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プロローグ
「前の車を追ってくれ!」
近くにいたタクシーに乗り込んで運転手にそう叫ぶ
「何か事情がおありのようだ」
ものわかりの良い運転手だ。
「その通りだ! 早く出してくれ!」
「ならば降りろ! 厄介事に巻き込むな!」
「了解しました!」
だろうな! 私でも嫌だ!
「こんちくしょおが!!」
私は車を走って追いかけようとする
『無謀だ、彼女とは今のような関係でいて心地よい平凡な生活に戻ればよい』
仮面男が私に叫ぶ、私も仮面男に叫ぶ。
「無謀で結構、無謀万歳!」
それに、無謀では無い!
『何が万歳だ』
「私は恋に生きると決めたのだ! お前は私であって私じゃない!」
私はもう見えなくなった車を追って走りだした。
彼女に想いを伝えるのだ!