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異界嬢の救済  作者: 常盤終阿
第3章:西洋妖界 編
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第33話:修練場にて

 特使とピクシーはじめ、お付きの者たちと和神たち4人は護国院の地下にある修練場へ場所を移し、早速和神の“受け容れし者”としての力量を試すことになっていた。

能力ちからを見ると言っても、相手がいりますね。」

 では,と、陰美は懐から人型の札を取り出した。陰陽隊が使っていた“式神”である。例によって、札は煙と共に姿を変え、腕組みをした3m程のゴツい青色の鬼が現れた。

「耐久性に特化した鬼だ。人間おまえ如きの力ではビクともしないだろう。」

 陰美の解説には何故かトゲがあったが、和神はその青鬼に対して能力を披露することになった。

「よろしくお願いします。」

 和神は式神の青鬼に軽く会釈をしたが、青鬼は仏頂面のままである。使用者に似るのか?,と思ったが、和神はその言葉を飲み込み、取り敢えず、先の戦いで使った“陽撃”を出してみた。

 閃光と共に白い光線が青鬼を飲み込み、その背後にある壁に当たり、光線は消えた。光線が消えた後の壁には青鬼が腕組みをし、立ったままめり込んでいた。

「位置がズレただけか?」

和神は仏頂面のままの青鬼を見て少し落胆したが、特使たちの反応は真逆であった。お付きの者たちはざわつき、ピクシーも開いた口が塞がらない様子。

「人間が妖力を・・・本当に“受け容れし者”なのですね。」

 そう言う特使も驚きを隠せない様だった。和神が“受け容れし者”であることを信じた様子ではあったものの、内心では半信半疑だったのだろう。とはいえ、この“陽撃”一発で、特使たちは和神が“受け容れし者”であることを受け容れざるを得なくなった。

「陰美さん、あの青鬼の耐久性能はどの程度でしょうか?」

特使が訊ねたが、陰美も和神の“陽撃”を出す瞬間を目の当たりにするのは初めてで動揺しており、特使の質問への回答が少し遅れた。

「え、あぁ、この青鬼は第4級ですから・・・私の“陽撃”ならば消し去れるかと。しかし、護国院の陰陽隊の者でもあの青鬼を動かすこともできなかったはずですが・・・。」

 陰美のその説明に、特使は更に驚きの色を見せる。

「でも、よく見て陰美。」

 唖然とする妹に陽子が指摘した。その指摘で陰美は青鬼の方を見やる。

「そっちじゃなくて。」

 陽子は陰美の頭を和神の方へ向けさせた。

「和神さん、さっきの“陽撃”で妖力を殆ど使い果たしてる。つまり、さっきの“陽撃”はただの“陽撃”じゃなくて“陽撃・全霊式”だったってことだよ。全霊式なら、陰陽隊の人たちだって動かすくらいはできるんじゃない?」

 陽子の言う通り、和神の身体からは妖気がすっかりなくなっているのを陰美も見て取れた。

「なるほど、つまり妖力を吸収・蓄積・放出はできるものの、放出する加減ができないというわけですね。」

 特使が和神の能力を冷静に分析した。

「おそらく、あの“陽撃”は前に放った時から今日までの蓄積、約3日分の妖力だったのかと。」

 陽子が補足する。そして、妖力がなくなったことで、和神が別の力も有していることが明らかになった。

「それは・・・霊力?」

「れいりょく?」

 和神が聞き返した。それに対して陽子が答えた。

「霊力は、死者や精霊、一部のあやかしが持つ力です。」

「でも、死者や精霊には会ったことないですよ、生まれて一度も。」

「はい、たぶん、わたしのでしょう。」

「・・・陽子さん、死んでるんですか?」

「そうではなく(笑)、九尾は僅かながら霊力を有しているのです。わたしと出会ってから約5日間、本当に少量ずつ霊力も吸収していたのでしょうね。それが妖力が消えたことでよく見えるようになりました。」

「どうやら、妖力も霊力も関係なく受け容れるようで。ならば“天力”も例外ではないでしょうね。」

 特使は顎に手を当てて考える姿勢をして言った。そして、特使はある提案をする。


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