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異界嬢の救済  作者: 常盤終阿
最終章:受け容れし者 編
354/370

第354話:時空孔

和神と“彼の者”両者の巨大おおきな“正の混沌”と“負の混沌”がぶつかり、両者は姿を消した。大気中に和神の気配を感じられなくなったフウは焦っていたが、焦っているのはフウだけではなかった。

「和神くんは・・・?」

「“彼の者”もいません・・・まさか・・・。」

陽子とミネルヴァが零すように声を発する。

「サタン様!和神くんはどーなったんですか!?」

サラが依然として凛然と仁王立ちしているサタンに問う。

「フン、混沌同士のぶつかり合い、“そういう事”にもなろう。」

「!!?」

サラの顔に絶望が押し寄せてくる。

『皆、落ち着いて、よく見て。』

大精霊は冷静にそう言うと、和神と“彼の者”の攻撃がぶつかり合った虚空を指さした。そこには見た事のない空間の“揺らぎ”が生じていた。

「あれは一体・・・?」

陰美が訊く。

『恐らくは“次元孔の跡”でしょう。巨大おおきな混沌同士の衝突は一時的に次元の壁を揺るがせ、“次元孔”を発生させ、和神かれと“彼の者”はそこに入ったのでしょう。』

大精霊の説明に一同は胸を撫で下ろす。

「フン、大精霊、理解わかっているだろう?“アレ”は次元孔などという“生易しい”ものではない。」

「・・・どういう事だ?」

狗美が大精霊を問い質す。

『・・・ええ、今のは皆への説明しやすいよう次元孔と言いましたが、実際あの場所に生じた“アレ”は次元孔と似て非なるもの。・・・強いて言うならば“時空孔じくうこう”と呼べるものでしょう。』

「時空孔・・・。」

『・・・あの“揺らぎ”は次元の壁のみならず、空間の壁と時の壁をも揺るがせている。』

「!?じゃあ、和神は・・・!」

『恐らく・・・“別の時間”の“別の場所”に。この地球ほしの自然を司り、掌握している私が地球上ほしのなか和神かれの気配を感じ取れない事からも、まず間違いないかと。』

「別の時間・・・。」

『私やサタン・・・大天使の力を持ってしても“時の壁”は越えられない。“時空孔”が閉じている以上、和神かれと“彼の者”が飛んだ時間へ向かう事は不可能です。そして、彼らがどの時間のどの場所へ飛んだのかも分かりません。数兆年後の遥か未来か、1年後といった直近の未来か、或いは・・・。』


「・・・?」

和神は呆然としていた。“彼の者”へ向けて“正の混沌”の塊を投げ、“彼の者”はそれに“負の混沌”の塊をぶつけてきた。辺りが見た事のない白と黒が同居する衝撃に包まれた。そして今。

「京・・・護国院じゃない・・・?」

衝撃に吹き飛ばされたのか、和神は地面の上で目を覚まし、周囲を見渡していた。王土跡の窪地がなく、平坦な荒野が広がっている。後ろには鬱蒼と生い茂った森がある。

「ギャァギャァ・・・!」

空から響く鳴き声の方を見ると、翼竜が飛んでいた。

「プテラノドン・・・じゃなくてケツァルコアトルス・・・か?え?」

バキバキバキ・・・

後ろで木々が何やら音を立てているので振り返る。

「グァァ・・・」

図鑑で見た、映画で観た。その実物が目の前にいた。

「ティラノサウルスじゃん。」

「ガァァ・・・!」

バクンッ!!

頭から食われる寸前で和神は超神速移動で空中へと離脱した。

「危なぁ~・・・って食われても死なないんだろうけど・・・あっ。」

和神は本来の目的を思い出し、空中に上がったついでに辺りを見回す。

「いた。」

人のサイズに戻った“彼の者”が空中に浮かんでいた。翼竜の群れが“彼の者”の更に上空で旋回し、警戒しているようだった。

「白亜紀に来ちゃったっぽいけど、取りあえず“彼の者”は倒す・・・!」

和神は“彼の者”の方へと向かった。

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