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異界嬢の救済  作者: 常盤終阿
最終章:受け容れし者 編
334/370

第334話:内開式との戦い

賀繫が今度は無数の蔓を伸ばして追撃してくる。これをフウが迎え撃つ。

真空鎌鼬しんくうかまいたち

空気をも切り裂く無数の真空の刃が蔓を切り裂いていく。だが、賀繫が発生させている無数の蔓は切り裂かれた箇所から新たに蔓が発生し、更なる無数の蔓となって伸びてくる。

「厄・・・介・・・!」

フウは焦燥感を滲ませるが、フウが蔓を迎撃している間に、狗美が蔓と真空の刃の間を超高速で擦り抜け、術者である賀繫本体に迫っていた。

キュドンッ!!

狗美は超高速急降下から蹴りを繰り出した。しかし、それは賀繫ではなく、突如現れた土地神家当主・土地神絲角とちがみしかくに受け止められてしまっていた。

「チッ・・・!」

そこにサラも狗美の加勢に向かおうとしたが、背後に瞬間移動してきた剛氣の金棒攻撃に阻まれてしまう。

ブオンッ!!!

「あっぶッ・・・!!」

寸での所で躱したサラだが、剛氣によって振るわれた金棒の衝撃波で吹き飛ばされる。

「のわぁ!!また後ろからァ!卑怯者ォ!」

文句を言いながら態勢を整え、剛氣に対し反撃の一撃を放つ。

“サジタリウス~威手座~”

魔力の弓矢を形成し、剛氣へと放つ。剛氣はこれを事も無げに金棒を持っていない左手でバチン!と弾く。しかし、弾いた矢は爆散し、魔力の霧を発生させて剛氣の視界を奪った。

“シザギー~惑星直裂~”

霧で視界を封じた隙に剛氣の背後へと回ったサラが、剛氣の顔面に蹴りを炸裂させた。

ドドドドドドッ!!

蹴られた剛氣の右頬に幾度も魔力の爆発が生じるが、剛氣はその場から全く動かずにその爆発を受けきった。

「堅過ぎない!?」


ドォォン・・・!


サラの言葉と同時に護国院のある方角から爆音が響いた。それは、初代妖王の人形が司守の間を破壊した音であった。


「今の爆音、護国院の方からだったね・・・天ヶ崎さん大丈夫かな?」

「急ぎ加勢した方が良いでしょうね・・・。」

その頃、陽子と陰美は狗美たちとは少し離れた場所で焔城寺家当主・焔城寺獣悟えんじょうじじゅうごと水奈神家当主・水奈神流姫みなかみるき、そして内開式を使う王族1名を相手取り、戦っていた。

ザウッ!

内開式を使う王族が2人の頭上から襲撃してきた。2人はこれを躱し、陰美がこの王族の相手をする。

“陰撃【凝縮式】”

ドン!

王族は半透明の黒い妖力の球体に包まれ、圧し潰すような力をモロに食らったが、平然としており、その手に持つ刀を目にも止まらぬ速さで振るってくる。陰美はこれをどうにか回避しつつ反撃の機会を伺うが、それと同時に、もう1つの決断を下そうともしていた。


ザァァァ!

王族の襲撃を躱した陽子に、流姫が時を止める水球を発動させながら迫ってくる。

“陰陽術・火遁・炎獄えんごく

迫る流姫の周囲に火柱を発生させ、一時的にではあるが動きを封じた。だが、その陽子の背後に獣悟が大剣を構えて立っていた。

ブンッ!!!

“【禁忌】空間妖術・次元裂き”

ガキュンッ!!!

振り向きざま、獣悟の空間をも斬り裂く大剣に対し、同じく空間を切り裂く術で対応した陽子は間一髪その場を乗り切った。が、獣悟が大剣を振るうだけで空間を斬り裂けるのに対し、陽子は都度、空間妖術を発動する必要があり、消耗の差は歴然であった。

ドゥン!!!

突如、陽子の頭上からの巨大な水の刀が飛来した。流姫の奇襲である。合わせるように、獣悟の地上1m程の高さを薙ぐほのおの斬撃が陽子に向けて放たれていた。陽子は咄嗟に空間妖術での緊急脱出を試みるが、術の発生は水の刀と焔の斬撃よりも遅かった。

フッ・・・!

空間妖術は結局、間に合わなかった。しかし、陽子は無事に獣悟と流姫から距離を取った位置に移動していた。

気付けば、傍らには妹が居た。

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