NONOSIRI=BAR
ストレス・・
現代社会はこの得体の知れぬ心の闇に蝕まれている
人々はいつしか自ら自己を消滅させていった
笑うことを忘れ・・
泣くことを忘れ・・
喜ぶことを忘れ・・
怒ることを忘れた・・
自らを自らの手で己という殻に閉じ込めてしまったのだ
この現代社会の人間の心の闇に光を当てるこじんまりとした一軒のバーが
新宿の裏通りある
その名もバ−『NONOSIRI』
このバーのママが人々の心の闇に憂いをなし一念発起して立ち上げた賜物なのだ
そのコンセプトは「罵り罵られること」
ママもとよりお店のスタッフを徹底的に罵り、またお店のスタッフから徹底的に罵られる
いわば言葉による精神的なSМプレーを同時に体験することにより
よりハイレベルな別次元の精神的エクスタシー、オルガスムス、スペルマに到達する
これにより人々の閉ざされ蝕まれていた心は即座に解放され
ストレスは皆無状態にリフレッシュされるのであった
人々はこのバーのことを敬愛の念をこめ別名「オアシス」と言い
ママのことを「マリア」
スタッフを「シスター」と呼んだ
今日もバーは満員御礼
そこに常連の客がいつもの調子で入って来た
ガチャッ
「よっ!来てやったぞこのクソババアに薄汚れたメス豚どもめがぁああっ!」
「あーらお久しぶり!はい、汚れ1匹御到着!」
「ところでお前なに入れてたっけ?」
「相変わらず頭悪りぃなこの脳みそが溶けたみたいな低脳ババア!」
「あ、そうだ!思い出したわ!きさまのような小汚いゴキブリ野郎の安酒クソボトルなんて、きさまが帰ってすぐ叩き割ったんだったわこのウジ虫!」
「お前ぇのピーマンドタマもかち割ってやろうか、スイカ割りみてぇによ、このゲスババア!」
「で、何にする?青酸カリ?」
「こんなやぶれ店どうせ安酒しか置いてないかんな、貧乏臭ぇったらありゃしねぇ、景気ずけに運がつくようにカウンターの上でウンコしてやってもいいぜ、泣いて土下座するならよこのアフロババ!」
「麗子!この畜生にあんたのションベン入れてやって!」
「あいよ!ママ!」
★ここでことわっておかねばならないのは、このお店はこれだけ罵りあっても一応客商売であるためお金を戴いての客商売であるがため来店した客には一律全員に安酒ではあるけれども一応市販で売られている一番安値のウイスキーを出すのであった
「ふぅぅうぅ〜・・・やっぱまず!このクソばばぁあああっっ!!」
「ところであんたまたいちだんとハゲあがったじゃない、このずるむけプリンハゲがぁあああっっ!!さあ、店の娘、客の豚ども全員で!せぇ〜のぉ〜、ハイッ!」
「このずるむけプリンハゲェェエエエーーーッッ!!」×12人
「きさまらみんなゴミじゃぁぁああああっっっ!!!」
「仕事はぁぁあああっっ!あの人を騙し騙しのやぶれ仕事はまだやってんのかぁぁああーーこのゾウリムシめがぁぁああああっっ!!きさまはうんこが糞をしてその糞がつまずいて転んだウンチじゃこの下痢がぁあああっっ!!そんな仕事やめてしまえ!そして腐って溶けて消えちまえきさまはぁあああああっっ!!」
「エロばばぁぁあああああっっ!!7回も結婚して18回もクズみたいに捨てられて21回も若い男を色仕掛けして48回もその若い男達からドロップキックされて吹っ飛び養豚場に毎夜夜這いに行った何でもアリババァァアアアアアアアッッッ!!!きさまの腐れマンコに腐れタクアンぶち込んで昇天しやがれぇぇぇええええええっっっっ!!!!」
「帰れぇぇぇええええええっっっ!!!」
「二度と来るかぁぁああああああっっっ!!!いくらじゃこの貧乏人がぁぁああああっっっ!!!」
「金はいらんわこのド貧乏人めがぁぁぁああああああああっっっっ!!!!!」
「恵んでやるわ、ほぅ〜れ2000円!!」
「死ねぇぇぇえええええええええっっっっっ!!!!!!」
「お前が死ねぇぇぇええええええええっっっ!!!!!!」
“バタァアアアアーーーーンッッ!!”
また今夜もこのBARで一人の男が救われた・・
NONOSIRI=BAR・・
それは傷ついた兵士達の心のオアシス
今夜も・・
そして翌晩もこのBARで口汚い罵声の嵐が飛び交う限り
NONOSIRI=BARは暖かい愛に包まれているのである
〓END〓