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異界嬢の救済  作者: 常盤終阿
第3章:西洋妖界 編
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第57話:中佐VS中将

「図に乗るな中佐如きが・・・!中将であり“ジュエル12(トゥエルブ)”でもある私にそのような口を利いて、ただで済むと思うなよ?」

「ご自分の罪を省みて下さい、中将殿。」

ヴァイスはその腰に差した長剣を抜き、特使は天力の剣を具象化した。同時に、ヴァイスの立っている廃屋の周辺にある瓦礫や塀の影からカッティングゼロと見られる輩たちと、有象無象の魔物らが姿を現した。

「皆さんはあの軍勢をお願いします。ヴァイス中将はわたくしが。」

「は・・・はっ!」

 ヴァイスの裏の顔に衝撃を受け、落胆していた兵たちは特使の声でハッと我に返り、戦闘態勢を執った。

「中佐が、中将に敵うと?」

「階級と強さが比例するとは限りませんので。」

「では、お手並み拝見だ。」

 瞬間、ヴァイスは特使の背後、頭上から斬りかかった。

「“ブリリアントソード”・・・。」

 特使はそれを見切り、天力の剣で捌いた。

「そう呼ばれていた頃が懐かしいですね?」

 この攻防が開戦の合図となり、兵たちはぶつかり始めた。

「この程度は見切ってもらわねば困る。“ブリリアントソード”の真価はここからだ。」

“10カラット・ダスティーダイヤ”

 ヴァイスの振るった長剣から細かい斬撃が飛来する。

“ルクスバレット・ラピッド”

 特使は剣を持つのと逆の左手から細かい光の弾丸を撃ち出し、飛来する斬撃を相殺した。

“25カラット・ブリリアントスラッシュ”

 ヴァイスはぶつかり合う斬撃と弾丸の中を高速で駆け抜け、特使に居合斬りを放ったが、それは特使に見切られて防がれた。しかし、ここまではヴァイスのフェイク。ヴァイスは振り向きながら斬撃を放つ。

“50カラット・ダイヤモンドカット”

 天力を纏いリーチを拡張させた長剣による返し切りである。居合斬り後の態勢から派生させるこの技に隙は無く、初めの居合斬りを剣で受けた者はその威力を受け止めることで一瞬硬直状態になるため、必中の技でもある。

“エンジェルアローサル”

 特使は体をけ反らせることで“エンジェルアローサル”発動時の衝撃を地面に向けて放ち、体を宙に浮かせた。“エンジェルアローサル”で出現した翼状の天力は斬られたが、元々天力のため特使自体にダメージはなかった。そして、必中コンボを避けられたヴァイスの一瞬の隙を特使は突いた。“エンジェルアローサル”状態の時、特使は空中も地を踏むのと同じように足場として捉えることが可能。故に、超高速でヴァイスを剣で突いた。

「それが“エンジェルアローサル”か・・・中佐。」

 ヴァイスはその“突き”を天力の盾で防いでいた。ヴァイスの足元の地面は踵から後ろが爆発したように抉れており、特使の放った突きの重さを物語っていたが、ヴァイス本人は無傷であった。

「そんなものに頼らねば戦えぬとは、所詮は2流貴族よ・・・。」

「おや、“ガーネット家”のご令嬢はお使いになるはずですが?」

「私には必要ないのだ!」

“ライトシュトローム”

 ヴァイスは特使の剣を受け止めている天力の盾から竜巻を放つ。しかし、特使は高速でこれを避け、ヴァイスの背後から斬りつける。が、これはヴァイスの剣に受け流される。特使の振り下ろした剣は大地を斬り裂いていった。

「この剣技があれば、そのようなドーピング能力は無用なのだ!!」

“65カラット・ダイヤブーケ”

 ヴァイスの連続突きは、高速の余り同時に20~30の剣が伸びてくるように見える。だが、今の特使にはハッキリと1つ1つの突きに見えている。特使その突き1つ1つを剣で捌いた。2刀の剣はぶつかる度に火花を散らした。

「ドーピングでしょうか?これは何か手術や薬品を施して現出するものではありません、自然と発現するものです。これをドーピングと仰るのであれば、貴方の“剣技”もドーピングになりますよ?」

「黙れぇ!!」

“80カラット・エンゲージリング”



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