堕天使マリー』 88pt
4位『白草』 85pt
5位『スパイラルカイザー』 80pt
6位『亜下リサ』 79pt
7位『ストロングドラゴン』 77pt
7位『ブラッドジョー』 77pt
9位『鮮血のウルフ』 75pt
10位『ホライゾン』 73pt
思わず息を吞んだ。
「これは……?」
「このサイトの管理人はアイオーンのツイートのログを集計してくれてる有志のプレイヤーでね。現在だれが一番100ptに近いかを表示してくれている。」
「リサさんの名前が……。」
「ランカーだって言ったでしょ?といっても6位だからね、5位以上の化け物とは天地の差があるわ。」
「はあ……。」
驚きこそはすれ疑問もある。
その内の1つを俺は尋ねてみることにした。
「例えばなんですけど、このゲーム。アンティが成立したらそのアンティで戦うんですよね。」
「そう。」
「じゃあ、今まで100ptに到達した人っていうのはいないんですか?俺の今回の奴みたいに1度に15枚獲得するケースがあるのならば、もう例の100枚をゲットしてエクソダス対象者とやらになっている人もいそうだけど……。」
そう尋ねられリサはくすくすと笑った。
「そうね、そこは最初疑問になるところだものね。でもポイントが80を超えるとねこのゲームではある制限が追加されるの。」
「制限……ですか?」
「自分よりポイントの少ない相手に挑んではならないってね。」
それを聞いて俺はなるほどと頷いた。
確かにそのようなルールがあるのならば、上の方にいけばいくほどポイントが増えるのが難しくなる。
「だから、上位ランカーには自分のコミュニティを作って自分と戦う相手を育成しているところもあるわ。有名なのは『アイシャ』と『スパイラルカイザー』ね。この2人はタッグを組んで上位ランカーを育成して、自分と戦える相手を作っている。逆に『黒斗』は一匹狼で誰とも組まないみたいだけど……。」
「『黒斗』っていう人は強いんですか?」
そう尋ねられ少しリサは解凍に困ったようにして口を開く。
「強いというよりは勝ち目がないというのが正しいかな。誰も彼に挑みたくないのよ。」
「はぁ……。」
「それよりもね、ここからが本題なんだけど!」
リサが身を乗り出して俺に言う。
「あなた私が作るコミュニティに入らない?」
カード名:愚かなるプラトーン
使用者:『亜下リサ』
種別:クリーチャー
ATK:■■□□□
DEF:■□□□□
SPD:■■□□□
特性:哲学
"黙っていろ私が話している"




