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異界嬢の救済  作者: 常盤終阿
第5章:破滅の不死鳥 編
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第158話:九尾とエルフVS不死鳥

“アヴァロンズ・シャイン”が通過したあとの何もない空間から不知火は発生し、心臓と思しきものを形成し、瞬く間にイックスの形を再生し始める。

“パルテノンレイ”

黙って再生を見届けているミネルヴァではなく、再生せんとしている上空より光線を降り注がせる。光線が通った後にはまたも何も存在しなくなった。だが、同じ場所から今度は不知火による大きな爆発が生じ、白い爆炎の中からイックスは再生して現れた。

「流石は大天使の力、と言ったところか。だがどんな破壊力を持つ攻撃であろうが、某は死なぬ。」

イックスが話している間に、キラキラと光る欠片のようなものがイックスの周囲を漂い始めていた。そしてそれは一瞬で氷の柱となってイックスを凍結させた。

“陰陽術・水遁・氷結塔”

地上にいた半妖態の陽子によるものであった。陽子は更にたたみかける。

“陰陽術・土遁・大地の鎖”

地中から先の尖った鎖のような形をした土が5本現れ、“氷結塔”の周囲を螺旋状に巻いていく。土の鎖から植物の根のようなものが伸び、“氷結塔”はたちまち大木のような姿へと変貌した。

“監獄結界”

更に、大木と化した“氷結塔”を内側へ閉じ込める種類の結界で囲った。

「これで簡単には出られないでしょう・・・。」

一息つく陽子。しかし、その期待は崩れ去る。“氷結塔”と同じように。

はぜの不知火”

イックスは不知火で自身を大爆発させ、大木と化した“氷結塔”を木端微塵に吹き飛ばした。

「ほう、結界か。実に強固だな。」

結界の中からイックスは陽子を一瞥する。

「九尾か・・・!某の時代にも希少で強力な存在であったが、まだ存在していたとはな。」

イックスは結界に触れる。“監獄結界”はその名の通り監獄の機能を有した結界である。つまり、脱獄しようとすれば罰を受ける。

“監獄結界・いかづちの刑”

イックスを強力な電流が襲った。が、そんなものを気にも留めない様子でイックスはそのまま結界に触れ続け、やがて指先が触れている箇所からヒビが入り、ガラスのように結界は砕け散った。同時に“雷の刑”も止まった。

「だが・・・残念だ。汝らはその力の使い方を知らんらしい。否、だからこそ生存しているのか・・・。力を持つ者が力の使い方を知っていれば、必ず弱者からの迫害を受けるものだからな。」

イックスは地上にいる陽子と正面に浮遊するミネルヴァを見る。

「いい顔付きをしている。消すには惜しいが・・・我が道の障害となるならば仕方あるまい。」

つるぎの不知火”

不知火で剣を生成する。イックスが身構えるより早くミネルヴァがエクスカリバーで斬りかかり、一閃。ミネルヴァはすれ違い、イックスの背後にいた。だが、斬られていたのはミネルヴァの方であった。

「な・・・に・・・。」

「ミネルヴァ様!!」

陽子が地上から跳び、空中で血を流すミネルヴァのもとへ向かう。イックスが2太刀目を浴びせようと振り向いていた。

宙妖剣ちゅうようけん

陽子は空中に妖力で剣を作り出した。これは陽子が直接触れていなくても陽子の意思と妖力で自在に動くこの剣に、イックスの相手を一時的に任せた。その間に陽子はミネルヴァのもとへ・・・そう考えていた陽子を不知火が襲った。

「なっ・・・!」

剣閃けんせんの不知火”

イックスの持つ剣のきっさきから放たれた不知火の業火が“宙妖剣”もろとも陽子を飲み込み、地上に広がる森の中へと突き落とした。

“ヴィーナス・・・”

傷を負いながらもイックスに左手を向けるミネルヴァ。しかし、既にイックスはミネルヴァの懐に入っていた。

「漸く8割ほど戻ってきたようだ。」

囁くようにそう言った後、“剣の不知火”がミネルヴァを貫いた。

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