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another me  作者: 弥生ポリゴン
王都編
7/7

hexa

 ブルードとレッドギンは少年を稽古場の玄関で見送っていた。

「もうお別れじゃな」

「悲しいもんだな」

「はい」

「お主はポテンシャルを使えるようになった」

「それに感知もある程度できるようになった」

「お世話になりました」

「またモンテ村に来いよ。 家の管理はしておくぞ」

「ありがとうございます」

「さてと、じゃあこの辺でお別れとするか」

「今までありがとうございました。 さようなら」

少年は改めて2人の顔を見た。

「行ってきます!」

「行ってらっしゃい!」


少年は旅立った。


ブルードとレッドギンは稽古場の外まで少年を見送った。

「本当にあんな別れ方でよかったのか? もっと言うべきことあっただろうに」

「いいのじゃよ。 またマコトと会う、そんな気がしたからのぅ」

「勘かよ。 まぁでもあいつはよく成長したもんだ」

「マコトには少し特別系統の気があった。 もしかしたら何か秘めたるものがあるのかもしれん」

「そうだな。 もしかしたら俺より強くなるかも」

「でもお主も十分強かろうに。 お主は一流の賞金稼ぎじゃろ」

「あぁそうだ。 実は今もでかい山を追ってるんだ。 っても情報屋が見つけてくれるのを待ってるってとこなんだがな」

「ほほぅ、誰を狩るのじゃ?」

「『黄色い殺人者』だ」

「奴か・・・ お主もついに仲間まで手を出すようになったのか・・・」

()仲間だよ。 あんな奴今じゃもう仲間だと認めたくねぇ」

「バラバラにはなっておるが、まだわしらは形式上仲間じゃ」

「賞金首になってる時点でもう形式上も無理だと思うけどな」

「そうじゃな。 でもわしとお主は今でも仲間じゃよ」

「当たり前だろ。 そんなこと一々確認すんなよ」

「まぁまぁそう気を立てずに。 お主がわしを仲間だと思ってくれてることぐらいわかるわい。 だってため口だし」

「俺が敬語使うの嫌いだって知ってんだろ」

「まぁそれもそうじゃな」

「ところでこれからどうするんだ?」

「わしは村に帰る。 仕事が山のようにあるからのぅ」

「昔はいろんな人と戦ってたあんたが今度は仕事と戦ってるとは・・・」

「あほか! 今でも現役じゃ!」

「失礼失礼。 で、いつ帰るんだ?」

「今じゃ」

「え、早くねぇか? もうちょっとゆっくりしていけよ」

「仕事は待ってくれん。 村の子供たちに『武式」を教えなくてはならん」

「忙しいな」

「そういえばマコトに『武式』を教え忘れたな」

「っておい、大丈夫なのかよ!」

「マコトはこれから国軍の訓練所で1ヶ月訓練を受けると言っておった。 訓練所の教官にでも教わるじゃろ」

「楽観的なところは変わんねぇな」

「フォッフォッフォ、いいのじゃよ」

老人はしゃがみこんだ。

「人生前向いて行こうぜ!」

そう言いながら跳んだ。

「村まで『空蹴』で行くのかよ。 いつまでも現役だな」

老人は(くう)を蹴り、まるで(そら)を歩くかのようにどこかへ去った。

「俺も最近なまってきてるし、仕事の前に鍛え直すか」

レッドギンは稽古場に入っていった。



「ここか・・・」

少年は国軍の訓練所に着いた。

選考会の後に

「明日の12時に国軍の訓練所に来るように。 旅に出る準備もしておけ」

と言われた。

正門に着いた。

「君、何の用だい」

正門の守衛に声をかけられた。

「あ、ここに来るようにって言われて・・・」

「もしかして君、国家特別時募集戦闘員かい?」

「そうです」

「一応戦士証明書見せてくれる?」

少年はリュックの中を探した。

選考会の時に戦士証明書をもらった。

「これですね」

金色のカードを差し出した。

「ちょっと機械に通すね」

守衛は機械にカードを差し込んだ。

「マコト君だね。 よし、正門の前に立って」

少年は正門の前に立った。

「ようこそ国軍訓練所へ、戦士マコト君!」

「はい!」

高らかな声で返事をして少年は正門の中へ入っていった。


少年は訓練所の中を進んだ。

グラウンドに来るように言われた。

なのでグラウンドに来た。

グラウンドは広かった。

学校のグラウンドの5倍の広さはありそうだ。

「おーい! マコトー!」

名を呼ばれた。

グラウンドの奥の方から声が聞こえる。

少年は走っていった。


「マコト、ちょっと遅刻だぞ」

昨日の選考会の銀髪の少年がそう行った。

「ご、ごめんなさい。 遅れて・・・」

学校でもよく遅刻していた。

異世界でも遅刻をするとは全くもって惨めだ。

「遅刻と言っても3秒だ。 気にすんな」

青い髪を後頭部で束ねた女性がそう言った。

「まぁいっか」

銀髪の少年が地面に座った。

「立ち話も何だし、座るか」

少年とその女性も座った。

「それよりもまだ来ねぇ奴がいる」

