十八話・BPの使い道1
マリナの家のベッドに横たわると、今日のことを思い返す。
やっと迷宮から出られたと思ったら散々な目にあってしまった。
やっと落ち着いて寝れそうだったのに、胃がムカムカして中々寝付けない。
暇つぶしにステータス画面を出してみる。
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名前 :ラファエル
年齢 :18
性別 :男
種族 :天使族
職業 :見習い天使
レベル: 8
<ティーファ>
<アイテム>
<スキル>
【GP】76
【BP】108
【HP】57
【MP】15
【SP】26
【筋力】15
【器用】16
【敏捷】20
【頑強】15
【魔力】5
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迷宮にいる間、BPをステータスに割り振った。
HPとMPはBP1で数値が15上がった。
SPは10。
筋力、器用、頑強は3。
敏捷が4。
魔力は5だった。
実際に上げてみないと数値の上がり幅が分からなかったので、勿体無いけど全てに割り振ってある。
よりステータスの変化を感じ取るために、敏捷には合計2ポイントを入れた。
はっきり言ってこの数値の上がり幅はかなり凄い。
上級職の剣帝の時でさえBP1あたり、HP、SPは平均で10。
MPで3。
他の能力値が1から3だった。
BPの上がり幅とステータスの上がり幅を考えると、この天使見習いっていう職業は上級職の、さらに上のステージの職業とも言える。
ただ、異常にレベルが上がらない。
ティーファの方も試そうと思ったんだけど、どうやらティーファはステータスにBPを割り振ることが出来ないらしい。
その分、俺から魔力を吸うことで成長しているし、問題はなさそうだ。
残ったBPをいつ、どう割り振るのか。
迷宮の中でも考えていたけど中々結論が出ない。
ステータスを実際に上げてみて、走るスピードや、物を持った時の軽さ、剣の扱い、全てが前よりも上回っている。
明らかに強くなっていると実感できた。
ステータスに割り振れば今よりもっと強くなれるのは間違いない。
対してスキルの方はどうか。
【擬似天使化】 レベル2
【流水剣】 レベル9
【共通言語】 レベル9
【共通文字】 レベル9
この四つが俺が持っているスキルだ。
流水剣に関してはレベル9だけ習得しているという、変則的で普通ならあり得ない状態だ。
スキルの効果は絶大だ。
擬似天使化、ティーファの火魔法、どれも必殺の威力を誇る。
俺がスキルに一番の可能性を見出しているのは、マシュール街の処刑人の一撃を防いだ時のことだ。
あの時の感覚は今考えてもおかしかった。
勝手に体が動いたというか、動き方を知っていたというか、上手く説明できないけど、俺の力で防いだわけじゃないのは確かだ。
可能性があるとすれば、【流水剣】の力だと思っている。
あの時の感覚はそれ以降経験していないが、レベル一から取っていけば、その可能性を実証できるんじゃないかと俺は踏んでいる。
そして俺が取れる武器系スキルがこの五つだ。
【両手剣】
【片手剣】
【飛剣】
【神速剣】
【流水剣】
片手剣の最上級スキルの一つである【流水剣】
片手剣の上位スキルの一つである【飛剣】
【飛剣】の上位スキルであり、最上級スキルの【神速剣】
俺の考えではスキルが習得可能になるには、それなりの努力が必要になってくる。
【両手剣】のスキルを取れるのは、毎日剣を振ってきたことと無関係ではないということだ。
あの古びた剣は両手でも片手でも扱える仕様だし。
実際に補助系スキルに【農業】があるのは、毎日芋掘りをしていたからだろう。
ただ、例外もあるようだ。
【流水剣】は天界で手に入れたものだし、【飛剣】【神速剣】は擬似天使化した時に持っているスキルだ。
一度手に入れてさえしまえば、経験してなかろうが、上位スキルだろうが関係なしにBPで習得することができるらしい。
だから俺は魔法系スキルのほとんどを習得することができる。
しかも上位スキルから。
それとゲームの時と同じように、レベルが上がった時に習得できるというのもあり得そうだ。
後はティーファのスキルにどれだけ割り振るかだな。
火魔法をもっと強化するもよし。
オールラウンダーに、他の属性のスキルを取るもよし。
詠唱短縮とか補助系のスキルを取るもよし。
結局ティーファの気持ち次第だな。
取り敢えずBPは40ポイントずつに分けて、それぞれ自分の使いたいようにするっていうのもありだな。
余りは非常事態用にして。
俺の目的はティーファを立派に育てるというのが第一だしな。
よし、今回はそうするか!
色々考えている間に胃のムカムカも治まっていた。
翌朝、早速ティーファに話を持ちかけると、「ファッッ!!」と声をあげて頷いた。
ステータス画面を出してあげると、ティーファは自分のBPを一瞬で使い切った。
止める間もないくらい、本当に一瞬だった。
ティーファが取ったのは【召喚魔法】という謎のスキル。
前に見た時はなかったはずだ。
このスキルはレベルアップの影響なのかもしれない。
ティーファよ。
火魔法の時もそうだったけど、もっと悩みながら少しずつ、っていう気持ちはないのか?
後からBPを寄越せと言ってもあげないからな。
俺から流れる不穏な空気を感じ取ってか、ティーファがステップを踏み、アピールを始めた。
「説明を見ろってか?」
「ファッッ!!」
説明欄を見てみるが、これでクソスキルだったら本気で笑えないことになる。
【召喚魔法】レベル三
項目に触れる。
【召喚魔法】
レベル一・ボーンナイト
レベル二・ペガサス
レベル三・赤竜
レベル三で竜か。
BPが高かった分、それなりのモンスターが召喚できそうだ。
レベル一のボーンナイトの項目に触れる。
ボーンナイト3/3
・このスキルを使うことで、異界からボーンナイトを召喚することができる。
・ボーンナイトは召喚主の指示に従い、行動する。
・ボーンナイトはHPが0になるか、召喚主の意思があれば異界に戻る。
・ボーンナイトのレベルは召喚主の魔力に依存する。
・リキャストタイムは一時間
・消費魔力は20
なるほど。
HPがなくならない限り、ずっと戦ってくれるっていうわけか。
少数クランの俺たちにはかなり相性のいいスキルかもしれない。
さすが、ティーファ!
「疑って悪かった。ごめんな、ティーファ」
「ファッッ!!」
ティーファは俺の声を聞くと、安堵したように一声あげた。
赤竜の項目を見てみると、消費魔力が500だった。
レベル3でこれって、10になったら消費MPってどうなるんだろう?
というか、レベル3で赤竜だったら、10って神クラスが召喚されるのかもしれない。
想像しただけで寒気がしてくる。
ティーファはもう全部使い切ったし、次は俺の番だ。
ティーファを見習って派手に使いますか!
自分のステータス画面を開き、指先を伸ばした。




