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異界嬢の救済  作者: 常盤終阿
第6章:復活の神狼院 編
253/370

第253話:地脈の力

狗美の攻撃をその身に受けても高笑いしている金剛壱百弐拾参號。まるでダメージがないように見える。

「いいでしょう、狼人様の奥方になる貴女には一度、金狼の全力をお見せましょう!」

そう言うと、金剛壱百弐拾参號の全身から金色のオーラが沸き上がり、スキンヘッドの頭から金色と黒が混ざった体毛が生え、顔は次第に狼のものへと変化していく。脚も獣の後ろ脚のように変わり、手にも獣の体毛と爪が生えていく。

半妖態これこそ“地脈の力”を最大限に発揮できる姿!金狼の真価!貴女が嫁ぐ王狼院がいかに崇高な一族であるか、実感させて差し上げましょう・・・!」

金剛壱百弐拾参號はバサッ!と、纏っていた黒いローブを投げ捨てると、その中に金色の和風の甲冑を着込んでいた。先ほどの連撃をほぼノーダメージで凌いだのはこの甲冑のお陰では?と、思った狗美であったが、狗美の攻撃は本来ならば甲冑を着ている相手にも効く威力を持っている。となると、やはり金剛壱百弐拾参號が持つ“地脈の力”とやらは虚仮威こけおどしではないのだろうと考えられた。

その瞬間、狗美の目の前に金剛壱百弐拾参號の掌があった。咄嗟に態勢を後ろに崩し、倒れ込みながら腕を蹴り上げる狗美。しかし、狗美が地に倒れ込むより早く金剛壱百弐拾参號が狗美の胸倉を掴み横に1回転して地面に叩きつけた。バゴン!と、狗美が叩きつけられた地面は窪み、亀裂が入った。それは、狗美が今まで受けてきた攻撃の中で最も強い力を感じるものであった。

だが、叩きつけられる直前に妖力で身を守っていた狗美はすぐさま反撃に転じ、金剛壱百弐拾参號の顔面に掌底を繰り出す。この掌底は金剛壱百弐拾参號の顎にクリーンヒットした。が、金剛壱百弐拾参號はビクともせず、突き出した狗美の手首を掴み取り、そのまま目にも止まらぬ迅さで一本背負いへと移行。再び狗美を地面へ叩きつけた。

「グッ・・・!」

妖力で身を守っていても殺し切れない絶大な力を狗美は実感していた。

「どうです!素晴らしい膂力でしょう!?これが“地脈の力”です!いかに犬神と言えど地脈には敵わない!だってそうでしょう?地脈とはこの世界の、この星の力!即ち“地脈の力”を有する金狼わたしと戦うという事は、この惑星ほしと戦っていると同義なのですから!!」

バチバチバチ,と金剛壱百弐拾参號の放つ金色のオーラが発光する。狗美は金剛壱百弐拾参號の言葉に納得していた。掌底が顎にクリーンヒットさせてビクともしなかった時、狗美は確かにそこに見た目以上に大きな“何か”を感じていたからである。巨木、岩、大地・・・そういった揺るぎない“何か”。それが金剛壱百弐拾参號の言う“地脈の力”からもたらされる、“惑星ほし”であるというのなら確かにそうだったのかも知れないと。だからと言って、大人しく敗けるつもりも捕まるつもりもない、狗美の意思は決して変わらなかった。

狗美は瞬時に起き上がり、同時にしゃがんだ姿勢のまま下段回し蹴りを金剛壱百弐拾参號の右足首に放つ。やはりビクともしないが、そのまま体を逆回転させながら跳び上がり、左首に延髄蹴りを浴びせた。金剛壱百弐拾参號は自身の首に当たった狗美の右足首を掴み、片手でジャイアントスイングのように何度も回転した後、牢獄の外壁めがけて狗美をぶん投げた。凄まじい勢いで投げられた狗美は、牢獄の外壁をぶち抜いて反対側の外壁をもぶち抜いて牢獄の反対側まで飛ばされ、地面に転がり倒れた。

「ンン~、イイ!気持ちがイイ!!この力は何度使っても本当に爽快だァ・・・。あの犬神ですら手も足も出ない!!最高の力だ・・・!」


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