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異界嬢の救済  作者: 常盤終阿
第5章:破滅の不死鳥 編
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第189話:暴動

サンクティタス王国・魔界研究所

ここは、サンクティタス王国にある魔界及び魔物に対する研究・開発を行う軍直属の公的施設である。この研究所で現在、全力を持って取り組んでいる研究が、降伏してきた元メリディエス兵の身体の解析である。

彼らはその身に臓器の代わりに魔石や機械を入れられ、本来その者が発揮できなかったような能力を発現できるように手術、というより“改造”が施されていた。これは倫理的に看過できるものではないが、魔界の民はその気になればここまで出来るということは純然たる事実。そのため、彼らを研究することで、魔界対策の新たな発見が出来るのではないかと考え、研究が為されている。特に旧メリディエス帝国軍大将、マキーナ・メリディエス・オニキス・・・アダマス元帥の子息は生まれるより以前、母の胎内にいる間から改造が開始されており、彼の体内は最早妖や魔人のそれとは大きくかけ離れたサイボーグと呼んでいいレベルに至っていた。

そんなマキーナが研究室の丸椅子に腰をかけている。そこへ研究主任、チモールがやって来る。彼女は250歳の若さでこの一大プロジェクトを任される程の才媛で、ゆくゆくは所長になると目されている女性である。

「さて、今日もよろしく頼みますね、マキーナ。」

「はい、よろしくお願いします。」

マキーナ始め、旧メリディエス帝国兵は皆協力的であった。自分たちの国が起こした事態の大きさを理解していたのと、それを止められなかった負い目があったのもあるが、何より、投降してきた者達は皆争いを好まない者達であったということが最大の要因であった。

そんな彼らに対し、研究員たちも高圧的な態度は取らなかった。そういう対応をするような研究員は当プロジェクトから外す,というチモールの方針の下、みな温厚かつ有能な研究者だけが集まっていたのである。

この日もいつものように身体検査から始まり、様々な測定を行う予定であった。だが・・・。


サンクティタス王国・対七災神作戦司令部

ここはサンクティタス王国軍が貴族階層の一区画に設けた即席の対七災神用の軍部である。

「報告!報告!」

馬に乗ったサンクティタス軍の伝令兵が慌てた様子でやって来た。

「どうした?」

報告を受けるのは、当作戦の指揮を任されたデイズ中将。2mを超える巨漢で、その身から繰り出される剛力と戦場での柔軟かつ賢明な立ち回りで名を馳せた猛将である。

「ぼ、暴動です!魔界研究所と元メリディエス帝国軍居住地にて暴動です!!」

「何だと!?奴らめ、七災神の混乱に乗じて・・・!やはり魔界の民など信用ならん!」

「報告します!」

別の伝令兵が馬で駆け付けた。

「今度はなんだ!」

「ハッ!それが、元メリディエス帝国軍居住地の暴動は、警備兼護衛担当のホープ隊の手によって鎮圧されました。」

「ほう・・・?早かったな。」

「はい。それが妙でして、一部の元メリディエス兵も鎮圧に協力した,と。」

「なに?」

「司令!魔界研究所より入電!」

「うむ!急に忙しいぞ!」

通信機を手に取るデイズ中将。

「こちらデイズ。そちらの状況は?」

「こちら元メリディエス兵研究班主任、チモールです・・・。解析中でありましたマキーナ元大将及びリキッド元准将が研究所を脱走しました・・・。」

「被害は!?」

「う・・・数名の研究員が重軽傷を、私も恐らく肋骨を折っていると思われますが、死者はおりません。」

「あくまでも脱走が目的であったという事か・・・。」

「それが、おかしいのです。彼は脱走する直前、急に酷い頭痛を訴え始め、それに伴い計器も異常な数値を示し始めたのです。まるで、何者かが彼らを暴走させるスイッチを入れたような・・・。」

「うーむ・・・。何にせよメリディエスの将校クラスが脱走した事実に変わりはない。奴らはどこへ行った?」

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