第159話:サキュバスVS不死鳥
“爆の・・・”
ミネルヴァの腹部に突き刺さった“剣の不知火”が白い輝きを増す。その時、イックスの背後に黒い槍が飛来した。
“RPG-777ジャベリン”
槍の先がイックスに当たった瞬間、魔力の爆発が起こり、その爆風で吹き飛ばされたミネルヴァは必然的に“剣の不知火”から抜けられた。
「魔物か。」
“RPG-777ジャベリン”の爆発にはビクともしていないイックスは振り返り、攻撃の主を見据えた。攻撃の主は当然、サラであった。既にデビルスタイル状態である。ミネルヴァは傷を癒しながらサラに感謝を述べる。
「サラ・・・助かりました。」
「もー!結界の外で待っててやっと来た!と思ったらみんなビュンビュン行っちゃうし、陽子ちゃんもミーちゃんもいきなりマジモードで近付くの恐いし、どーしようかと思ったよ!」
いつもの調子で喋るサラにイックスが投げかける。
「奇怪だ。魔物がエルフを救うとはな。魔物とエルフが相容れることなど永久にないと思っていたが。」
サラは答える。
「え・・・まあね!昔何かあったみたいだけど、アタシたちは今を生きてるからね!・・・まあアタシ純粋な魔物じゃないんだけど・・・。」
「ほう、なるほどな。故にサタンの魔力を纏っているのか。」
「え、まあ。つかサタン様呼び捨てって・・・知り合い?」
「古い縁だ。奴の国は栄えているのか?」
「まあ、魔界最大にはね!」
どやぁ,と胸を張るサラ。
「そうか。滅ぼし甲斐がありそうで何よりだ。」
「あくまで滅ぼすのね・・・。滅ぼし厨ってゆーか破滅バカってゆーか・・・。」
瞬間、サラの眼前にイックスは居り、“剣の不知火”を振るっていた。だが、サラはこれをギリギリ魔力から形成した“魔剣”で受け止めていた。
「あっぶな!魔力供給量増やしてもらってなかったらヤバかったぁー!」
「・・・ほぉう。」
サラの背には4枚の悪魔の羽が生え、身体には全身を覆う黒いタトゥーのような紋様が現れ、顔は歌舞伎の隈取のような、海外のヴィジュアル系バンドのような紋様が現出していた。
“デモンズスタイル”
サラはサタンからの魔力供給量を増やしてもらったことによって更なる能力強化を果たしていたのである。
「面白い・・・。」
イックスは口角を上げた後、“剣の不知火”を凄まじい速さで連続して振るう。サラもこれを凌ぐため同等の速度で魔剣を振るう。
「ぎゃーーー!何よー!?怖い怖い怖い!!」
言葉とは裏腹にサラはイックスの剣速について来ていた。だが、凌ぐので精一杯でイックスの放った急な回し蹴りには反応できなかった。サラは腹筋を蹴られ、5mほど吹っ飛ぶ。
「痛!いきなり蹴りとか・・・」
そこへ、不知火の槍が飛んできた。寸での所でサラは魔剣で弾いたが・・・。
“爆槍の不知火”
イックスの投擲した不知火の槍はサラが弾いた箇所から大爆発を引き起こした。まるで“RPG-777ジャベリン”のように。
「サラ!」
声を上げるミネルヴァのもとにイックスは接近し、“剣の不知火”を左下から斬り上げるように振るっていた。しかし、これはミネルヴァの形成した天力のバリアによって防がれた。
「天力の護りか・・・フッフッフ。」
「何を笑っているのです・・・。」
不敵な笑みを浮かべたイックスは天力のバリアとせめぎ合う“剣の不知火”に力を籠める。すると、刀身が更に白みを増し、天力のバリアが斬り裂かれ、刃はミネルヴァにまで到達した。
「な・・・に・・・!」
“真剣の不知火”
更に、左下から斬り上げた刀身が巨大な不知火の大剣へと変貌する。
“聖剣の不知火”
イックスはそれをミネルヴァへと振り下ろした。




