☆第3話☆
「くっくっくっ。どうだ、わかるか量子」
「わかるわけないでしょ」
悪魔の様な不敵な笑みで笑う狂太郎。
狂太郎を見ることもなく、スマホでゲームをしながら応える量子。
「この!宇宙開闢以来の天才!!幽天橋狂太郎によって新たに実施した実験の結果を見よ!!!!」
「見ても分かんないって」
「小金守~。貴様ならこの実験データの意味がわかるよなぁ~」
「も、もちろん、わかります!分かりますが…、あの、ええ…、申し上げにくいのですが……、これは失敗…、では………?」
「何を!何を言っている!こ!が!ね!も!り!」
「いや、あの、この結果では、核融合は、やはり、無理、なの、で、は………?」
「お前の見識はその程度か……、小金守。まあ、それも仕方がない。貴様は頭は良いといっても凡人だからな。この実験結果から、常温核融合に至る道のりを想像できんのも致し方無い」
「幽天橋さんには、ここからの道のりが見えていると………!!」
「当然だ!!!!!」
狂太郎は小金守の耳元で応える。
そのあまりの大声に、小金守の意識は遠くなる。
呆然として倒れそうになるが、すんでのところで踏みとどまる。
「いいか!小金井!これが今後の実験プランだ!」
PCの画面に映された内容を見た小金守が、踏みとどまっていた足を踏み外し、床にへたり込んだ。
「こんなプランが、本当に可能なのですか?まさか…、信じられません…」
「可能だ」
当然のことのように言って、狂太郎は部屋を出て行った。
「あ、外行くんだったらアイス」
量子がゲームをしながら狂太郎に言うが、狂太郎は振り返ることなく歩き去った。
15分後。
高笑いと共に狂太郎が扉を開く。
「あーっはっはっはっはぁー!!次の実験の準備は出来たぞ!!!!」
そう言いながら、量子にアイスを渡す。
全てを知り尽くす天才である狂太郎は、量子のアイスの好みも熟知している。
「ん、ありがと」
「もう、次の実験の準備を!?本当ですか!?」
「当たり前だ、小金守!まだまだ実験はあるのだ!こんなところで、のんびりなどしてられん!!!」
「あ、狂太郎。飲み物、なくなった」
「うるさい、量子。アイスと一緒に頼まんか。まあ、後で買ってきてやる」
小声で量子に言った狂太郎は、PCに向かう。
「さあ、次の実験を始めようではないか!!!」
「えー、飲み物は~?」
「後で買ってきてやると言っとるだろうが!」
怒涛の如くキーボードをタイプする狂太郎。
彼の集中力は、次の実験に向けて対局中の藤井聡太並みに高まり、周りの声も聞こえない。
そんな狂太郎に近づく影。
研究所の扉が音もなく開き、足音も立てずに入って来る一人の女。
真っ黒なスーツ、サングラス。
鉄で出来ているのかというほど真っすぐなボブカットの髪は金髪。
「誰だお前は!!」
小金守が叫ぶ。
だが、女は返答しない。
「勝手に研究所に入るんじゃない!!」
女に詰め寄り、捕まえようとした小金守。
女は、接近した小金守の手首をふわりと掴む。
刹那。
小金守は一回転して床に転げた。
「ぐぐっ!何をしやがった!?」
呻く小金守。
さらに歩を進める女が、狂太郎の背後に迫る…!!




