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4.アクセルシステム

<『???』>


アイオーンへの観測報告。固定時空間の物理法則の崩壊確認。開始から現在の記録状況は正常。

現在のカード使用状況。


『カラス』

・『加速』LOST

・『跳躍』LOST

・アクセル2ストック。


『ジライヤ』

・『デッドウルフ』

・『インテグラルドレイク』



戦況:『ジライヤ』の優勢。

「ええ、それは大丈夫……問題ありません。」

優しい旋律でそれは語る。

このままいけば順当な結果に終わるだろう。

「けれど、勿体ないのよね……彼。」

計測は継続。

戦いは続いている。



<視点変更『カラス』>



後ろで耳をつんざくような咆哮をする怪獣を後ろに聞きながら、俺は思考を巡らせていた。

状況は絶体絶命。

あのような巨大怪獣をどう対処すればいいのか皆目見当も付かない。

この状況を楽しめと開き直っていた事でパニックにならず済んだことが不幸中の幸いだった。

とはいえ、今の俺は何のカードの恩恵も受けていないただの人だ。

ビルの高さは50mほどだろうか……。

クールタイムは残り20秒。

既に怪獣の手はビルにかかろうとしている。


Q:もし、このビルが怪獣に倒されたとしたら果たして俺は生きて帰れるのだろうか?

A:ない、グッバイ俺。地面に打ち付けられて死ね。


ぐぅ、だからといって諦めるのはなんていうか勿体ない気がする。

一瞬、俺が生きてきた時間からしてみても一瞬のその間、俺は俺じゃ無い誰かになれた気がした。

その光景がとても美しくて、清々しくて、新鮮でもしまた見れるのならばそれを味わってみたい。

ああ、ここで死ぬのはなんて勿体ない。

ただ、そんな好奇心じみた衝動が胸の中を走った。

スマホに触る。


「そうだ、状況を楽しめ……。」


そう思考をパニックで自棄にならないように暗示するように引きつりそうな顔を笑みに強引に変えた。

ディスプレイにはドローされた新しいカードが表示されている。



―――


竜巻弾サイクロンバレット』。


小規模の竜巻を発生させる。


アクセル2

―――


これで4枚。

強そうなカードだが、今スロットにカードを入れることは出来ない。

気になるのはカード表示の下にあるアクセル2という文字だろうか……。

そういえば、先ほど同じ言葉をカード一覧でも見た気がする。

俺はすぐに画面を戻して、アクセルにタップした。



―――

アクセルを消費しますか?


   YES  NO

―――


そう表示される文字。

怪獣は手を振り上げてその巨大な腕を振り下ろそうとしている。

迷っている時間はない。

人間である俺に出来ることはない。

だとするならば、このアクセルだとかなんだかわからないものに頼るしかない。


「ええい、ままよ!」


俺はYESを入力した。



<視点変更『ジライヤ』>


『ジライヤ』は自分が召喚した怪獣『インテグラルドレイク』がビルを倒壊させたのを見て大笑いしていた。

まったくこのゲームは最高にストレス解消になる。

誰にも気づかれず、こんな人知を超えた化け物を従えて暴れ回れるのだ。

痛快かつ爽快という他ない。


「おっとCT終わりか……。」


『ジライヤ』はスロットのクールタイムが終了されたを確認して、再びどのカードを使うか悩む。

そろそろ手札上限だ。

手札を廃棄してアクセルを貯めるのも手だが、そもそもとして『カラス』は生きているだろうか?


「勝利宣言がでないってことはあのガキは生きているってことなんだろうけどな……。」


『カラス』は自己強化系のカードを中心としたデッキと『ジライヤ』は断じていた。

過去3回対戦した経験の中で得たのはプレイヤーがアイオーンから渡されたデッキには、それぞれなんらかの特徴があるという事だ。

例えば、自分のデッキはわかりやすい強力なクリーチャーを多数従えて戦うクリーチャーデッキ。

オーソドックスだが、それゆえにサモンされたカードパワーは絶大で今彼が召喚した『インテグラルドレイク』は『ジライヤ』の持つカードの中でも自慢の1枚だ。

アクセルを1消費することだけあり強力な特殊能力も持ち高いステータスを誇る『ジライヤ』のフェイバリットクリーチャーでもある。

自身を過小評価するわけでもなければ過大評価するわけでもない『ジライヤ』からすれば、自分のデッキは性に合ったデッキだった。

状況は圧倒的に優勢。

しかし、念には念を油断したものからやられていくのだと『ジライヤ』は社会で嫌というほど経験してきた。


「まあ、でもこんなところか……。」


『ジライヤ』は『がらくたのウォールメイド』をスロットに入れる。

自分の前に魔方陣が現れ、その下からねじが体中から飛び出た機械仕掛けのロボットが現れる。

このクリーチャーは攻撃能力や俊敏な早さなどは持たないが、ノンアクセルサモンでありながら、DEF3と優れた数値を有しており身代わりの盾として運用が出来る。

攻めの『インテグラルドレイク』、守りの『がらくたのウォールメイド』。

この二枚は『ジライヤ』の攻守の要となるクリーチャーだった。

さて、あとは『インテグラルドレイク』に周囲一帯を根こそぎなぎ払わせればいい。

ガキの小癪なバフというのは強力な効果を持つが効果は制限がある。

あのペースでカードを使えば息切れは必ず来る。

勝利を確信するようにして、『ジライヤ』は『インテグラルドレイク』に指示を送った。


使用者:『カラス』

カード名:跳躍ホッパー

種別:スペル

効果:跳躍力を得る



――ああ、けれど空には届かない

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