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異界嬢の救済  作者: 常盤終阿
第3章:西洋妖界 編
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第77話:久々の自宅

 とこしえ荘前

 とこしえ荘に着いた和神たち一行であったが、その敷地の前で陰美とサキュバスNo.777が足を止めた。

「どうしました?」

 2人に気付いたミネルヴァが声をかける。

「いや・・・これは・・・?」

 陰美が皆を言い終える前に能天気な声が聞こえてきた。

「あらぁ~?和神くん。しばらく見ないと思ったら、こ~んなカワイイたち引き連れてぇ。」

 大家さんであった。どうやらアパートの敷地内の掃除をしていた模様だ。

「なぁに?みんな和神くんの彼女?」

「違いますよ・・・。」

 和神がため息混じりに否定する。それから大家さんに話を持ち掛ける。

「あの、ここって、幾つか部屋空いてたりします?」

「空いてるけど?」

「少しの間でいいんですけど、この女性ひとたちに貸して頂けませんか?」

「構いませんよ~。今、和神くんと狗美ちゃん以外誰もいないから。あ、私を除いてね。」

「えっ。」

 以前から他の住人に会わないな,とは思っていたが、本当に誰も居なかったとは。そう思い、思わず驚きの声が出た和神。

「じゃあ、簡単な書類書いてもらうから、女の子たちこっち来て~。」

ミネルヴァとシルフが大家さんに付いて行く。敷地の前で立ち止まっていた2人も後ろから付いて行った。和神と狗美と陽子はその場に残された。

「・・・とりあえず、帰るか。部屋に。」

 和神がそう言って自室に歩を進めた時、大家さんが振り返って和神に言う。

「ああ、バイト先から連絡あったから、長期入院することになったから辞めさせてもらいますって言っといたよ~!」

「ええっ!?」

 和神は無職になった。


和神の部屋。

久々の自宅のベッドに寝転ぶ和神。大家さんの部屋で手続きを終えた陰美、ミネルヴァ、シルフ、サキュバスNo.777は皆各々の部屋を確認しに行く音が聞こえる。

陽子と陰美、ミネルヴァとシルフが同室となり、サキュバスNo.777は端の部屋になったようである。

「1週間後か・・・。」

 あと1週間で流界のどこから攻めてくるかを割り出すのは、正直不可能だろう,と和神は考えていた。メリディエス帝国が“流界”全土を制圧するつもりなら、日本から攻めるだろうか?アメリカとかイギリス、ロシア、人口で言えば中国などの諸外国の可能性の方がずっと高いのではないか?その旨を部屋に訪ねてきたミネルヴァに打ち明ける。

「いえ、日本である確率が最も高いです。」

 完全否定された。

「理由は簡単です。約850年前に初めて次元孔が発見され、その10年後、メリディエス帝国が攻め込み、失敗した土地こそ日本だったからです。確か流界の記録では“保元ほうげんの乱”という皇位継承を巡っての人間同士の武力衝突ということになっているはずですが、実際は日本及び流界の支配を目論むメリディエス帝国と人間・妖連合軍との衝突だったというわけです。」

「あれ?それって・・・。」

 和神の脳裏をよぎるものがあった。

「ええ。シルフ様のお話に出てきた戦がこれです。つまりシルフ様にとっては因縁の相手というわけです。大精霊様もそれを汲んで貴方に協力するよう命じたのかも知れませんね。」

 和神はシルフの気持ちを考えて少し感傷に浸った。それを察してか、ミネルヴァは和神にとある提案をする。

「あの、もしよろしければ、案内してくれませんか?東京という場所を見ておきたいのです。メリディエス帝国が初めに狙うのは恐らく首都ですから。」

「・・・分かりました。」

 和神はとりあえず日本の中枢といえる霞が関周辺を案内することにした。


次回より『嵐の前の静けさ編』に入ります。

章と章の間の小休止のようなものです。

和神とインターナショナルな異界嬢たちの束の間の平穏をお楽しみください。

今後も『異界嬢の救済』をよろしくお願い致します。

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