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大人の探偵団  作者: noname
2/4

1章 - 01.出会い


暑い。

真夏の太陽の下、陽炎なのか、人の蒸気か。


首筋をつたう汗が、

太陽の光でじりじりと消える。


五十を超える体には堪える暑さだ。


商談の帰り。

渋谷のスクランブル交差点で、信号が変わるのを待つ。


部下(かわしま)の言うとおり、会社まで車を手配すべきだったな。」


人の声、虫の声、コンクリートの声、車の声

機械じみたテレヴィジョンの声。


それらすべてがワンワンと吠える犬のように聴こえる。


汗をぬぐい、

ふと、上を見上げる。


何か、太陽の

中に黒い小さな影を見た気がした。


それは徐々に近づいてくる。

落ちてきている。


信号は青に変わり、

人々は足早に横断歩道の白い消えかけた線を踏んでいく。


落ちてきているものは、

空に溶けるスカイブルーの服を来た少女だった。


スカイブルーの傘を広げ、

傘と同じようにふんわり広がった

スカイブルーのワンピース。


キラキラと太陽の光を反射する

金色の髪。


待ってくれ

このままじゃ、死んでしまうのじゃないか?


傘のせいか

落ちてくるスピードは

緩やかなようにも見えるが

周りのビルよりも高い所から落ちて来てるんだ。


普通だったら、死んでしまう。


私は、鞄をほうって

人々をかき分けながら少女の下へ向かった。


落ちる。

落ちてきている。


間に合うか。


走る。

足が攣りそうだ。


もうだめか。


走る。


邪魔だ。

人を押しのける。

人々は怪訝な顔で振り返るが

振り返ることを待たずに

進んでいく。


息が上がる。


走る。

間に合わないのか。



「くそっ!!!」




プロ野球選手さながらのスライディングで滑り込む。


スクランブル交差点の真ん中。


少女は私の広げた両手に落ちてきた。

抱きとめた腕がメキと悲鳴を上げた。



なんとか、間に合った。

良かった。


息が、

心臓が

どくんどくんと

激しく脈打つ。


こんなにも俺には血が通っていたのかと思う。


「っは、はぁ、はぁー、はぁ、だ、大丈夫かい?」


しゃべると夏の暑い焦げたような空気が喉を焼く。

汗がしたたり落ちて、コンクリートに染みを作ってゆく。


少女は顔をこちらに向けた。

少女の瞳もスカイブルーであった。


「Where am I…(ここはどこ)」


怯えているのか、かすかに震えが

痛めた腕に伝わる。


騒然とするかと思っていた人々は

前が見えないほどの人で

事実を認識するまもなく

通り過ぎていくようであった。


まもなく、信号は赤へ変わる。

鞄を探しながら、歩道へ移動する。


鞄は運よく、持ち去られず

幾多の足跡を付けつつもほうった場所で見つける事が出来た。


少女はキョロキョロと何かを探しているようだった。


「Where is the rabbit?(あのうさぎはどこにいったの)」

「Don't you know rabbits?(あなた、うさぎをみなかった)」


英語だ。

うさぎがなんだって?


とりあえず、状況を把握したい。

旅行者か何かか?

腕の中から降りようともがく少女に尋ねる。

「What's your name?(きみ名前は?)

Are you lost?(迷子なのか?)」


少女はもがくのをやめ、おずおずと答える。

「…I'm Alice.(私、アリス)

 Maybe I'm lost.(多分、迷子)

 …Who are you?(貴方は?)」


不意に自分の名前を聞かれた。


「…I'm …kent(私は、…ケント)」


とっさに出た

自分を示す名前は

遥か昔、まだ幼かった頃

私が少年探偵団だったころのコードネームであった。



1-01 出会い

星のところはちょっと気に入らない。

もっと、切迫感、走っているスピード感を表現したい。

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