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異界嬢の救済  作者: 常盤終阿
第4章:帝国の侵攻 編
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第94話:天帝結界前飛行艇部隊

隠密隊が退却していく一方で、フウと陰美もまた京都へ向かっていた。正確には、歩くのもおぼつかない陰美をフウが引っ張っていた。

「それで、貴女がたは信じたのですか!?サキュバスの提示した作戦を!」

陰美はサラの提案した“和神くんで帝国を惑わそう大作戦❤”についてフウから話を聞き、憤りに近い疑問を露わにしていた。魔を嫌っていたはずのフウとサラに警戒していたはずのミネルヴァがその作戦に同意したことに一抹の疑問を抱くのは至極当然のことであった。

「あのサキュバスはミネルヴァが監視している。それに、サキュバスの提示した作戦の・・・全てを受け入れたわけじゃない・・・。ただ、貴族院からの増援が来るまでの時間稼ぎは・・・必要だから、とりあえず作戦に乗っているように装っている・・・だけ。現に、そなたらはこうして撤退している・・・。」

「ぐ・・・確かに、このままではマズいです。しかし、それでしたらまず、あの結界を壊そうとしている飛行艇を何とかしなくては・・・!京都への侵攻を許せば護国院本部も妖王あやかしおうの住む王土おうどもすぐそこです!」

陰美が指さす先の飛行艇を見上げたフウは、陰美を牽いていた手を離した。

風幕ふうまく

陰美の身体を優しい風が覆う。

「これで、陰美の気配は・・・探知されない。あの黒騎士にも・・・恐らくは。我は・・・飛行艇あれを、片付けてくるから。そなたは、傷を癒しておけ。」

そう言うと、フウは風となって上空へと吹き抜けていった。


一方、撤退していく隠密隊と僧兵部隊を追撃する魔鎧の軍勢。その眼前にフウに吹き飛ばされていたアダマス元帥は戻って来た。元帥の登場に一瞬立ち止まる魔鎧兵たちであったが、元帥が剣を隠密隊の方へ向け、殲滅しろ,と命を出すと、一気に士気が高まり、それまでよりも激しい追撃が始まった。

「閣下、そろそろ。」

アダマス元帥の側近を務める男・リキッドがどこからともなく現れ、耳打ちする。それに応じ、元帥は降りてきた飛行艇に乗り込み、南方の要塞へと去って行った。


奈良・京都の境界 天帝結界前

メリディエス帝国の飛行艇による度重なる砲撃によって京都を守護する“天帝結界”は限界を迎えようとしていた。京都守護妖に陰陽隊の力を加えてもなお、帝国の砲撃の火力には劣っていた。

「よし、そろそろだな。アレを出せ。」

結界を攻撃する飛行艇部隊を指揮しているシルバーが部下に指示を出す。長刀使いの少将・シルバーは元帥の命のもと、次の任務であるこの役割を担っていたのである。指示通り、部下が“アレ”のスイッチに手を伸ばしたその時であった。最前線で結界に攻撃していた飛行艇の内の1機が爆発を起こし、地上に堕ちていく。

「シルバー少将!前方の部隊が原因不明の撃墜を!1機、2機いや・・・5機!前線の部隊全滅!!」

「・・・原因不明なんかじゃなねぇ・・・!さっき地上でアダマス様を吹き飛ばしてたヤツ・・・。」

シルバー少将だけがその“原因しょうたい”を悟っていた。

「精霊だ。」

シルバー少将の言葉と同時に第2陣の飛行艇部隊も撃墜され始めた。この事象に対しシルバー少将は冷徹な命令を下す。

「第2陣の飛行艇の自爆装置を起動しろ。」

「え・・・ですが、兵は脱出しておりませんが・・・!」

「いいんだよ、相手は精霊だ。今やんねぇと俺らまで堕とされかねねぇ。」

「しかし・・・。」

「俺は今、閣下に全権を任されてる。分かるか?“13デス”を俺が執行してもいいってことだぜ?」

「ッ・・・!」

その言葉に部下は言葉を呑み、第2陣の飛行艇全ての自爆装置を起動した。けたたましい轟音が10回連なり、第2陣の飛行艇部隊全10機が爆発して堕ちて行った。


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