1/10
1. 夢の中の少女
できれば横書きスタイルのままで読んでいただきたいです。
でないと矢印の方向が、よくわからないことになってしまいます。
宜しくお願いします。
「あなたの貴重な時間を、ほんの少しだけ私に下さい!」
夢の中の女の子は叫ぶようにそう言った後、
頭を下げ、
目を閉じ、
握手を求めるように右手を差し出した。
俺は少しの逡巡の後に、努めて優しくその手を握った。
冷たい手だった。
彼女の瞳は開かれた。
そして彼女は、俺に言った。
「私は死にます。しかも、あなたのせいで死にます。だけど、あなたの行動によっては、私が生存する可能性があります。どうか私を探し出して。どうかどうか、私を助けて下さい」
わけがわからなかった――。