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異界嬢の救済  作者: 常盤終阿
第4章:帝国の侵攻 編
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第103話:戦地・奈良

奈良南部・メリディエス帝国軍基地

「報告します!魔鎧兵“第1部隊”全滅しました!!」

報告を受けたアダマス元帥は驚いた素振りも見せず、命令を出す。

「ならば第2、第3部隊も出せ。予定より遅れているのだ。こんな小国、数で潰してしまえ。」

「はっ!」

伝令兵は駆けて部屋を後にしたのを確認し、リキッドに訊ねる。

「・・・スティールの方は?」

「ええ、つつが無く。」


奈良北部・和神たち対シルバー少将の戦場

“陽撃”

陽子がシルバー少将に妖力の光線を放つ。しかし、キメラモードのシルバー少将はこれを瞬間移動で回避し、陽子の背後へと回り込む。

「よく見りゃ、イイ体してんじゃねぇか・・・!なぁ、俺のヨメになれよ!したら他のヤツらは見逃してやるよ。」

風刃ふうじん

フウの風の斬撃がシルバー少将に飛来。少将はこれも瞬間移動で回避しフウの頭上から出現、右下の腕で魔剣を振り下ろす。フウは風になって少将の懐に潜り込んだ。

旋槍つむじやり

逆巻く風が槍となって貫く。岩をも穿つ威力で大抵の生物は貫通するが、キメラモードの少将は吹っ飛ぶだけで無傷であった。

「こんなん効く・・・」

“陰撃【凝縮式】”

吹っ飛んだ勢いを殺しつつ着地した少将が余裕の宣言を告げようとした頭を黒い妖力の球体が包んだ。その球体の中で“陰撃”が炸裂する。“範囲”よりも“破壊力”を重視した“陰撃”である。

「ぶはァ!うっとうしいわァ!!」

ブンブンと4本の腕を出鱈目に振り回す少将。陽子は舞うようにこれを避けて距離を置いた。

「はぁ、わたしって男運ないのかな・・・?」

落ち込む陽子はちらっと和神に視線を向ける。同じ視界に和神を護るように立つ狗美の姿がある。

「・・・はぁ。」

「余所見してっと~。」

四閃翔しせんしょう

4振りの刀剣から魔力の斬撃が放たれ、陽子目掛けて飛来する。陽子はひらりと身を翻して回避・・・したはずであったが。

「陽子さん!?」

思わず和神が名を呼ぶ。陽子は脇腹を斬られ、宙を舞って地面に落下した。

「あれ・・・?当たった?」

そこへ砲弾が飛来。間一髪のところでフウが風で止める。

「あの斬撃・・・曲がった。気をつけなさい・・・。」

少将の背後から戦車部隊の残存勢力が援護射撃を始めた。


奈良北部南・サラ対メタル中将

「あれって、どー見ても“アスラタイタン”よね・・・?どゆこと?」

“イ・レーザー【ホーミング】”

ただの“イ・レーザー”では埒が明かなかったため、メタル中将は視界による追尾機能を付与した“イ・レーザー”に切り替えていた。

「それウザいっての!」

“フレア・フレグランス”

サラはメタル中将と自身の間に魔力による霧を発生させ、中将の視界を遮って追尾を遮断してこれを凌いでいた。この魔力の霧は何故か甘い香りがするとか。

“RPG-777ジャベリン”

サラは対戦車用武器をメタル中将個人に対して使用した。非人道的だろうが、そもそも人間ではないのである。そして、それには相応のワケがあった。

ズドォン!!

“RPG-777ジャベリン”は見事に命中・爆発した。だが、爆煙の中には無傷の中将が佇んでいる。

「無意味。」

「あー、めんどい!」


奈良上空・ミネルヴァ対飛行艇部隊

「だいぶ、撃ち墜としてくれましたねぇ・・・お嬢さん。」

飛行艇は残り3機となっていた。旗艦である飛行艇の上にミネルヴァと、飛行艇部隊を率いていたカッパー中将が向かい合って立っている。

「はぁ、もっと早く出て来て下されば、こんな手間をかけずに済んだのですが。」

「ふっふっふ、これは戦争です。どんな手を使おうと戦力を削ぎ切った者が勝つ。」

「ええ。ですから我らが勝つのです。」

「ふっふっふ!未だ我らの真価も見ておらぬ故、そのようなかおが出来るのでしょうなぁ。」

「?わたくし、どのようなかおをしておりますか?」

カッパー中将が杖をミネルヴァに向ける。

「才能に溺れた、傲慢な貌だよ・・・!」



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