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異界嬢の救済  作者: 常盤終阿
第4章:帝国の侵攻 編
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第89話:侵攻~地~

メリディエス軍は現状、飛行艇による“結界崩し”を継続しているが、地上では未だ僧兵隊を前に攻めあぐねていた。こういった反抗に備えて実力者であるシルバー少将を配置していたわけだが、そのシルバー少将も予想外の反抗に打開策を見出せずにいた。

「爺さんのクセにやりやがる・・・ウザってぇ・・・!」

身長2mを超えるシルバー少将は、その身の丈を超える長刀を振るう。“魔石”を精製した“魔鉄鋼まてっこう”で作られている長刀は魔力を宿す妖刀のような凶器であり、そのリーチは少将の腕と合わせれば3mを超える。だが、その少将の白刃は僧兵隊の総隊長・玄斎には全く届いていなかった。

“仙法・風連槍ふうれんそう

玄斎の周囲の大気が逆巻き、幾つもの風の槍が形成されシルバー少将を襲う。

銀魔微塵斬空ぎんまみじんざんくう

シルバー少将は目にも止まらぬ速さで長刀を振るい、魔力の斬撃を飛ばす。斬撃は風の槍を切り裂き玄斎まで到達、玄斎は切り裂かれたかのように見えた。

“仙法・幻彩げんさい

自身の名の由来となった伝説の仙人が自身の名を冠した技。簡単に言えば幻であるが、これは長年の修行によって周囲の環境を使役できて初めて扱える秘技である。シルバー少将は玄斎の本体がどこにいるのかまるで掴めずにただ闇雲に刀を振るうしかなかった。

「クソ・・・爺がァァ!!」

「その結った髪は武士もののふを意識しておるのかの?」

玄斎は少将の懐に入っていた。

“仙法・雷掌らいしょう

紫電が迸り、少将は吹き飛ばされた。自身に流れる電気信号を増大させ放つ掌底、並みの妖ならば感電して動けないか、そのまま死ぬところであるが。

「クッソが・・・!」

シルバー少将はすぐさま立ち上がって来た。

「ほう、その軍服の内に着込んでおる鎧の力かの?」

玄斎は少将が着込んでいる“ブーストスーツ”に既に気付いていた。だが、少将が内に秘めたモノはそれだけではなかった。

「半分は正解だよ爺さん・・・。だがな、この超人パワーを出すにはもうちょい細工がいるんだよ。」

シルバー少将が再び戦闘態勢を整えた時、急遽訪れた禍々しい空気が戦場を支配した。その空気に呼応するように士気を高める魔鎧の兵たち。いや、それは士気を高めたというよりも“焦り”始めたと言うべきであった。

「もうそんな時間か・・・総帥・・・!」

そう呟いた少将の背後に、禍々しい空気の源はいた。漆黒の魔鎧に身を包み漆黒のつるぎを携えた、シルバー少将と同等の身長を持つ者が。

「シルバーよ・・・。貴様にはこの後も役目がある。ここは退け。」

「・・・!はい・・・。」

あの生意気な口を利いていたシルバー少将があっさりと首を縦に振って退いて行った。

「もう10回だからな・・・ここは大人しく言う事聞いとくぜ。13デスはお断りだ・・・。」

一方、対峙することとなった総帥と呼ばれた漆黒の魔鎧騎士と玄斎。

「あの者の言葉が事実ならば、そなたがメリディエス帝国の長・・・ということでよいのかの?」

「あやつは少々喋り過ぎる・・・だが、いかにもわれがメリディエス帝国軍元帥でありメリディエス帝国王アダマス・メリディエス・オニキスである。」

「アダマス殿・・・1つ聞きたいのじゃがの?」

「死に逝く運命さだめの老兵よ、聞くがよい。」

「『あやつ少々喋り過ぎる』・・・というのは“少々”と“少将”をかけたダジャレかの?」

同時に、玄斎はアダマス元帥の背後の空気を凝縮・硬質化させ、打突攻撃とした。

“仙法・空鎚くうづち

アダマス元帥は振り返り、一太刀のもとこれを破壊。だが、玄斎に背を向けることとなった。

“仙法・雷掌らいしょう

シルバー少将に放ったのと同じ掌底の攻撃。しかし、アダマス元帥は玄斎の背後におり、玄斎の背を上半身と下半身を切り離すように真っ二つに斬り裂いた・・・かのように見えた。

“仙法・幻彩”

それは幻・・・ところが、アダマス元帥の持つ漆黒の剣は玄斎の身体からだを貫いていた。

「なに・・・ゆえ・・・。」

「何の為に戦場を我が魔力で満たしたと思う、老兵よ。その幻は最早通じぬ。」

“仙法・・・”

身体を貫かれて尚も戦意を失わない老兵に総帥は終止符を打つべく、左手の手甲の下から凄まじい勢いの火炎放射を放った。玄斎は一瞬にして消え去った。

「試し斬りには丁度良かったぞ、老兵。」


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