第64話:神々の戯れ
“パルテノンレイ”
それは天空より容赦なく魔物たちを襲った無数の光の柱。触れた魔物は瞬時に霧散し、芥と消えた。
「ちょっ、マジチートだから!何よコレ!!」
そう文句を言いながら、降り注ぐ“パルテノンレイ”を高速で回避しつつ特使のもとへ向かうサキュバスNo.777。デビルスタイル状態のサキュバスNo.777にとって、火力重視で大雑把な“パルテノンレイ”を避けることは造作もなかったが、特使から発せられる異常とも思える天力に対して警戒を怠ってはいなかった。
「つーか何で死にかけてたミネルヴァちゃんの、どっからあんな天力が湧いたワケ!?」
ある程度の距離まで近づいたサキュバスNo.777は手から魔力の弾丸を数十発形成した。
“デビルズサブマシンガン”
形成した魔力の弾丸を一斉に特使に放つ。しかし、その弾丸は特使の30cmほど手前で消滅した。
「バリアかよ・・・!」
サキュバスNo.777の位置に気付いた特使は手をそちらへ向ける。
「ヤッバ!!」
“ペルセウスブラスト”
特使の手に集められた天力が無数のレーザーとなってサキュバスNo.777を襲う。それでもギリギリで避け続けるサキュバスNo.777であったが、遂に一発のレーザーがサキュバスNo.777の羽を撃ち抜いた。空中でバランスを崩したサキュバスNo.777はそのまま地上に並ぶ廃墟の1つへと落下した。
“パルテノンレイ”によって、無数にいた魔物たちは殲滅され、地形までもが変わっていた。“パルテノンレイ”が降り注いだ場所はクレーターのように穿たれていた。
「あとはサキュバスNo.777のみですか・・・。」
そういうと特使はサキュバスNo.777が落ちた廃墟の方に手を翳す。が、その特使に一筋の黒いレーザーが飛んでくる。
“デビルズレーザー”
サキュバスNo.777に生える2本の角の間に溜められた魔力から放たれたレーザーは特使目掛けて真っ直ぐに飛来する。だが、特使は全く動じずにそれを飲み込む天力の波動を放った。
“ヴィーナスバースト”
サキュバスNo.777の魔力のレーザーはすぐさま飲み込まれ、代わりに天力の巨大な光線がサキュバスNo.777のいる廃墟に襲い来る。その周辺にあった廃墟郡を“ヴィーナスバースト”は全て消し去り、そこには大きな窪地が出来た。
「・・・少々やり過ぎましたね・・・。」
高火力の攻撃を撃ち過ぎたことを反省しつつ、特使は地上へと降り立った。その時だった。特使の背後から黒い槍による直接攻撃が成された。無論、特使の周囲にあるバリアによって防がれたが。
「わかっておりましたよ、サキュバスNo.777。ただ、これ以上この周囲を破壊したくはありませんので。」
そう言うと、特使は天力によって槍を形成した。
「ふふ♪直で殴りあおーってワケ?面白いじゃん!」
サキュバスNo.777は一時距離を置く。
「あのバリアみたいなのは出さないってことね?」
「ええ。」
「それじゃ・・・。」
サキュバスNo.777は姿を消し、瞬時に特使の背後を取る。しかし、特使は既にサキュバスNo.777の方へと向き直っている。
「おおっ!?」
サキュバスNo.777は今一度瞬間移動し、特使の背後を取るも、またも特使は向き直っている。その後、何度サキュバスNo.777が回り込もうとも、特使の背後を取れることはなかった。
(やっべ~・・・。アタシが回り込んでも向き直ってるってことは、アタシのスピードについて来てるっつーか、アタシより速いってコトじゃない?こーなったらもう・・・仕掛けるしかないじゃん!)
サキュバスNo.777はやむを得ず、特使の正面から魔力の槍で突いた。が、今度は特使が姿を消し、サキュバスNo.777の背後へと回り込んでいた。
「うっそ・・・!?」
サキュバスNo.777が反応するよりも早く、特使の槍がサキュバスNo.777の背中を貫いた。