冷たく怒りも込められた声で女性はそう言った。

「遅刻っていうか1回ここに来たんだが、どっか行きやがった。 それも一瞬で・・・」

そう言い終わる前に女性が口を止めた。

「遅れて申し訳ないです。 ちょっとトイレに行ってました。」

黒いコートを着た巨体の男性が急に現れた。

それも一瞬で。


「揃ったな、私達の班」

男性が急に現れてから10秒ほど後に苦笑いを浮かべた女性がそう言った。

「じゃあ自己紹介をしていくか。 私の名前はネシル。 齢20だ。 国軍の少将だ。 自在系統が得意だ。 この班の班長だからな」

20歳とは思えないほどクールだった。

「次は俺がやります。 俺の名前はウルザ。 27歳。 国家認定戦力という地位をいただいてます。 特別系統を得意としてます。」

この中で一番年上なのに敬語で、物静かで礼儀正しい印象が見受けられた。

「特別系統なの!?」

銀髪の少年が興味を示した。

「えぇ、この短刀をよく見てください」

地面に突き刺さった短刀に注目した。

「この短刀には目印が彫ってあるんですよ」

短刀には黒い何かが描かれている。

「その目印から離れた位置にいても瞬間移動で目印まで戻ってこれるんです。 さっきもグラウンドの何ヵ所かに短刀を突き刺して瞬間移動してました。 範囲は短刀から50mです。」

「すげぇ!」

銀髪の少年は感激していた。

「じゃあ次、銀髪のお前、自己紹介な」

ネシルがそう言った。

「俺の名前はジトー=パールだ。 12歳だね。 変化系統が得意かな。」

「パールってもしかしてお前、パール一族か?」

ネシルが聞いた。

「うん」

「ってことはお前の父親はゴート=パール氏か?」

「うん」

「そりゃすごいですね」

ウルザも反応した。

「パール一族って何ですか?」

少年が聞いた。

「お前、知らないのか? ゴート=パール氏を」

「知らないです」

「お前、世間知らずだな。 ゴート=パール氏は『犯罪捕獲者』と言われててな、悪党どもをたくさん捕まえた方なんだ。 悪党どもを捕まえた後は風のように消えた。 でも大犯罪が起きると駆けつけてくれたんだ。 その偉業から王から名字を貰ったんだ。 それが『パール』の名だ。 名字は孫の代まで引き継げる名誉の証だ。 本人は断ったけど王が無理やりあげたそうだ。」

「すごいですね」

「お前の父親は今は何をしてるんだ?」

「俺もよくわからない。 10歳の時、どこかへ行ったきりさ」

「そうか・・・ じゃあ次はお前、自己紹介な」

少年の番がきた。

「俺の名前はマコトです。 17歳です。 強化系統です」

「よし、自己紹介も終わったし、次は測定だ。」

「測定って何をするんだ?」

「お前達の身体能力やポテンシャルや『武式』を測定する。」

「なるほどね、よし始めよっか」

「あの・・・」

少年が口を挟んだ。

「『武式』って何ですか?」

「本当に世間知らずだな。 説明するよ。」


~武式の説明~

武式(ぶしき)とは戦闘における超人的な体運びの名称である。

体をポテンシャルエネルギーで包んで防御力を上げる『護体(ごたい)

拳や武器をポテンシャルエネルギーで包んで攻撃力を上げる『攻装(こうそう)

地面や水面をポテンシャルエネルギーで弾いてスピードを上げる『弾衝(だんしょう)

空気を蹴って空を歩く『空蹴(くうしょう)

このスキルは戦闘において非常に重要であり、戦士は皆、このスキルを会得している。

修練によって質が向上していく。


「一応説明はしたけど、詳しい話はこいつに聞きな」

ネシルは少し離れたところにいた男性を指差した。

「こいつは訓練所の教官だ。 通常なら会得に何年もかかるがこいつの指導は上手いし、お前自身も戦士で素質がある。 1ヶ月の間で会得できるさ。 お前の測定は後回しにしてやるよ」

「ありがとうございます」

「じゃあマコトをよろしく頼むよ」

ネシルは教官の肩に手をかけた。

「俺の名前はギョウだ。 マコト君、頑張っていくよ。 さぁ修行だ! ファイト、ファイト、ファイト!」

無駄に熱い男だった。

こうしてマコトは1ヶ月間、修行をすることになった。



「リゾート諸島のアルカンバ島に移れ。」

「りょ~かい。 そこで何してればいいんだい?」

「そこを拠点としてリゾート諸島を襲撃しろ。 それだけだ」

「いいよ。 でもアルカンバ島にマフィアを立ち入らせていいかい?」

「また執筆するのか。 執筆は仕事が終わってからにしろ」

「それはつまり、リゾート諸島をさっさと潰せば執筆していいってこと?」

「あぁ、好きにしろ」

「まぁでもリゾート諸島は楽しいから2ヶ月くらいかかるかも」

「次の召集までに終わらせていれば、いつ終わらせても構わない」

「いいね~」

男は電話を切った。

この男の名、イエログスク。

またの名を『黄色い殺人者』。

男は不気味な笑みを浮かべた。

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