月模様と白太
白太と出会いそろそろ二週間になり、十一月も終わりかけである。
十一月終盤に行われる我が文化祭も近づき、私は彼女と帰る事が多くなっている。
また、それとは別に私は白太のおかげで彼女といる時間が増えている。私はそれを抜きにしても白太に愛着が湧いていた。
彼女は今日用事があるという、私は一人例の河原にいた。
「おーい、白太」
河原で呼ぶと白太は駆け寄ってくる。
「……あれ?」
しかし今日は来ない。
いつも白太が寝ている茂みに近づくと見覚えのある顔があった。
「ん? おや、トーヤ君じゃあないかい」
変人男である。
「何をしているんですか」
「見ての通り、犬と戯れているんだよ」
見ると白犬は変人の手に噛み付いていた。
「どこが戯れてるんですか」
「嫌よ嫌よも好きのうちだよ」
それはそうと、と変人は切り出す
「この子はもうじき死ぬね」
「なっ」
縁起でも無い、彼女の愛する犬に向かって!
「驚くだろうね、でもしょうがないのだよ」
「何を言うか、その子はまだまだ元気だ」
変人は髭を撫でる
「仕方ない、生命とはそういうものなのだ」
「なんだ! 失礼な」
変人は立ち上がった。
「その時に彼女にどう説明するか考えておくといい」
「そんな事は起こりはしない」
「まあ信じないならそれもよい」
そう言って変人は去っていった。
キャンキャンと鳴く白太を見て私は呟く
「お前……元気だよな」




