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赤の双刀使い、競技場に立つ

作者: 刻露清秀

 あなたは最新のバトル・アンドロイド。双刀使いの美少女だ。あなたはテストを楽々通り、今日、その性能をいかんなく発揮する時がやってきた。


「わあ、すごいな最新型だ! 今日は君に賭けることにするよ! 」


お客さんがあなたに話しかけてくる。


「ありがとうございます」


あなたには勝敗など関係ないが、一応はそう答えた。


 赤いポニーテール。エメラルド色の瞳。すらりと長い脚を惜しみなく魅せるホットパンツ。文句なしの美少女だ。


 人間は美少女を見たい欲望、賭け事をしたい欲望、そして戦いを見たいという欲望を持っている。だからこの競技場ではバトルドロイドであるあなたが戦っているのだ。


「それじゃ、早速だけど試合だ! 」


私はあなたに声をかける。あなたと対戦相手の戦闘が始まる。


(まずは小手調べ)


あなたの相手もまだ新人のようだ。金髪のツインテールが愛らしいが、表情が固い。あなたの動きについてこれるかな?


 あなたの双刀の攻撃をかわしながら、相手は攻撃を繰り出す。あなたの攻撃を受け止めるとカウンターで切りかかってきた。相手もまた二刀流。ただし一本が短刀だ。


「くっ……強いですね」


あなたは思わず声を出す。その方が盛り上がるのでね。相手はその隙を狙って更に攻撃を続ける。あなたはそれをなんとかかわすが、徐々に追い詰められていく。


「そろそろとどめです! 」


そう宣言し、相手が一気に距離を詰めて攻撃を仕掛けてきた。しかしあなたはひらりと避けると、相手の背中に回り込み首筋に一撃を加えた。勝負あり。


『勝者! 赤の双刀使い! 』


審判の声で先ほどのお客様も雄叫びをあげる。賭け金が返ってくるからね。


 試合は続く。次なる相手は槍使いだ。青いハーフアップのベテランだよ。


「うおりゃああああ!!  」


気合を入れてあなたに向かってくる。


 あなたはその攻撃を難なく受け流すと、今度は逆に懐に入り込んで腹に蹴りを入れる。相手がよろけたところを双刀の斬撃が襲う。槍使いの首が転がった。


『勝者! 赤の双刀使い! 』


また歓声が上がる。


 次は斧使いだ。背の高い緑のショートカットの彼女は、あなたを見るなりニヤリと笑みを浮かべると、両手に大きな斧を持って襲いかかってきた。


「ふんぬぅー!! 」


勢いよく振り下ろされた巨大な斧をあなたは刀をクロスさせて軽々と受け止めた。


「とりゃ! 」


そのまま後ろに跳ね返す。斧使いは反動でどうと後ろに倒れこんだ。そこを刀が襲う。


『勝者! 赤の双刀使い! 』


ふふ、ふふふふふふふふ、ふふふ。




✳︎✳︎✳︎




「あの客やばくないですか? 一人でぶつぶつ言ってる……」


「いつの時代も、美少女と賭博は人を狂わせるものだよ」

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