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異界嬢の救済  作者: 常盤終阿
第5章:破滅の不死鳥 編
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第169話:富士見島で必ず

夕刻

京北部・対破滅の不死鳥作戦本部


和神たちはここに集まっていた。招集をかけたのは美鳥だが、彼女よりも早く狗美が口を開いた。

「私はどの“七災神”の所へ行けばいい?」

これから話をしようと思っていたことを先に言われ、少し驚いた様子の美鳥だが、すぐに事情を理解した。

「・・・ああ、和神くんに聞いたのね。その話をしていた時はまだ陰美ちゃんは聞いてなかったもんね。でもそれなら話が早いわ。

そう、みんなにはそれぞれ違う“七災神”の所へ行ってもらう。みんなちゃんとお風呂には浸かったみたいだからね。」

「入浴した事とこの後の作戦に関係が?」

ミネルヴァが問う。

「ええ、実はみんな浸かったあのお湯には私の術によって治癒効果の他に、みんなの力を底上げする増強効果と僅かながら不知火の力を付与する効果もあったの。つまり、みんなは今“一時的にいつもより強く、使う技や術には不知火が付与される状態”になってるってわけ。“七災神”の強靭な耐久力を崩す一助にはなるはずだから、各地で“七災神”と交戦している人たちと協力して討伐してほしい。それが今後の作戦よ。

みんながどの“七災神”と戦うのかは、相性や実力差を見て私の方で決めさせてもらったから、あとで聞いて。」

「美鳥さんはどちらに?」

「私は和神くんと一緒に、私と疾風はやてが生まれた島・・・“富士見島ふじみじま”に向かいます。疾風は必ずそこにいる。・・・和神くん、よろしくね?」

そう言うと美鳥は和神に目配せをする。和神は黙って頷く。そこで、狗美が口を開いた。

「大家さん。“転譲の儀”について聞いた。」

「・・・そう。」

「私は、和神がどうにかなってしまうのは避けたい・・・だが、和神が決めたことならそれにどうこう言うつもりはない。ただ、和神は本当は大家さんに居なくなってほしくないと思っている。だから、出来れば“転譲の儀”はさせたくない。私もそう思っている。大家さんには恩がある。」

「!」

「“七災神”を倒してすぐに戻ってきて、和神と大家さんに加勢する。だからそれまで、“転譲の儀”をしないで持ち堪えてほしい。」

美鳥は周囲にいる陽子やミネルヴァたちに順番に視線を向けていく。皆が同じ思い,というわけではなさそうであった。しかし皆、同じ方向を視ている、そんな眼をしていた。

「・・・どのくらい“つ”か分からないよ。ほんとに。けど、やれる限りやってみるよ。・・・ありがとう、みんな。」

そう言うと、美鳥は護国隊員に確認を取る。

「ね、アレの準備は出来た?」

「ハッ!7台、護国院正門前に!いつでも利用可能です!」

「さすが、準備が早いわね。」

美鳥は狗美たちの方に向き直った。

「みんなには“足”を用意したから。自分たちで走って行くんじゃ、戦う前に疲れちゃうでしょ?」


護国院・正門前

7台の高さ3m、幅・奥行4mほどの駕籠かごが用意されていた。駕籠には炎を纏った車輪のような躯体をした妖“輪入道”が1つの駕籠につき2体、車輪の代わりに付いている。

「護国院に席は置いてるけど、普段はその辺をゴロゴロしてるんだって。でも、その速さと体力は確かなものらしいから、安心して乗って。」

駕籠を見上げながら美鳥が言う。護国隊員に案内され、皆それぞれの駕籠に乗り込む。

「いい?“七災神”は強大な敵だからね?私や和神くんのコト考えてくれるのは嬉しいけど、まずは目の前の“七災神”を倒すことと、無事に帰って来ることを第一に考えてね!」

「わかってるって~。」

サラがひらひらと手を振る。

「大家さん、和神に無茶させないようにな。」

狗美が心配そうに言う。

「大丈夫。和神くんは死なせないから、絶対。」

「では、皆さん!“七災神”を倒し、“富士見島”で必ず!」

ミネルヴァの声に皆が頷き、“七災神”へと向けて駕籠は走り出した。

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