第104話:ミネルヴァ准将VSカッパー中将
カッパー中将の持つ杖は魔石で出来ており、その先端には魔石の結晶が埋め込まれている。術者本人の魔力が少なかろうと、力が発揮できる代物である。
「ほれほれ!当たってしまうぞ!」
カッパー中将は杖の先から無数の魔弾を撃ち出してミネルヴァの接近を封じていた。如何に“エンジェルアローサル”状態であっても、この魔弾の数を躱してカッパー中将に辿り着くのは厳しかった。距離を取って“アルテミスアロー”を使おうにも、魔弾は追尾機能を有しているため四方八方から飛来し、弓を構える時間も取れない。ましてや今のミネルヴァは飛行艇を撃ち墜とすのに天力を消耗してしまっている。“エンジェルアローサル”を保つのにも限界が近付いていた。
「面倒なことを・・・。」
「ふっふっふ!どんな手を使おうと!戦力を削ぎ切った者が勝者!」
「・・・ですね。」
「?」
一言呟くとミネルヴァはカッパー中将と距離を取る。当然魔弾は追って来る。
“アルテミスアロー”
ミネルヴァは天力の弓を構えた。飛来する魔弾は動きを止めた獲物に容赦なく命中した。
「ふっふっふ!愚かな。若さ故の焦りが、この老いぼれより先に死を呼びましたねぇ。才能があっても使えなければ猫に小判というものです。あのスパイよりも呆気ない・・・」
“【チャージ・オブ・ホエール】”
調子づいてベラベラ喋る老兵に天罰を。そう言わんばかりの特大の天力矢がカッパー中将の立つ飛行艇に飛来した。
「あの数の魔弾を受けて・・・何故!?」
「“才能”・・・では?」
ミネルヴァは“エンジェルアローサル”で生じている天力の翼で自身を包み、魔弾から身を護っていた。ただ、天力の翼をガードに使ったことと渾身の“アルテミスアロー”を放ったことによる消耗が激しく“エンジェルアローサル”は解除され、ミネルヴァはカッパー中将の立っていた飛行艇と共に地上へと落下していった。
「ぐうう!何が“才能”!!小童がアァ!!」
咄嗟に老人とは思えない脚力で跳び、“アルテミスアロー”の直撃を回避していたカッパー中将は、鬼の形相で憤りながら飛行艇と共に落下していた。幾ら“跳躍”出来ようと“飛行”は出来ないらしい。怒りながら杖を振り回し、魔弾を撃つカッパー中将。
「いつぞやの“ダイヤモンド”よりは軽いですが、厄介なので・・・。」
ミネルヴァは天力の弓を構え、放った。
“アルテミスアロー【アタック・オブ・マーリン】”
1本の細く鋭い天力の矢が飛来する魔弾の間を真っ直ぐに飛び、カッパー中将の手元に命中し、杖を弾き飛ばした。飛来する魔弾はカッパー中将が破れかぶれに放った5、6発だけ。ミネルヴァはこれを天力の盾で防ぎ切った。
「くっそ女があアァアァ!!」
「貴方のような方を老害というのでしょうね。」
ミネルヴァは上空を見る。飛行艇を2機ほど残してきてしまったと思っていたからである。だが、それは杞憂であった。“【チャージ・オブ・ホエール】”が旗艦の飛行艇に命中した衝撃波によって残っていた飛行艇もバランスを失って落下していたのである。
「ふぅ、やることはやれましたか・・・。あとは、他の皆さんにお願い、しましょう・・・。」
天力を消耗し過ぎたミネルヴァは意識を失った。
奈良北部・和神たち対シルバー少将の戦場
ここからも“【チャージ・オブ・ホエール】”の衝撃波の光は見ることが出来た。
「ミネルヴァ・・・!」
フウが心配する素振りを見せるとシルバー少将はここぞとばかりに攻勢に移った。
“怒髪天”
シルバー少将は凄まじい量の魔力を全身から放出した。その姿は、まるで阿修羅のようであった。




