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異界嬢の救済  作者: 常盤終阿
第3章:西洋妖界 編
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第75話:♪次元孔作り機~

「あと、これ。」

 そう言ってサキュバスNo.777は胸元から固定電話の子機のような機器を取り出した。

「何です、それは?」

 特使が問いかけると、サキュバスNo.777はその機器に付いているボタンを押す。ビンッという機械音と同時にレーザーポインターのような青い光の筋が伸びる。それを院長席と自身の間の床に当て、もう1つのボタンを押す。

「ビックリするよ。」

 サキュバスNo.777がボタンを押すと、レーザーポインターが当てられた場所を起点に空間が歪み、歪みはやがて穴となった。ざわつく貴族院上層部。

「これは・・・!“次元孔”・・・!?」

 驚嘆の声で訊ねたのは陰美。

「そ。昔でいう“魔界の門”ってやつを作れる機械。これ、アタシの部下がメリディエスからパクッて来たの。んで、これと全く同じものがカッティングゼロのアジトにもあったんだよね~。それも10個くらい。」

「・・・!なるほど、それを使って彼らは至る所に魔界との次元孔を作り出していたわけですね。」

「そーなんだよね~。いや~魔物ばっかりレンタルしてて“頭がある”のアタシしかいなかったから気付くの遅れたよ~。まさかこんな便利なツールがあるとはね~。」

 サキュバスNo.777が独り言のように喋りながら照れるような素振りをしていると、今しがた開いた次元孔から1人の女性が現れ、サキュバスNo.777の前に片膝を着いて平伏した。

「サキュバスNo.777様。予測通り、町外れの山岳地帯、カッティングゼロの縄張り内に繋がりました。」

「やっぱね!」

 サキュバスNo.777がその女性に向かってパチン,と指を鳴らして笑みを浮かべる。

「知ってるよね?このサンクティタス王国がある座標は魔界では山岳地帯だってこと。そこ、この間までカッティングゼロの縄張りだったのね?そんでこの“次元孔作り機”は、座標を打ち込めるようになってるの。ほら、ここ。」

 サキュバスNo.777が“次元孔作り機”のアラビア数字が書かれている部分を特使に見せる。

「で、座標を打ち込まずに発生させると、そのまんま今いる場所と同じ座標と繋がるってワケ。つまりは、どこでも好きな所に行けちゃう機械ってこと。でも、次元孔作ったら敵も通って来られちゃうから、前の戦いの時には魔界の色んな場所に魔物を待機させて、戦力を散らしておいて“一気に全滅”を防ごうとしたみたいね。」

「それを使って、メリディエスが攻めると?それも流界を?」

 特使が急かすように訊ねる。

「そゆこと♪一溜まりもないでしょ?和神くん❤」

 和神は確かに,と冷静に返す。

「この“次元孔作り機”は魔界~妖界専用だけど、カッティングゼロなんて盗賊団にいっぱい貸し出せるほど作れるってことは、絶対もっと上の技術もあるってことでしょ?例えば魔界~流界~妖界どこでも繋げるとか、ね。」

「その情報を何故貴族院に?魔界としては流界に進軍できる足掛かりに丁度良いのでは?」

 サキュバスNo.777は質問する特使にふらふらと近付いた。

「ふふん♪だ・か・らぁ❤和神くんのお陰でアナタたちはこの情報を得られるって言ったでしょ?」

「?」

「我がオリエンス王国・国王サタン様に、和神くんの事を伝えました。“受け容れし者”であることを。」

 ざわつく貴族院上層部。和神が“受け容れし者”であるということは貴族院に報告していなかったのである。

「あら、言ってなかったのね。彼は紛れもなく“受け容れし者”よん♪で、サタン様は“受け容れし者”に興味津々で、恩を売っておきたいんだって。だから、この情報を貴族院に伝えて、協力を仰げってさ。」

「事情は分かった。」

 貴族院長オーディンが口を開いた。


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